• ジョージ・ハリスン「オール・シングス・マスト・パス」

ジョージが亡くなって11月29日で20年が経った。本当に早く亡くなってしまいましたね。僕が所有している最古のジョージのアルバムがこれ。1974年か75年に秋葉原、石丸電気で購入したもの。価格も通常のLPは2,500円の時代に6,000円である。小学生には痛すぎる価格だった。半世紀近く前のもので、豪華化粧箱に入った3枚組のLPは、ジャケット部分に貼り合わされた糊がシミを作っているがレコード自体はまだまだいける。僕は当時、レコードを買うとなぜか、帯をはずして別に保管するクセがあった。なぜ、そうしたのか覚えていないが、きっとジャケットをちゃんと見たかったのだろう……。青版、赤版、ダーク・ホースの帯も一緒に記念撮影。

レコードを入れる紙袋に注目してほしい。紫のDISC1、ベージュのDISC2には曲のタイトルや歌詞が印刷されている。ところがDISC3の緑の紙袋にはApple Jamが印刷されていて、そのレコードの中身もA面1曲目以外はB面(今の読者は知らないか!)ともにインストのジャムセッション。

  • ジョージ・ハリスン「オール・シングス・マスト・パス」

人生2回目に買った「オール・シングス・マスト・パス」。おそらくCDが出回り始めた1988年から1990年ごろ購入。長らく窓際放置の状態で日光に当たりすぎて、無残にもジャケットの紙が「わやわや」になってしまった。さて、ジョージと同世代は……。

ストーンズに同級生が二人

  • ジョージ・ハリスン「オール・シングス・マスト・パス」

    (C)BANG Media International

1943(昭和18)年2月25日生まれのジョージと同い年のミュージシャンはキース・リチャーズ(写真左)とミック・ジャガー(写真右)。ともに1943年のミック7月26日生まれ、キース12月18日生まれだ。この時代のミュージックシーンを大きく牽引した同級生に感謝です。そうそう、ジャニス・ジョプリンも27歳で亡くなってしまいましたが1943年1月19日生まれの同級生。レジェンド揃いです。

8位から4位はこれだ

  • ジョージ・ハリスン「オール・シングス・マスト・パス」

8位 ワー・ワー ~ Wah-Wah

3:05からのサックスとのユニゾンのジョージのスライドからのギターソロ、しびれるね

いつものことだけど、この曲、8位に収まる器じゃないんだけどなぁ。僕の順位とアンケートに答えてくれたジョージファンの皆様の間に大きな溝を感じます。イントロのリフのカッコよさったらないよね。きらびやかなカッティングが華を添えてロック界に輝く最高のリフだと思ってる。また、この指使いがちょっと特殊で、子どもの時、コピーに非常に苦労したのもいい思い出だ。ポールへの皮肉を込めてる、なんて噂も……。

7位 アート・オブ・ダイイング ~ Art of Dying

1:35から始まる鬼気迫るコード進行のサビと2回目のワウペダルをOFFにしてのギラギラしたイントロリフ、ジョージのセンスは本当にすごい!

こちらもジョージがリード・ギタリストである証となる名演奏の作品。ワウの使い方も絶妙でこの曲と、8位のワー・ワーを聞いてMaxonのワウペダルをお年玉で買ったのは小学6年生の僕でした。

6位 ビウェア・オブ・ダークネス ~ Beware of Darkness

2:32から始まるジョージのスライドソロはこのアルバム全体に流れているメロディーの「大きさ」が秀逸

ジョージらしい皮肉の効いた歌詞の曲だが、曲も素晴らしい。ビートルズ時代からジョンに負けず、わりとパンチの効いたコメントを繰り出していましたね。この録音の直前の「レット・イット・ビー」の映画から伝わるポールのジョージに対する侮りや小馬鹿にした態度に嫌気も差すだろう? ビートルズ末期のメンバーなどへの色んな思いの丈が盛り込まれてるんだろうな~。

5位 ヒア・ミー・ロード ~ Hear Me Lord

3:52あたりからは小節の頭だけ歌ってあとは歌わないところ「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」の「look at you all……」みたいな感じで好きです

ドラムのビートが印象的なイントロで始まる。神様への願いなどが多くなっていく。歌詞は重たいが1:40、3:05あたりの「Above and below us」のブレイクのあたり、曲の完成度の高さ、ジョージのアレンジ能力の高さにうっとりしてしまう。

4位 アウェイティング・オン・ユー・オール ~ Awaiting on You All

イントロ終わりや曲最後のブレイクの瞬間、リバーブの深さが気持ちいい

軽快なポップでありながら極めてゴージャスなサウンド、僕の大好きな一曲です。これぞフィル・スペクターともいうべき「ウォール・オブ・サウンド」に包まれた傑作です。

ジョージファンが選んだベスト3はコレ

  • ジョージ・ハリスン「オール・シングス・マスト・パス」

3位 オール・シングス・マスト・パス ~ All Things Must Pass

「万物は流転する」なんて曲、26歳で作っちゃう?

さすがにアルバムタイトル曲、上位に食い込みました。この曲、ビートルズの海賊版CD「The 'Let it Be' Rehearsals」でも未完成ながら演奏してましたね。ジョンとポールのコーラスが入っているので、やはりビートルズっぽい印象が強く出てたけれど、本番のアルバムに収録されたテイクはスケールの大きな雄大な曲へと進化している。

  • ジョージ・ハリスン「オール・シングス・マスト・パス」

    僕が持っている日本でも有名な海賊版レーベル「Yellow Dog」から発売された「The 'Let it Be' Rehearsals Vol.2 All Things Must Pass」。オール・シングス・マスト・パスに収録されている曲をガッツリとビートルズのリハーサルで演奏している。1990年ごろの購入だった、と思う

2位 美しき人生 ~ What is Life

なんというわかりやすく、親しみやすいイントロだろう! 1970年まで誰も思いつかないなんて!!

イントロから導入部の流れるようにシンプルで軽快なメロディに一瞬で引き込まれてしまう曲。イントロのリフに重なるキレッキレでコンパクトなカッティングも素晴らしい。このカッティングはジョージなのかクラプトンなのか興味は尽きない。サビの「Tell me, what is my life~」が2回目からは豪快なホーンセクションとソリッドで硬いストリングスがゴッソリ乗ってきて、豪華を極めたアレンジが素晴らしい。

「美しき人生」はイギリス版では「マイ・スイート・ロード」のB面曲として納められていてビートルズお得意の「両A面」扱いなんじゃないか! と喜んでしまう。イギリス盤シングル、今でも憧れの1枚だ。

1位 マイ・スウィート・ロード ~ My Sweet Lord

1:42からリズム隊の参戦からの盛り上がりがスゴイ

初めて「マイ・スウィート・ロード」を耳にしたとき、イントロの尋常じゃないアコースティックの分厚さに耳を奪われた。ドラムもベースもなく、静かに12弦と6弦のアコースティックがリズムを刻む。徐々にコーラス、ベース、ドラムが加わり徐々に転調しストリングスも足されて音圧が上がっていくところに鳥肌がたった。

この曲、末期ビートルズのサポートでキーボードを弾いていたビリー・プレストンのソロアルバムのためにジョージが書いた曲なのだ。バングラデシュ・コンサートにも参加して、仲よさそうだもんね。「マイ・スウィート・ロード」は実際、ビリーのアルバム「エンカレッジング・ワーズ」に収録され、1970年9月11発売となり、ジョージのバージョンよりも早く世に出ています。ジョージの「オール・シングス・マスト・パス」は1970年11月27日発売。ビリーの「マイ・スウィート・ロード」はジョージの壮大なアレンジと異なり、ソウル、ゴスペルのような、これはこれでカッコいいアレンジが施されている。

  • ジョージ・ハリスン「オール・シングス・マスト・パス」

    ジョージ・ハリスン
    「オール・シングス・マスト・パス 50周年記念スーパー・デラックス・エディション(完全生産限定盤)」
    2021年8月6日発売
    ユニバーサル・ミュージック・ジャパン

僕の人生、4回目に買った(3度目はニュー・センチュリー・エディション、ことごとく買ってます)この「50周年記念版」はディスクが6枚も入っている。CD1、CD2は通常の収録曲、CD3は「Day 1 DEMO」、CD4は「Day 2 DEMO」とあり1970年5月26日、27日のデモが収められている。CD5は「SESSION OUTTAKES AND JAM」でデモテイクだがテイクが進んだものが入っている。もう1枚はblu-ray(動画なし)でHDステレオ、5.1サラウンド、ドルビー・アトモスのオーディオという豪華すぎる構成。

このデモテイクが素晴らしい。CD3と呼ばれるディスク、「DAY 1」の「美しき人生」のテイク3、メロディーはもちろん同じだがメチャメチャポップで聞いてて楽しくなる。 「アウェイティング・オン・ユー・オール」のテイク1もギターも荒削りで跳ねてる感じがいいよ。

CD4の「Day 2」に収められた「アート・オブ・ダイイング」テイク1はアコースティック1本での弾き語りなのだがこの段階で、ここまでアレンジが完成されているのに驚いた。ジョージってホントに才能溢れてる!

とにかく、3枚のデモテイクは新たな発見が詰まっていてひたすら楽しい。

  • ジョージ・ハリスン「オール・シングス・マスト・パス」

    付録のブックレットにはジョージの手書きの歌詞が掲載されている

  • ジョージ・ハリスン「オール・シングス・マスト・パス」

    こちらは「美しき人生」の歌詞とコードやEMIのテープ保管記録

海賊版も漁っているジョージファンの僕でも耳にしたことのないテイクが目白押しのこの特別版は買ってソンはないでしょう。

「オール・シングス・マスト・パス 50周年記念スーパー・デラックス・エディション(完全生産限定盤)」(5SHM-CD+BLU-RAY Audio)の詳細はこちらで確認できます

ジョージ・ハリスン 1943(昭和18)年2月25日生まれ、2001(平成13)年11月29日没、享年58。静かなビートルが放った名盤に感謝。

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久しぶりなのでルールを知らない方もいらっしゃるでしょう。 アンケートのコメント欄を10文字以内に制限にしております。熱い想いの凝縮されたコメントをご紹介します。

「私甘神美人生、大好き」P.N.誕生日が同じです!(東京都37歳女性)同様意見多数
ジョージファンとしてはお若い方から。わかりますよ~「マイ・スウィート・ロード」と「美しき人生」が好きなんですよね、僕もです。誕生日も2月25日なんでしょう、自慢できますね!

「ソロになって大活躍」P.N.昔の人(山形県66歳男性)同様意見3名
ビートルズ解散後、真っ先にソロアーティストとしてブレイクして、ジョージファンの溜飲を下げてくれましたよね!

「優しい声が好き」P.N.テツアニ(三重県42歳男性)同様意見10名
ホントにそう、このアルバム以降の曲もそうですよね。

「美しき人生は超名曲!」P.N.さゆぽん(岡山県52歳女性)同様意見51名
今でも古びない、ロック史に残る名曲です。

「長生きしてほしかった」P.N.エアトラブル中山(徳島県62歳男性)同様意見70名
58歳でしたもんね。もっと生きて新曲を聴かせてほしかった、トラヴェリング・ウィルベリーズだってもっと聞いてみたかった。

「石丸電気で買った」P.N.白髪爺(埼玉県62歳男性)同様意見ナシ
おお、僕の先輩がおりました! 広くて居心地のいいレコード売り場でしたね、懐かしいです。

「10文字?馬鹿か」P.N.ぎね子(東京都43歳女性)同様意見32名
ああ、33名もの方に責められてる……。でも続けますよ~。

ほか、多数の10文字コメントをいただきました。ありがとうございました。

さて、次回の洋楽対決アンケートは、本日12月10日18:00スタートを予定しています。4年ぶりにクリスマスソング対決を行います。 会員の皆様ふるってご参加ください。先着5,000名様。 詳しくはマイナビニュース、会員ページをご覧ください。

最後に僕の選んだベスト8の一気に聴ける再生リストをご紹介します。

御徒町晴彦が選んだ「オール・シングス・マスト・パス」ベスト8はコレだ!

この曲が1位なんですよ~。順位がだいぶちがいます

  • 僕の人生とともに買ってきたオール・シングス・マスト・パス。LPで1975年から始まった旅はまだ終らない

  • ジョージ・ハリスン「オール・シングス・マスト・パス」

    アルバム「ダーク・ホース」発表時期、1974年頃のジョージ (C)BANG Media International

調査時期: 2021年9月14日~9月17日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 3,004名(男性2,267名 女性737名)
有効回答数:625
調査方法: インターネットログイン式アンケート

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