俳優の吉田鋼太郎が、東海テレビ・フジテレビ系ドラマ『おいハンサム!!』(8日スタート、毎週土曜23:40~)の見どころなどを語った。

同作は、ややこしいけど情に厚くて憎めない令和の頑固親父・伊藤源太郎(吉田)と、男を見る目がない三姉妹、由香(木南晴夏)、里香(佐久間由衣)、美香(武田玲奈)、そして全てを包み込む母(MEGUMI)の伊藤家が織り成す「恋」と「家族」と「ゴハン」の物語だ。

  • 吉田鋼太郎=東海テレビ提供

――どんなドラマになりそうですか?

原作は漫画家・伊藤理佐さんの人気作『おいピータン!!』をはじめとした、とてもほんわかしてコミカルな漫画をミックスしたものですが、それとはちょっと切り離して考えていただいたほうが良いかと。漫画とは違うドラマならではのリアリティーが必要になってきますので、漫画のテイストをきちんと残しつつ新しいものにしていきたいと思っています。私が演じる伊藤源太郎を中心とした家族の物語なのですが、家族って案外ずっと一緒にいられなくて、子どもが成長する中でだんだんバラバラになっていくのが前提なんですよね。本作でも次女の里香が大阪に嫁いでいますし、三女の美香は一人暮らしを始めます。子どもが離れていくときの親としての切なさや無念、ほろ苦さのあるシーンがたくさん出てきます。実は、頑固親父が出てくるホームドラマって最近では割と絶滅状態だったと思うので「令和にあえて昭和のホームドラマ」というコンセプトは面白いのではないかと思います!

――伊藤源太郎とは、どんな役ですか?

3人の娘たちが可愛くて大事でしょうがないんだけど、その想いを面と向かって言えない人。昭和のお父さんというと口数が少ないイメージですよね。でも娘たちへの愛を何か行動によって伝えたいという気持ちはいっぱいで、そういうところが非常に微笑ましく「頑張ってるな」と思えるお父さんなんです。

例えば、泥酔して帰ってくると、そこで初めて酔った力を借りて娘に対して「お前のことを愛してる!」と言ったりするシーンがあるんですが、そういうシャイな部分は僕自身も「わかるな」って思うし、素敵だなと思いますね。

――源太郎とご本人の似ている点・似ていない点は?

同世代(60歳前後)なのでモノの考え方や行く店なんかは似ていますね。例えば、源太郎が周りの人に薦める店は、お蕎麦屋さんだったり、居酒屋でもチェーン店ではなく、老舗というより普通に街で3-40年やっている歴史があるような店だったり、そういう店のチョイスは似てますね。あと、酔うと饒舌になる点も似ています。喋っている方が悪酔いしないと思っているのですが、周りの方々はちょっと迷惑なようですね。僕が1人でずっと喋って、人の話をきかなくなるなんてことがありますので(笑)。似ていない点で言うと「言いたいことはなるべく言う」という点。人って喋ってナンボじゃないですか!伝わらないと大変なことになっちゃうんで、ちゃんと伝わるように努力しています。ちなみに、伊藤家それぞれに「好みの目玉焼きレシピがある」という話が出てくるんですが、僕は源太郎と違って「白身も黄身もちょっとナマに近い半熟」が好きですね。

――伊藤家の面々や共演者について教えてください。

僕の奥さん役のMEGUMIさんとは連続ドラマ『おっさんずラブ -in the sky-』(2019年 テレビ朝日系)以来、約2年ぶりに会ったのですが「久しぶりね」とか「お元気ですか?」という挨拶ではなく、いきなり「鋼太郎さん、山口監督って知ってますか?大変ですよ!」という会話から始まりました(笑)。ですが、実は山口(雅俊)さんとは以前、事務所が一緒でよく食事にも行く俳優・藤原竜也に誘われて、一緒に飲んで意気投合した“前フリ”があったので、天才と言われ、こだわりの強い山口さんの下で今、スムーズにやれております(笑)。

長女役の木南晴夏さんとは初共演ですが、旦那さん(俳優・玉木宏)とは一昨年ドラマやCMでたくさんご一緒しまして、木南さんとは本作と、春に私が演出する舞台でご一緒するというご縁があります。次女役の佐久間由衣さんと三女役の武田玲奈さんとは、これまで同じ映画に出ていても共演シーンはなかったので、今回はすごく嬉しいです。

また、源太郎の取引相手として一緒のシーンが多い、大森利夫役の浜野謙太さんはひたすら面白い方。彼はミュージシャンでもあるので、いわゆる“役者役者”してなくて、ゆるやかで自由な空気を醸し出してくれるので、僕は共演者として肩肘張らなくて良いのが本当にラク!現場でも楽しいエピソードをかましてくれるんでツッコミどころ満載です(笑)。

――本作ならではの取り組み方とは?

今回の現場は、当日にセリフが20秒増えたりというサプライズが起きる現場なんですが(笑)それが逆に僕ら俳優陣のヤル気を喚起して「そう来るか!?じゃあ、こう応えよう!」みたいに、いい意味で監督と俳優のバトルが繰り広げられています。普段、僕はアドリブを挟み込むのが好きな方なんですが、本作では山口監督が繰り出す様々な演出や要求を一つ一つクリアしていくと、ふっと面白いシーンができあがる現場。だから「今回はアドリブを止めよう」と思いながら演じています。アドリブを止めたときに自分がどういう芝居ができるのか。また違う自分を発見できるんじゃないかという気がするので、そういう意味で「ターニングポイントだらけの作品」だし「自分の代表作にしたい!」と思っています。

――本作のタイトルにかけて、ご自身が“ハンサムになる瞬間”は?

去年の3月に娘が産まれまして、抱っこしたりすると「まんま」とか喋ったり、手足を動かしたりするのが本当に可愛くて。そんな娘を見ている自分は、おそらく今までしたことがないであろう自然な笑顔をしていると思うんです。その時の自分の顔はたぶんハンサムなんじゃないかな(笑)

――最後に、視聴者へのメッセージをお願いします。

源太郎という頑固で厳しい、でもちょっと弱いところやお茶目なところのあるお父さんを中心とした家族が色んな騒動を繰り広げるホームドラマ、もう「ホームコメディー」と言っていいかもしれない面白さ。そこに“男を見る目がない”娘たちが選んだ、ちょっとダメな彼氏や元彼が絡んできて、自体はややこしい方へ向かっていく…。色々な要素が詰まった、令和にあえて昭和なホームコメディー。昭和・平成・令和どの世代の方でも楽しんでいただけるドラマになっていますので、どうぞお楽しみに!