――そんな早乙女さんの座長ぶりは、遠藤さんから見ていかがですか。

遠藤:いや、それはもう!(笑)今回の作品の見どころでもある太一くんの「殺陣」は、動きのキレや身体的な能力もさることながら、“精神的な部分”もすごいんです。相手がやりやすいように受け皿を広く構えてくれるから相手はリラックスできるし、さらに相手が上手く見えるように立ち回ってくれる。主演なのに! だって太一くんと殺陣をするって、誰だって緊張すると思うんですよ。

太一:いやいや(笑)。

遠藤:するでしょ!(笑)それは太一くんのせいではなく、それだけすごい殺陣をする人を相手にするんだから当然のこと。でも太一くんがフラットに演じてくれるから、相手もノイズが入らずにお芝居の延長でスッと動きに入ることができる。素晴らしいです。

――相手へのホスピタリティがあふれる殺陣だと。

遠藤:殺陣に限らず、現場でのコミュニケーションもそう。太一くんが作ってくれた現場の良い空気は皆のお芝居にも現れていると思います。太一くんの座長ぶりは、とても勉強になりました。

中村:早乙女さんはほのぼのとした空気を作ってくれて、皆を安心させてくれる人。主演にはすごくプレッシャーがあって、神経をすり減らしながら毎日を過ごしていたと思うのですが、本当に頼もしい佇まいでいらっしゃって。キャストもスタッフも皆ついていきたいという気持ちになりましたし、現場に一体感が生まれました。アクションシーンについては、こんなに目の前で見られることはなかなかないので、常に見とれていて、カットがかかったあとも余韻に浸っていたほどでした。普段はほのぼのとされているので、同じ人かな? と思わされたり(笑)。

遠藤:あと、ちゃんとツンデレなんです(笑)。太一くんってやっぱり外見は“クールビューティー”じゃないですか。クールに見られるのを自分でも気にしているのか、「僕はもっとチャーミングでいたい」と言うので、スタッフ・キャストが集まる場での自己紹介で「流し目王子! 早乙女太一です!」と言ってみたらいいんじゃないか……ってキャストの皆で太一くんのあいさつを考えたりして。中身はすごく優しくて、チャーミングな人なので。

中村:早乙女さんのそんなところをもっと皆さんに知ってもらいたいです。

遠藤:ファンの方は太一くんのそういう一面を知っているから好きになるんだろうなと、僕は今回身をもって分かりました。なるほどな! と。もう、早乙女太一の魅力を語らせたら僕はすごいですよ! すっかりファンです!

早乙女:(爆笑)。……2人でいるときにもこんなふうに言ってくれるんですよ。「こういうことか! 早乙女太一!」って(笑)。

遠藤:共演は今回が3作品目になりますが……。

早乙女:ここまでがっつりと絡む役は初めてですもんね。

――早乙女さんは、クールビューティーな外見と、チャーミングな内面についてご自身でもギャップを感じられていたんですね。

早乙女:いえ。僕は外見も中身もクールビューティーです。

一同:(笑)。

――今も息の合ったやりとりを見せて頂きましたが、改めてバディものとしての『封刃師』の魅力を教えていただけますでしょうか。

中村:アクション×バディの組み合わせは女性にとって憧れの1つでもありますし、「こんな2人に守られたいな」という気持ちにもなりました。駆と翔は対称的でありながらすごくいいバランスで、物語が進むにつれ2人の関係はシリアスな方向へも転がっていきます。目が離せなくなるようなバディなので、きっと楽しんで頂けると思います。

早乙女:雄弥さんとお芝居をしていると、言葉で説明しなくても自分の思いを感じ取ってくれる気がして、改めてすごい方だなと思いました。駆と翔も心で繋がっていて、お互いを信頼している。駆を完成させられたのは、雄弥さんのおかげです。

遠藤:持ちつ持たれつですよ。翔は駆がどういう思いで封刃師というお仕事をするようになったのかを一番近くで見てきた人物。2人の絆や過ごした時間を、演じる自分たちもしっかり実感として持っておくことが大事だからと、太一くんは進んで僕とコミュニケーションを取ってくれて本当にありがたかったです。映画でも舞台でも、エンタテインメントの世界にはいろいろなバディものの作品がありますが、駆と翔というバディの絆、そして後半になるにつれて膨らんでいくエピソードにも注目して、この作品を楽しんでもらえればと思います。

■早乙女太一
1991年9月24日生まれ、福岡県出身。大衆演劇 劇団朱雀の二代目として4歳で初舞台を踏み全国で公演を行う。03年に北野武監督の映画『座頭市』に出演したことで、“100年に1人の天才女形”としてその名を広く知られることとなる。2015年の劇団解散以後は、舞台やドラマ、映画出演など活躍の幅を広げている。2019年に二代目座長として5年振りに上演された舞台、大衆演劇「劇団朱雀 復活公演」では総合プロデュース、脚本、振付、演出を手掛けた。主な出演作品には、映画『クローズEXPLODE』、『BLEACH』、『プロメア』、『孤狼の血 LEVEL2』、ドラマ『ふたがしら』、『忘却のサチコ』、舞台では劇団☆新感線の舞台にも数多く出演。1月期はドラマ『雲霧仁左衛門5』、連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』にも出演中。
■遠藤雄弥
1987年3月20日生まれ、神奈川県出身。2000年『ジュブナイル』で映画デビューを果たし、2004年には『ミュージカル テニスの王子様 Dream Live 1st』で越前リョーマを演じた。主な出演作はドラマ『ちゅらさん』、『ロケットボーイズ』、『のだめカンタービレ』、『ボイス 110緊急指令室』、『青のSP―学校内警察・嶋田隆平―』、映画『シャカリキ!』、『HiGH&LOW』シリーズ、『ONODA 一万夜を越えて』など。1月よりミュージカル「『刀剣乱舞』 ~江水散花雪~」に出演。映画公開待機作に『ハザードランプ』がある。
■中村ゆりか
1997年3月4日生まれ、神奈川県出身。2015年のNHK連続テレビ小説『まれ』で注目を集め、2020年『ギルティ〜この恋は罪ですか?〜』で悪女役を演じ話題に。主な出演作は『賭ケグルイ』、『きのう何食べた?』シリーズ、映画『ラーメン食いてぇ!』、ドラマ『花にけだもの』『女子高生の無駄づかい』、『痴情の接吻』、『エージェントファミリー〜我が家の特殊任務〜』など。主演ドラマ『部長と社畜の恋はもどかしい』が放送中。