TSMCは、台湾南部の高雄市に7nm/28nmプロセス対応ファブ2棟を建設することを11月9日に最終決定し、2022年に建設を開始し、2024年より量産を開始すると、台湾の複数メディアが11月10日付けで伝えている。

11月9日に開催されたTSMCの取締役会は、高雄市政府に工場を設立するための借地(台湾中油の高雄製油所跡地)の引き渡しを求めることを決議し、これに対して高雄市の陳奇舞市長はTSMC歓迎の意を表明し、最高の投資サービスと環境を創造するために全力を尽くすと宣言したという。

TSMCは11月9日付で日本の熊本に28/22nmプロセス対応ファブの建設を発表したが、高雄でのファブ建設開始・生産開始時期が一致している。ただし、高雄では7nmクラスの先端プロセスファブが含まれているのに対し、熊本はレガシープロセス(TSMCではマチュア・スペシャルティテクノロジーと呼称)ファブのみの建設となっている。

高雄市には、世界最大級の半導体組み立て・検査受託企業(OSAT)であるASE(日本にも山形に本社工場を所有)や半導体メモリメーカーWinbondの工場があるほか、近年では半導体素材メーカーなども拠点を構えるなど、近い将来、世界有数の半導体産業クラスタとなると見られており、今回のTSMCの工場誘致成功で、他の半導体関連企業の誘致にも弾みがつくと思われる。高雄は台湾第二の都市で、台湾最大の港湾都市とも知られるほか、国際空港も有しており、台湾の南の玄関口となっている。

11月9日のTSMC取締役会では何が承認されたのか

なお、11月9日午後に開催されたTSMC取締役会(理事会)の承認事項に関するプレスリリースでは、2021年第3四半期の株式配当額の決定、設備投資やファブ建設などに関する総額90億ドル超の投資の決定、日本でのファウンドリサービス提供に向けた子会社設立の決定、K.C. Hsu氏のVice President(Integrated Interconnect & Packaging担当)就任の決定の4つが箇条書き的に述べられているだけであった。日本での製造子会社設置は独立した話題として取り上げられているが、高雄での工場建設については、設備投資やファブ建設といった表現の中に含まれていた模様である。