事務所移籍や初のフルアルバム『stella』のリリース、さらには30歳という年齢的な節目――声優・駒形友梨にとって、2021年は様々な面でのターニングポイントとなる1年だったことだろう。この1年間の出来事の振り返りを中心に、駒形が『stella』に至るまでの道のりを改めて紐解いていく。

  • 駒形友梨

●理解できた気がする、「30歳になったら楽」の意味

――4thミニアルバム『Night Walk』リリースからの約1年間は、駒形さんにとって激動かつ充実した期間だったのではないでしょうか。

いや、実は2021年の前半は事務所移籍などはありましたけど、お仕事の面ではゆったりとした感覚だったんです。でもそれが下半期、このフルアルバムの制作が始まったぐらいから一気にこう、ぶわーって(笑)。コロナがちょっと落ち着いてきてイベントも復活して、ちょうどその頃ラジオも始まって……というのが重なったのもあってだと思うんですけど。だから上半期だけだと、事務所移籍と犬を飼い始めたのが二大トピックスです(笑)。

――あ、犬を。

はい。念願だったんですよ。いつか飼おうと思ってはいたんですけど、なかなか踏ん切りがつかなかったところを……野村香菜子に「大丈夫だよ、飼っちゃいなよ。勢いも大事!」って言われて(笑)。「たしかに。もう30歳にもなるし、犬一匹ぐらい頑張ればなんとか育てられるんじゃないか」と考えて、思い切って飼い始めました。おかげで生活もだいぶ変わりましたね。

――変わりましたか?

前はずっと、家にこもってひたすらゲームをし続けるっていう生活だったんですけど、毎日散歩に行くようになったのが大きいですね。散歩に出たりドッグランに行ったりすると、必ず他の飼い主さんたちとコミュニケーションを取るので、そういうところで今までは絶対喋らなかったようなはじめましての人と会話をすることが、だいぶ新しい世界のような感じがありました。

――また先ほど少し触れられましたが、30歳を迎えられたというのもありまして。そういう節目を意識したこともありましたか?

思うところはいっぱいありまして(笑)。でも29歳のときからずっと「来年30歳」と言っていたので、体感的には30歳の期間がものすごく長いんですけど……でも「30歳になったら楽だよ」といろんな人に言われていたことが、理解できた気がします。

――それを理解できるきっかけみたいなものが、何かあったんですか?

人としての基盤みたいなものが20代である程度形成されたことで、変に自信をなくしたり不安に陥ることがだいぶ減ったんですよ。そのおかげで、いい意味で今まで以上に自由に、マイペースになれたような感じがしているんです。ただ、逆に今度は体力的な部分や身体の変化を通じて、今までできていたのに難しくなってしまったことがあると、悔しくて。でもまだまだ成長していきたいので、今後はそこをどう補っていくかということについては、もっとよく考えなきゃいけないなとは思いました。20代のときはがむしゃらでもすべて経験として活きましたけど、30代はちょっとだけやり方を変えたほうがよりよいのかな、って。

●まだまだ歌い続けるために、鍛えることにより前向きに

――リリース前後はお忙しいとは思うのですが、それが一段落したところで新しく始めたいと思われていることなどはありますか?

体力というか、筋力みたいなものを鍛えようかな、と……。

――筋力を。

年齢を重ねると痩せにくくなるという身体の変化もありますし、みんなの前でまだまだ歌っていきたいので、「筋力はあるだけいいな」と最近思うようになって。マジでジムに通い始めようかなと考えているんです(笑)。少し前までは「ジム行かなきゃなー」とか「筋トレしなきゃなー」ぐらいの気持ちだったんですけど、今は「そんなこと言ってる場合じゃなくて、やらなきゃ」という感じになりつつあります。それに身体を使うことに慣れていたほうが体調も崩しにくそうなので、やっぱりそこは見直したいですね。

――あと2021年は、新しくファンクラブもできました。

あ、そういえばそれも2021年でしたね(笑)。以前のファンクラブが閉じざるを得ずに閉じてしまったので、ファンの方もずっと「早くファンクラブできないかな?」とおっしゃってくださっていたんですよ。それでようやくできた今のファンクラブは、月イチで会員限定配信をしたりと近い距離感でアットホームな感じのことができているので、前のファンクラブ以上に楽しいですね。コロナ禍もあってまだファンクラブイベントはできていないんですけど、そういった関係値のなかでやるイベントも、すごく楽しみです。

――イベントとして、やりたいことのイメージなどはすでにあるのでしょうか?

今ちょこっとだけ話が出ているのが、「合唱コンクールやりたいよね」という話なんです(笑)。私がYouTubeに上げられている合唱の動画を観たら、いい曲が多すぎて! それで「どうせなら、みんなで歌いたいなぁ」と思ったのがきっかけなんです。もちろんご時世的に様子を見ながらにはなっちゃいますけど、クラスみたいにグループを作って、課題曲を決めてみんなで練習。私はどこのチームにも参加する……みたいな。月イチ配信でも「クラスT作る?」とか「ホントに来てくれる?」という話をしています(笑)。

――「練習ちゃんとやるからね?」って(笑)。

そう(笑)。そういう話をするのも楽しいし、それがいつか実現したらいいな……って。そういう可能性が、ファンクラブができてより広がりました。