――本作では信頼関係が印象的な要素として登場しますが、信頼関係を構築するうえで、重要だと思うことはなんですか?

有村:人を受け入れて、どれだけ許し合えるか。どれだけ自分とタイプが違っても、その人のいいところが一つ見えたら、例えば「合わないな」って思うところも、全部覆されてしまうというか。私は人と向き合うときに、やっぱり、なるべくいいところを探そうと思うんですけど、いいも悪いもその人自身だから、なるべく受け入れて関わりたいなっていうのは、個人的にはありますね。

石橋:みどりと佳代ちゃんの場合は、全く性格も違うし、育ってきた環境も違うけど、同じだけの苦しみを、お互い持っているっていうことが、それを伝え合わなくても、感じられたから、あそこまでぶつかることもできたし、「助け合っていこう」っていう風になれたんだと思うんです。

全員とそういう風にかかわることは本当に難しいし、できないですけど…例えば私がいま27歳で、誰か新しく友達と出会ったときに、それまでの27年間、知らなかったわけで。それだけ知らないことばかりで。家族だって、全部を知っている気持ちになっても、自分の知らないことっていうのはたくさんあって。「その人を全部わかりきることはないんだな」って、前提として思うことって、突き放すということじゃなくて、いい関係性を築く上で大事なことなんじゃないかなと思うんです。自分がその人のわからない部分や、知らない部分をリスペクトするっていうことが大事だし、そういう風に人と接していきたいなという風に自分は思います。

――先ほど、お二人は最初からお互いを信頼できていたというお話がありました。岸善幸監督をはじめとした、岸組としての信頼関係を感じた瞬間はありましたか?

有村:一つ一つのシーンが、やっぱり重要だったので、それにどれだけみんなが向かえるかっていう、その瞬発力というか、ギアのあげ方みたいなものが、ものすごく「みんなでいい作品を作ろう!」っていう信頼関係のもと、成立しているのかなっていう風に感じていましたね。

石橋:私は衣装合わせから参加したんですけど、その時の空気感から「これは熱いものを作るんだな」っていうのを、雰囲気として感じていたんです(笑)。岸さんの熱量と、そこにみんなが「ついていこう」、「同じ熱量でいこう!」って思えるものを、岸さんは持ってらっしゃるし、それは何かを言うっていうことよりも、もっと早く、目を見て感じるものはすごくありました。

――完成報告会では、新米時代のお話がありました。もし、新米時代の自分に声をかけてあげられるとしたら、いろいろな経験を積んだ今の自分として、何と言ってあげたいですか?

有村:そうですね……結局、自分自身と向き合うことを辞めたら終わりだなと思いますね。だから「自分自身と向き合うことは苦しいけれど、その分、気づきがあるから、ずっと、向き合うことは続けてほしいな」って言いたいです。

石橋:「お芝居を始めるぞ!」っていう風になった頃って、自分の中が恐れでいっぱいでした。「どういう風に見られるんだろう?何を言われるんだろう?」って、緊張して硬くなっていたんですけど、それって本当に、はじまりでしかなくて。そんなことを忘れてしまうくらい、面白い人たちに出会えたり。そんなことを気にせず「あなたはどういう人なの?」っていう風に、自分を見つめて、それを作品にしようとしてくれる人がいるっていうことをやりながら、「もっと信頼していいんだ」っていう風に、どんどん思えるようになっていったんです。「その先に、ものすごく広い世界が広がっているよ。だからそんなに緊張しなくていいよ」っていう風に言ってあげたいですね(笑)。

――保護司の方のお言葉として「ハートは熱く、でも頭の中は冷静に」という言葉を紹介されていましたが、それは役者にも共通することですか?

有村:共通すると思います。やっぱり、自分のパッションだけで進んでいくと、自分本位になってしまいますし、周りの状況だったり、判断するっていうことが大切かなと思うので。チームでやっているからには、冷静さも兼ね備えていないといけないなと思います。

石橋:まさしくそうだと思いますね。それに、一人だと何もできない役割ですし。ヘアメイク、衣装、小道具、全部を揃えてもらったうえで、自分が芝居をするので。そうなると、そもそも一人では何もできない仕事だなと思うんですけど、そういう作り上げてもらった状況の中で、自分が何ができるかっていう仕事だなっていうのは、つくづく思いますね。


『WOWOWオリジナルドラマ 前科者 −新米保護司・阿川佳代−』は、毎週土曜日22時30分よりWOWOWプライムで放送中。WOWOWオンデマンドにて放送同時配信。各話放送後、WOWOWオンデマンド、Amazon Prime Videoで見逃し配信。まだ間に合う!1~4話一挙放送 12月18日(土)11時 WOWOWプライム[第1話無料放送]。

有村架純

1993 年 2 月 13 日生まれ。兵庫県出身。NHK 連続テレビ小説『あまちゃん』で注目を浴び、 以降は『映画 ビリギャル』『ストロボ・エッジ』『いつかこの恋を思い出してきっと泣いて しまう』など、話題作に数多く出演。NHK 連続テレビ小説『ひよっこ』では主演を務め、 映画『るろうに剣心最終章』への出演も話題を呼んだ。2021 年には『花束みたいな恋をし た』『太陽の子』などが公開しており、2022 年には映画『前科者』の公開を控えている。

石橋静河

1994年7月8日生まれ。東京都出身。コンテンポラリーダンサーとして活動中に、女優としても活動を開始。映画の出演作には『少女』『PARKS パークス』『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』『泣き虫しょったんの奇跡』『きみの鳥はうたえる』『いちごの唄』『DIVOC-12「流民」』などがある。ドラマでは、『この恋あたためますか』『大豆田とわ子と三人の元夫』などに出演し、『東京ラブストーリー』ではヒロインの赤名リカを演じて話題を呼んだ。