通常の休日のほかに設けられる「特別休暇」。結婚休暇や夏季休暇などがこれにあたりますが、くわしいルールがよくわからないという人も多いでしょう。

そこで今回は、特別休暇の特徴や年次有給休暇などの法定休暇との違いなどについて、わかりやすく解説します。

  • 「特別休暇」とは?

    「特別休暇」の主な特徴や特別休暇の例、年次有給休暇などの法定休暇との違いを解説する記事です

「特別休暇」とは?

「特別休暇」とは、会社が従業員に対し福利厚生の1つとして付与する休暇です。

休暇の目的や取得するための条件などは企業が独自に設定でき、オリジナルの休暇制度を設けている企業も少なくはありません。

法律により定められた休暇ではないため、「法定外休暇」と呼ばれることもあります。

  • 「特別休暇」とは?

    「特別休暇」は福利厚生の1つで、休暇の目的や取得するための条件などを企業が独自に設定できるものです

特別休暇の特徴

企業が独自に制定する休暇で会社ごとに制度やルールが異なる特別休暇ですが、その概要がよくわからないという人も多いでしょう。

ここからは、特別休暇の主な特徴をくわしく解説します。

有給か無給かは企業側が決める

特別休暇は企業が独自に制度化できるもののため、法的な制約はありません。休暇中の給与の有無に関しても企業ごとに決められるので、有給と無給どちらの場合もありえるのです。

したがって、特別休暇を取得する際は勤務先の就業規則をよく確認しておく必要があります。

公務員の特別休暇は法律で定められている

民間企業においては企業ごとに規則が異なる特別休暇ですが、公務員のうち、国家公務員の特別休暇は法律により規定されています。

例えば、夏季休暇は「7月から9月までの期間で連続する3日間の範囲内」、結婚休暇は「婚姻届提出日か結婚式当日の5日前~1ヶ月後のうちの5日間の範囲内」など、細かく定められています。

ただし、国務大臣や裁判官などの一部の職種を除く、地方公務員は地方自治体の条例に従う、というルールがあるため注意が必要です。

  • 特別休暇の特徴

    特別休暇には基本的に法的な制約がありませんが、国家公務員の特別休暇は原則として法律で規定されています

特別休暇の例

給与の有無や取得の条件などに違いはあるものの、多くの企業が取り入れている特別休暇。

一体どのような種類の休暇があるのか気になるという人も多いでしょう。

ここからは、主な特別休暇の例をいくつか紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

慶弔休暇(忌引休暇や結婚休暇)

慶弔休暇は、従業員の家族や身内に不幸があった場合や、従業員自身の結婚や配偶者の出産などに伴い取得できる休暇を指します。

人生における重大事の際に休めないと社員のモチベーションが下がってしまう恐れがあるため、慶弔休暇を付与している企業は少なくありません。

ただし、休暇中の給与の有無や休暇を取得できる日数などは企業ごとに異なります。

夏季休暇・冬季休暇

一般的に、お盆期間の前後に連休を付与するのが夏季休暇、年末年始や元旦の前後に連休を付与するものが冬季休暇と呼ばれます。

どちらも代表的な特別休暇の1つで、土日を含めて5〜7日程度となることが多いです。

なお、夏季休暇においては労働者に年次有給休暇を計画的に取得してもらう「計画年休」を適用している企業もあるため、注意が必要です。

アニバーサリー休暇・誕生日休暇

アニバーサリー休暇や誕生日休暇は、従業員の誕生日や結婚記念日など、個人的な記念日に取得できる休暇です。

休暇日数としては1日程度付与されることが多く、業務状況によりアニバーサリー当日に取得できない場合は振替が認められるケースもあります。

例えば、誕生日休暇の場合は「誕生月内で任意の1日」や「誕生日から前後○日以内」など、誕生日当日とは別の日に取得することが可能となります。

病気休暇

病気休暇は、長期間治療が必要な病気や怪我などをした際に取得できる休暇です。

休暇期間は数日~長期にわたる場合もあり、有給として扱うか無給として扱うかは企業によって大きく異なります。

勤めた年数によって上限日数が変わることもあるため、就業規則をよく確認しておく必要があるでしょう。

  • 特別休暇の例

    特別休暇の種類としては、慶弔休暇や夏季・冬季休暇、アニバーサリー休暇や病気休暇などがあります

特別休暇と法定休暇の違い

特別休暇において法律で定められた法定休暇と一番大きく異なる点は、付与する義務がないという点です。

法定休暇は従業員から申請があった場合は必ず付与する必要がある休暇であり、社員区分ごとの違いも原則としてありません。

したがって、パート従業員を含め対象となるすべての従業員に対して、法に基づき年次有給休暇などが付与されます。

一方、特別休暇は企業独自の制度であるため、パート従業員の場合は正社員と比較して休暇日数が短くなっていたり、取得不可になっていたりするケースもあるのです。

あくまでも福利厚生の1つであるということに注意し、対象範囲や条件などをよく確認した上で取得を検討するようにしましょう。

  • 特別休暇と法定休暇の違い

    特別休暇は法律で義務付けられているものではないため取得条件などはしっかりと確認しておく必要があります

法定休暇の例

特別休暇とは違い、従業員の権利として使うことができる法定休暇。

条件を満たしている人であれば必ず取得できる休暇ですので、どのような種類の休暇があるか確認しておいたほうがいいでしょう。

ここからは、主な法定休暇についてくわしく解説します。

年次有給休暇

年次有給休暇は、入社日から6ヶ月が経過しており、全労働日の8割以上出勤している労働者に対して付与される休暇です。

フルタイム勤務の場合、初年度は10日付与され以降1年ごとに付与日数が増えていくため、勤続年数が長いほどより多くの休暇日数が付与されることとなります。

年次有給休暇は法律で定められた従業員の権利であるため、請求があった場合には企業側はよほどのことがない限り取得させなければなりません。

産前休業・産後休業

産前休業は出産予定日の6週間前から請求により取得できる制度で、産後休業は出産の翌日から8週間与えられる制度です。

労働基準法上、企業は給与を支払うことを義務付けられていないため、有給か無給かは勤務先により異なります。

育児休業

育児休業は子どもが原則1歳になる誕生日の前日まで取得できる制度で、女性と男性とで開始日が異なるため注意が必要です。

また産前・産後休業と同じく、育児介護休業法上、企業は給与を支払うことを義務付けられていないため、給与の有無は就業規則で確認しておく必要があることも覚えておきましょう。

  • 法定休暇の例

    法定休暇は条件を満たしている人であれば必ず取得できる休暇ですので、主な休暇を確認しておきましょう

特別休暇の概要や特徴を正しく理解しよう

特別休暇は会社が従業員に対し福利厚生の1つとして与える休暇で、休暇の目的や取得するための条件などに関しては、企業が独自に設定できます。

慶弔休暇や夏季・冬季休暇などが代表的な特別休暇であり、法的な制約がないため給与の有無が企業ごとに異なっていたり、社員区分ごとに取得可能日数や条件に違いがあったりする点が大きな特徴です。

一方、法定休暇は従業員から申請があった場合は原則として必ず取らせなければならない休暇であり、社員区分ごとの違いも基本的にはありません。

特別休暇の概要や特徴、法定休暇との違いを正しく理解し、上手に活用しましょう。