BluStellarをAI時代に対応した新たな変革モデルへ進化させる

NECは4月24日、同社が注力して取り組んでいる、顧客のDX(デジタルトランスフォーメーション)を戦略策定から実装まで一気通貫で支援する新たな価値創造モデル「BluStellar」を強化することを発表した。

説明会には、NEC 執行役副社長 兼 COOの吉崎敏文氏、同社 執行役Corporate EVPの木村哲彦氏、執行役Corporate EVP 兼 CAIO(チーフAIオフィサー)の山田昭雄氏が登壇し、AIの進化とそれに伴う市場環境の変化について説明した。

  • 「AI Native Company」を目指して

    「AI Native Company」を目指して

吉崎氏は、AIによる市場環境変化について「AI産業革命により産業構造は劇的に変化し、AI技術関連の市場需要が拡大した」と説明。NECはこの変化を価値創出プロセス全体の変革として捉え、「AI Native Company」を掲げる。

  • AIによる市場環境変化

    AIによる市場環境変化

AIネイティブとは、AIを前提に業務や組織を設計し直す考え方を指す。吉崎氏はNECの目指すべき姿として「AI Native Company」を示し、その実現にあたって「AIを前提とした組織の絶え間ないアップデート」と「人間性を十分に発揮するためのAI活用」の2点を重視すると述べた。

  • AIによる市場環境変化を説明する吉崎氏

    AIによる市場環境変化を説明する吉崎氏

こうした考えのもと、BluStellarはAI時代に対応した新たな変革モデルへと進化する。

NECのAXとは何か?60%効率化の中身

今回の強化では、NEC自らがAX(AI Transformation)を実践し、培った知見をベースにBluStellar ScenarioのAXを顧客に展開していく。

「現在は経営課題の解決に向けDXの成功ノウハウをシナリオとしてする形で運用されていますが、今回のアップデートに伴い、抜本的な経営変革に向けたAXの実践知をベースにシナリオを強化する形に移行していきます」(木村氏)

  • BluStellar ScenarioのAX推進について説明する木村氏

    BluStellar ScenarioのAX推進について説明する木村氏

NECの社内で進めてきた「クライアントゼロ」の取り組みでは、自社業務でのAI活用実績を顧客向けソリューションへ反映し、継続的な改善サイクルを回すことで、シナリオの質を高めていくという。

説明会では具体例として、管理会計領域のプロセスが紹介された。

現在のように人がAIをツールとして使うプロセスから、AIエージェント同士が連携する自律型プロセスへ移行することで、約60%の業務効率化と意思決定の迅速化を見込む。

  • シナリオのAXによる顧客の新しい価値創出の例

    シナリオのAXによる顧客の新しい価値創出の例

さらにAIコンサルティング機能も強化し、AIが複数の経営シナリオを提示することで、人は意思決定と合意形成に専念できる体制を整える。

AI Platform Serviceとは?BluStellarを支える基盤

山田氏は、新たな基盤として「AI Platform Service」を発表した。同サービスは、2026年5月より順次提供開始される予定だ。

  • 「AI Platform Service」のイメージ

    「AI Platform Service」のイメージ

同サービスは、AI活用に必要な各種機能をサービスとしてワンストップ提供するもので、NEC独自機能とパートナー技術を組み合わせ、AI活用を支える100以上のサービスを提供する。

AI活用を支える機能群を集約し、AI Platform Serviceとして一体で提供することで、AX加速のイネーブラーとしてビジネスモデルの進化を支える。

  • 「AI Platform Service」を説明する山田氏

    「AI Platform Service」を説明する山田氏

特徴は、「高度な業務への対応と運用コストの両立」「垂直統合型でのガバナンス確保」の2点。山田氏はこれら特徴について、以下のように説明した。

「コンパクトな専門領域特化型モデルの開発・提供を拡大し、小規模な汎用インフラでも運用できる体制を強化します。これにより導入・運用コストを抑制し、蓄積した社内データやノウハウを最大限活用しながら、複雑な専門業務にも対応した高度なAI運用が実現されます。加えて、高度な専門性と業務理解を備えたモデルにより、業務フローへの組み込みやAIエージェント化もスムーズに推進できます」(山田氏)

  • AI Platform Serviceの特徴①

    AI Platform Serviceの特徴①

また、Cisco AI Defenseによるグローバル標準対応のAIガバナンス機能と、AIガードレールや自律的な改善機能など独自のAIハーネス技術を組み合わせることで、ネットワーク層からアプリケーション層まで垂直統合型でガバナンスを確保し、信頼性・安全性の高いAI運用環境を提供する。

グローバル標準対応のAIガバナンスでは、システムの品質や倫理リスク、セキュリティリスクなどを包括的に評価し、AIリスクを継続的に監視する。

さらに、AIガードレールやAIの自律的な改善機能、信頼された学習データの活用などにより、入力から出力、学習段階に至るまでデータの適正管理を徹底し、データ主権の確保を実現するという。

  • AI Platform Serviceの特徴②

    AI Platform Serviceの特徴②

なぜAnthropicと提携?NECの戦略の狙い

さらに、NECは、米Anthropicとの戦略提携も発表した。NECは日本企業で初めてAnthropicのグローバルパートナーとなり、生成AI「Claude Code」をNECグループ3万人に展開する。

金融、製造、自治体など、高品質・高セキュリティが求められる領域での活用を想定し、業種特化型AIの共同開発を進める。

NECでは、日本企業特有のレガシーシステム環境や、高い信頼性要求に対応できる点を評価したとしている。

NECはどこを目指す?2030年1.3兆円の現実性

NECは、2030年度にBluStellar関連で売上収益1兆3000億円、調整後営業利益率25%を目指す目標を掲げた。AI市場の成長取り込み、高付加価値サービス比率の上昇、社内コスト構造改革の3点を収益改善の柱にするという。

吉崎氏は、「NEC自身がAIで変わり、その成果を顧客価値として還元する」と強調。DX支援企業から、AI時代の価値創造企業への転換を進めるNECの挑戦が本格化する格好だ。