米国ならびに台湾は、高官らによる経済対話をオンライン形式で実施した。台湾が高い競争力を持つ先端半導体生産などの分野で、中国への対抗力を引き上げるために今後の協力体制の強化策などを協議した模様である。

米国側からはフェルナンデス国務次官(経済成長・エネルギー・環境担当)、台湾側からは王美花経済部長(日本の経済産業大臣に相当)らが参加した5時間におよぶ会談の後、王氏は報道陣に対し、半導体を含むサプライチェーンの協力を中心に話し合ったことを明かし、「半導体産業に関する話し合いでは、現在の世界的な半導体不足による短期的な供給網のボトルネックの問題も含まれていた。それ以上に重要なのは、将来にわたる長期的な台湾と米国の協力だ」と訴えたという。

また、半導体の生産という観点では大きな位置を占める台湾は、世界的な半導体不足を解消するために全力を尽くしているとし、特に重要な国際的な支援国である米国に対して、この問題を真剣に受け止めていることを示したともしている。

なお米国政府は、中国が台湾を侵攻した場合に生じるリスクとして「半導体サプライチェーンの混乱」を挙げている。TSMCをはじめとする台湾ファウンドリは最先端半導体の生産をほぼ独占的に担っており、もしこれら台湾の半導体工場が1年間稼働できなければ、世界の家電市場だけで4900億ドルの損失が発生するとの試算を公表している。そのため、グローバルな半導体サプライチェーンの強化の一環として台湾の先端半導体生産の継続に最大の関心を寄せているとしている。