「ご時世」の意味をご存知でしょうか。

「こんなご時世なので」「世知辛いご時世だから」などと使われますが、意味や使い方までしっかり理解できている人は少ないかもしれません。

本記事では、「ご時世」の意味や類語をくわしく解説します。また、「ご時世」と似た表現の「ご時勢」との違いも説明しますので、ぜひご一読ください。

  • 「ご時世」とは

    「ご時世」について解説します

「ご時世」とは

「ご時世」の読み方

「ご時世」の読み方は「ごじせい」です。

「ご時世」の意味

「ご時世」とは「時代」のことを指す言葉です。

「ご時世」は、主に「とある時代を対象とした際の世の中」や「時代」という意味で使用されることが多い言葉です。世の中全体を表すだけでなく、「時間と一緒に移り変わる世の中」として使われることもあります。

  • 「ご時世」とは

    「時世」は、単体だと「じせい」の他に「ときよ」と読む場合もあります

「ご時世」の使い方・例文

文中で「ご時世」を使用するときは、「このご時世、~」や「このご時世に」などの形が一般的です。特に現代を対象とした話題で用いられます。

「ご時世」の使い方

「ご時世」の前に「こんな」「このような」をつけることで、「大変な時代」「よくない時期」と同等のニュアンスで使うことができます。メールでは「こんなご時世ですが」の書き出しから始まる一文を最後に添えることもあります。

「ご時世」の例文

  • こんなご時世ですが、無事にイベントを開催できました
  • このようなご時世なので、来週から在宅勤務に切り替えます
  • イベントが次々と中止になるとは、なんとも世知辛いご時世です
  • 今のご時世、イベントの中止なんて日常茶飯事だ
  • このご時世、第一希望の就職先に就ける人は少ないでしょう

「ご時世」を使う際の注意点

メールや手紙にみられる表現のひとつとして「ご時世柄」がありますが、実はこれは誤った表現です。最後に「柄」をつけるのは「時節」であり、「時節柄」と使用されます。

また、「ご時世」は基本的に暗い話題で使われる単語です。使用する主なタイミングとしては、不景気を嘆くとき、政治への不満を発したいときなどに適しています。「インターネットサービスの発展により、良いご時世になった」などと表現されることはほとんどありません。

  • 「ご時世」の使い方

    「ご時世」はあくまでもネガティブな表現として使用される言葉です

「ご時世」と「ご時勢」の違い

「ご時世」と同じ読み方の単語に「ご時勢」があります。同じ「ごじせい」でも、「ご時世」と「ご時勢」では意味が異なります。

「ご時世」は「とある時代においての世の中そのもの」のことを指すのに対し、「ご時勢」は「世の中の成り行き」を意味する言葉です。混同しないよう注意しましょう。

  • 「ご時世」と「ご時勢」の違い

    「ご時世」と「ご時勢」の違いについて解説しました

「ご時世」の類語・言い換え表現

「ご時世」と似た意味を持つ単語としては、主に「この時代」を表す言葉と「世の中の状態」を表す言葉の2種類に分類されます。

時代

「ご時世」の他に時代そのものを言い表す言葉には、「時代」や「この世」、「世の中」「社会」「世間」などが挙げられます。現代を表す「当世(とうせい)」も、「ご時世」の類語として用いられる単語です。

世の中・世間

「ご時世」と同じく「世の中全体の様子」を表現する単語として、「世の中」「世間」「社会」「世情」があります。「社会の有り様」を指す言葉で、「世情に明るい(= 世の中に精通している)」などと使われます。

「移り行く時代に伴い、世の中が変化していく様子」を意味する「風潮」もまた「ご時世」と同じように使用できるでしょう。「風潮に逆らう」などの形で使われます。

  • 「ご時世」の類語

    「ご時世」の類語について解説しました

「ご時世」の英語表現

ビジネス上で英語を使う機会が多いという人は、あわせて「ご時世」の英訳も確認しておきましょう。

in this day and age

「このご時世」を英語で言い換えると「in this day and age」となります。「今の時代」を表現できる慣用句です。

・In this day and age, many people are worried about the future.
(このご時世、将来に不安を抱えている人は多い。)
・I would like to introduce remote work as much as possible in this day and age.
(今のご時世できる限りリモートワークを導入したいものだ。)

times・world

「ご時世」を簡単に英単語ひとつで表す場合は「times」や「world」を活用しましょう。「difficult times」「hard times」で「大変なご時世」、「difficult world」「hard world」で「辛い世の中」と表現することができます。

・In these difficult times, it is difficult to even hold an event.
(大変なご時世、イベント開催すら困難です。)
・What a hard world we live in now.
(なんとも辛い世の中になったものです。)

  • 「ご時世」の英語表現

    「ご時世」は英語表現にも類似表現が多く存在します

「ご時世」の意味を理解して正しく使いましょう

「ご時世」とは世の中、または時代のことを表す言葉です。ネガティブな意味合いで使われるのが一般的であり、明るいニュアンスの文章には使用しない言葉ですので注意しましょう。

「ご時世」と同じ読み方で混同しやすい「ご時勢」の意味は、時代が移り変わるさまを言い表します。「ご」を除いて「時勢」として使われることが多いことも、あわせて覚えておきましょう。