接客や営業などの仕事をしていると、顧客からの無理な要求や理不尽なクレームで心折れてしまう、といった体験がある人は多いのではないだろうか。そんなときは、巧みな対応で窮地を脱したいと誰もが思うものの、なかなかうまくいかず、却って相手を怒らせてしまったというケースもあるかもしれない。

  • 心が折れるクレーム対応、実践している対処法は?

そこで今回は、マイナビニュース男女会員312人を対象にアンケート調査を実施。「クレームを受けたり、理不尽な要求をされたときの対処法」などを聞いた。

Q.仕事をしているときにクレームを受けたり、お客様から理不尽な要求をされたことはありますか?

  • 仕事をしているときにクレームを受けたり、お客様から理不尽な要求をされたことはありますか?

「はい」(63.0%)
「いいえ」(37.0%)

Q.仕事で理不尽なお客様に出会ったり、要求をされたときにどのように対処していますか(自由回答・任意)

■「話をよく聞き、冷静に対処する」

・店舗での接客

「話は聞きますが、論理的に言うべきことは言います」(女性/53歳/三重県)
「ちゃんと話を最後まで聞いた上で、できないことであれば断ります」(男性/51歳/熊本県)

・コンビニ

「話をまずはしっかりと聞いて対処した」(男性/50歳/東京都)

・顧客窓口

「毅然とした態度で、それはできませんとはっきり言う」(男性/37歳/広島県)

・営業

「誠意をもって回答するように努めている」(男性/61歳/兵庫県)

・保険の営業

「クレームは拝聴し、ご契約者様のお気持ちが鎮まるまで対応する」(女性/40歳/東京都)

・SE

「話し合いを続け、少しずつ譲らせる」(男性/58歳/東京都)

・電柱設置の用地交渉

「納得いただけるよう、必要性を充分説明していく」(男性/63歳/群馬県)

・イベントの開催の仕事

「まずは先方のお話をよく聞き、非の部分は陳謝し冷静になっていただき、ご理解を頂いた」(男性/61歳/東京都)

■「上司や同僚と共有する」

・店舗での接客

「上の人に確認して納得してもらう。自分が上なら『それはすみませんが』と丁寧に説明する」(男性/34歳/石川県)
「お客様のすべてのクレームには答えるようにしていますが、どうしても要求に応えられない場合には、その都度お客様に筋を通して説明をして納得してもらうようにしています。それでも収まらない場合には上司に来てもらい、バックヤードで粗品などを渡してもらい帰宅してもらいます」(男性/54歳/富山県)

・コンビニ

「基本的には上司に相談して対処します」(男性/46歳/茨城県)
「責任者を呼ぶようにしている」(男性/31歳/埼玉県)
「結論を急ぐ必要がない場合はいったん保留して、上司や責任者に判断を任せる」(男性/48歳/富山県)

・顧客窓口

「まず上司に出てもらって対応してもらう」(男性/36歳/神奈川県)

・飲食店

「その場で対応できるものは対応し、対応できないときは上司に相談する」(男性/36歳/神奈川県)

・保険の営業

「上司に報告。今後同じようなことがあったときのために対処法を考える」(女性/37歳/兵庫県)

・SE

「一度保留し、上司に報告する」(女性/42歳/埼玉県)

・ビル設備管理

「上司が常駐している勤務時間帯は必ず代わります」(男性/59歳/栃木県)

■「受け流す・聞いているふりをする」

・顧客窓口

「納得してもらえないならば、無視する」(男性/64歳/群馬県)
「適当な相槌を打ちながら、絵を描いたり、他の仕事をする」(男性/44歳/京都府)
「相手を人間と思わないようにしている」(男性/49歳/愛知県)
「何も反論せず聞くことに徹して、本人が満足するまで相槌を打っていると勝手に満足してくれる」(女性/29歳/東京都)

・営業

「話題をうまく変えたりそらしたりして、うまく切り替えている」(男性/48歳/埼玉県)
「早めに話を切り上げる努力を常に試み続け、退散するようにしています」(男性/58歳/東京都)
「理不尽な要求には、相手にせず受け流すようにしていた」(男性/72歳/神奈川県)

・店舗での接客

「黙ってとりあえず受け流すように心がけていますが、ムカついて顔に出ることもあります」(男性/45歳/愛知県)

・コンビニ

「受け流すのが良い」(男性/46歳/岩手県)

・飲食店

「ひたすら客の気が済むまでクレームを聞き続けて、疲れるまで待つ」(男性/41歳/東京都)

■「担当部署に申し送りをする・組織で対応する」

・顧客窓口

「理不尽な要求には受け流すか、組織で対応する」(男性/66歳/北海道)
「たんたんとできることを伝え、毅然と対応する。しつこい場合は部署全体で共有し、組織対応をお願いする」(男性/31歳/神奈川県)
「その場はいったん話を聞き、担当部署から折り返しの連絡にする」(男性/53歳/東京都)

・営業

「組織内で共有して、マニュアルに沿って対応する」(男性/64歳/奈良県)
「コンプライアンスや法律に違反するような行為は、専門の法務部署に話し対処してもらうようにしている」(男性/63歳/愛知県)

■「とりあえず謝る」

・店舗での接客

「上司に報告するが、泣き寝入りの我慢」(男性/48歳/山形県)
「仕方がないのでとりあえず謝っておく」(男性/45歳/千葉県)

・コンビニ

「とりあえず謝る」(男性/43歳/愛知県)

・飲食店

「とりあえず謝るだけ謝って、他の仲間に情報共有して今後のため、注意を促す」(男性/52歳/大阪府)

■「警察に相談する・法的な処置を取る」

・店舗での接客

「むやみに謝らず、警察に介入してもらうようにしている」(男性/62歳/大阪府)

・営業

「弁護士を立てて全面的対決をする」(男性/65歳/神奈川県)

・タクシードライバー

「ひどい客は会社に連絡、それでも駄目なら警察」(男性/43歳/岩手県)

・ホテルのフロント

「簡単に割引などをせずに、それ以上のことを言われたら警察を呼ぶようにしている」(男性/歳/)

■「契約を終了する」

・営業

「あまりに理不尽な場合は取引停止する」(男性/61歳/大阪府)
「契約以外の業務については丁重にお断りしております。現在では契約解消も検討しております」(男性/46歳/東京都)

■「その他」

・学校

「授業中、なんでそのような行動をとるのか原因を調査する」(女性/55歳/栃木県)
「電話ではなく直接対面で話を聞き取り、単なる感情ではなく、子どもにとって最善の方法をともに考える姿勢で話を進める」(男性/60歳/千葉県)

■総評

調査の結果、仕事をしているときにクレームを受けたり、理不尽な要求をされたことがある、と答えた人は6割を超える63.0%となった。

仕事で理不尽な要求をされたときの対処法にはさまざまなものが寄せられているが、主なものとしては、「話をよく聞き、冷静に対処する」「上司や同僚と共有する」「担当部署に申し送りをする・組織で対応する」「とりあえず謝る」などに大別できるだろうか。

とくに店舗での接客やコンビニなど、いわゆる「一見の客」が多い場合には、「話をよく聞き、冷静に対処する」「とりあえず謝る」など、穏便に対処する傾向が強いようだ。また、まずは丁寧で誠実な応対をし、それでも納得してもらえないときには上司や担当部署に申し送りをする、という2段構えの対応も目立った。

「受け流す・聞いているふりをする」というコメントもあった。こちらはあえて解決を目指さず、相手の怒りをかわすかたちだろうか。また反対に、取引相手に対して「契約を終了する」、あるいは悪質なクレーマーに対しては「警察に相談する・法的な処置を取る」という強硬派もいた。場合によっては「殺す」などという暴言を浴びせられたり、暴力を振るわれるケースもあり得るので、毅然とした対応が必要だということだろう。

そのほか、学校関係者の「原因を探り、子どもにとって最善の策を考える」というコメントも印象的だった。ともすれば"モンペ(モンスターペアレント)"といった言葉で括りがちな状況でも、子どもたちの未来を預かっているという矜持が垣間見える答えとなった。

今回のアンケートでは、理不尽な要求をされたときにどのように対処しているか、その対策の数々を聞くことができた。クレームは受けるだけでなく、ときにはムを入れる立場にもなり得る。それだけに、誰もが胸を衝かれる内容となっているのではないだろうか。

調査時期: 2021年12月28日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 312人
調査方法: インターネットログイン式アンケート

※写真と本文は関係ありません