SK Hynixが、中国無錫にある自社のDRAM工場にEUV露光装置を導入する計画に対し、米国政府が懸念を示しており、先行きが不透明になっているとロイターがソウル発の話題として報じている。SK Hynixからの公式発表ではなく、事情に詳しい複数の関係者からの情報だとしている。

SK Hynixはすでに2021年7月に、韓国利川の本社工場にてEUVを採用した第4世代10nmプロセス技術「1α nm世代」を適用したモバイルDRAMの量産を開始したことを明らかにしている。

一方の無錫工場は、SK HynixのDRAM製品の約半分を製造しており、本社工場でのEUV導入の成功を受け、大規模工場である無錫工場への導入を計画していたという。

大手DRAMメーカー3社中、中国でDRAMを製造しているのはSK Hynixだけで、もし米中貿易摩擦が近いうちにでも解決しない場合、韓国のみでDRAMを製造するSamsung Electronics、米国、日本、台湾でDRAMを製造するMicron Technologyに後れを取る可能性がある。

ちなみに、中国最大のファウンドリであるSMICも、すでに数年前にEUV露光装置の発注をASMLに行っており、当初は2019年末にも納入される予定であったが、米中貿易摩擦の影響で、いまだに導入のめどが立っていない模様である。EUVのような最先端露光装置の中国への輸出にはオランダ政府の許可が必要であり、ASMLは「政府の承認を待っている段階だ」と説明しているが、実際は米国政府が中国勢に対して出荷しないようにオランダ政府に要請していると言われており、出荷できない状況に陥っているとみられている。