NECは4月28日、2025年度(26年3月期) 通期決算を発表した。2025年度通期の実績は、売上収益が前年度比4.7%増の3兆5,827億円、Non-GAAP営業利益が前年度比859億円増の3,972億円、調整後営業利益が前年度から997億円増の3,868億円と、増収増益となった。
代表取締役執行役社長兼CEOの森田隆之氏は、2025年度 通期決算のポイントとして、売上が実質ベース(法人向けPC販売機能移管、低収益ハードウェア事業の撤退等の影響を除く)で9%成長、利益率は二桁に達したことを挙げた。
好調を牽引したのはどの事業か?
2025年度通期として、ITサービス・社会インフラの両セグメントで増収増益を達成した。
ITサービス:BluStellarが大幅な増収増益達成
ITサービスのうち、国内はパブリック領域の需要を取り込み、実質ベースで9%の増収を達成、BluStellar拡大や構造改革効果により、利益率は3pt改善した。
同社の主力事業であるBluStellarはデータドリブン、モダナイゼーション領域のシナリオが好調で大幅な増収増益を達成、「期初の計画も大幅に上回った」(森田氏)という。
森田氏は、国内ITサービスの受注動向について、「需要は引き続き堅調」と説明した。
社会インフラ:航空宇宙・防衛が好調
航空宇宙・防衛の伸長が、社会インフラ事業を牽引した。
テレコムサービスで基地局事業の見直しに伴い、徹底した資産クリーンアップを断行。また、ANSでは航空宇宙・防衛が好調で、海洋は追加費用計上するも事業改革が進展し赤字が縮小された。
2026年度業績はどうなるのか?リスクは?
2026年度 業績予想は、売上収益が前年度比2.3%減の3兆5000億円、Non-GAAP営業利益が前年度比228億円増の4200億円、Non-GAAP当期利益が前年度比52億円増の2850億円と発表された。
2026年度より、利益指標はNon-GAAPベースに一本化される。今回、部材リスクやマクロ経済環境の不透明性を踏まえ、売上で1,000億円、Non-GAAP営業利益で300億円のアローワンスが織り込まれており、事業進捗を踏まえて適宜見直しされる。
森田氏は2026年度について「ITサービスはBluStellarの拡大で改善を見込んでおり、AIを活用したシナリオ拡大に取り組む。海外は前年度の不採算案件を抑制する」と説明した。
「SaaS is dead」をNECはどう捉えるか?
さて、AIの台頭により、「SaaS is dead」という議論が広がっている。こうした見方について森田氏は、「自社にとって大きな風が吹いている」と語り、否定的に捉えるのではなく、マーケットの拡大とAIの社会実装が加速する契機になるとの認識を示した。Anthropicとの提携も、その流れを後押しする取り組みの一つと位置付ける。
従来のSaaSモデルが前提としてきた価値提供のあり方は変化しつつあり、AIを組み込んだ新たな競争環境が立ち上がりつつあり、同社はその変化を成長機会と捉えている。
NECはAIで何に投資するのか
こうした環境変化を踏まえ、森田氏はNECとしてAIに関する投資を継続する方針を示した。
2022年度にはAI向けスーパーコンピュータへの投資を実施しており、基盤となるAIインフラに引き続き投資する。加えて、「クライアントゼロ」として自社内であらゆるAI活用を先行的に実装し、実運用の中で知見を蓄積する考えだ。
さらに、人材への投資も重視する。教育やリスキリングを通じてAI人材の育成を進め、開発だけでなく現場での活用・定着までを含めた実装力の強化を図る。
なぜ「実装」が競争力になるのか
森田氏は、今後の競争軸について「LLMそのものではなく、実装が重要になる」と述べた。
AIの価値はモデル単体ではなく、実際の業務や社会にどのように組み込まれるかによって決まる。そのため、セキュアなクラウド環境の整備、AIを前提としたデータ基盤の構築、エージェントを活用するためのプラットフォームなど、実運用を支える領域の重要性が高まるという。
NECは、これらの領域を一体的に手がけることで、AIの社会実装を支える存在として競争力を確立していく考えだ。




