Intelが計画していた、半導体不足の解決策として中国・成都の半導体工場における生産能力増強について、安全保障上の懸念を理由に米国バイデン政権が思いとどまるよう強く求めたと、13日付のBloombergをはじめに複数の米国メディアが報じている。

それらによると、Intelは成都に所有する後工程工場において前工程製造を計画し、2022年末までに稼働させる予定だったという。

Intelが計画の了解をホワイトハウスにひそかに打診していたものがリークされた模様で、同社はすでにこの計画を思いとどめ、技術革新や経済に不可欠な半導体に対する旺盛な需要への対応に役立つ別の解決策を探るとしているという。

IntelのPat Gelsinger CEOは、2021年3月に新たな半導体戦略「IDM2.0」を発表し、「半導体製造拠点がアジアに偏在しすぎているため、新工場は、アジアをさけて、米国および欧州に新たに設置する」と述べていた。

しかし、これは半導体業界全体の潮流であり、Intelに限れば、中国大連にあるNAND工場(Intel Fab 68)をSK Hynixに売却する契約を締結済みであり、これが実現すればIntelのアジアにおける前工程ファブは皆無となり、 むしろ業界全体の潮流に逆行する形となってしまう。

今回の成都での前工程工場立ち上げについて、業界関係者からは中国での製造コストは魅力的な安さであり、そこが検討されるきっかけになったのでは、という声がある。

Geisinger CEOはTSMCの米国への工場進出に際し、米国政府が補助金を支給することに反対し、米国企業による米国工場にこそ補助金を支給すべきであると主張している。そうした事情もあり、今回の計画も米国政府の意向に反するという判断から撤回したものとみられる。なお、米国政府は、米国の投資会社や半導体企業などが中国向け投資を継続、さらには増額していることに関し、何らかの規制を行う準備をしているのではないかと、一部では噂されている模様である。