モーツァルトは18世紀の有名な音楽家で、35年ほどの生涯に「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」、「レクイエム」など、数多くの名曲を作曲したことで知られている人物です。幼いころから神童と呼ばれた彼の人生はのちに戯曲化され、今でもミュージカルとして上演されています。1984年の映画『アマデウス』もアカデミー賞を受賞するなど、高い評価を得ています。

この記事では、モーツァルトの人物像や作曲したピアノ作品ジャンル、代表的な作品などを紹介します。音楽界の偉人について興味がある人は、ぜひご一読ください。

  • モーツァルトとはどのような人物?

    モーツァルトがどのような人物なのか、および彼の代表作などを紹介する記事です

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトとは

Wolfgang Amadeus Mozart(ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト/以下、モーツァルト)はオーストリア生まれの、世界中で有名な作曲家です。1756年1月27日にオーストリアのザルツブルクに生まれ、1791年12月5日にウィーンで35年という短い生涯を終えました。

モーツァルトの幼少期

モーツァルトは幼少の頃から父親による英才教育を受けてきました。神童と呼ばれ、たった5歳で最初の作品を書いたと伝えられています。

モーツァルトは父親に連れられて、ウィーンやドイツのミュンヘンなどヨーロッパ各地を旅していました。ウィーンやパリ、ローマなど、各地の宮廷で演奏したり、教会でオルガンを弾いたり、道中で作曲したりと、その才能に磨きをかけていきます。

モーツァルトの家族関係

モーツァルトは、バイオリン奏者で作曲家でもあったレオポルトと妻マリア・アンナの間に生まれました。2人には7人の子どもがいましたが、うち5人は幼少期に亡くなっています。夭折を免れたのは兄弟姉妹7人のうち、姉のナンネルとモーツァルトだけでした。

モーツァルト自身はドイツのロマン派初期の作曲家ウェーバーの従妹であるコンスタンツェ・ウェーバーと父の反対を押し切って結婚し、2人の子どもをもうけました。

古典派音楽を確立

古典派とは、バロック様式の後に西ヨーロッパを中心に、各地に広がっていった新しい様式の音楽です。古典派の中心にはウィーンで活躍したF.J.ハイドンやモーツァルト、ベートーベンらがいました。交響曲、室内楽曲、協奏曲など、たくさんの音楽が発達していきます。

中でもモーツァルトはF.J.ハイドンと並んで、古典派音楽を確立したことで知られている人物です。

モーツァルトの死因

モーツァルトは、1791年に35歳という若さで亡くなりました。死因は急性粟粒疹熱と記録されているそうですが、他にもライバル関係にあったとされるアントニオ・サリエリによる毒殺説や、加熱が不十分な豚肉を食べたことによる感染症説、リウマチ熱説など、さまざまな死亡原因のうわさが流れています。

2009年にはアムステルダム大の研究チームによって、連鎖球菌性咽頭炎からの合併症の可能性があったとの発表もされています。いずれにしても正確な死因は特定されておらず、いまだに人々のあいだでさまざまな憶測が飛び交っています。

ミュージカルや映画『アマデウス』でも知られる

彼の人生は戯曲化されてオペラやミュージカルとなったり、映画化もされたりもしています。1984年のミロス・フォアマン監督による映画『アマデウス』は、第57回アカデミー賞で作品賞・監督賞・主演男優賞など計8部門でオスカーを獲得。高い評価を得ています。

  • モーツァルトとはどのような人物?

    モーツァルトは古典派音楽を確立した人物で35歳で亡くなりました

モーツァルトが作曲したジャンルを解説

モーツァルトは現代でも愛されている数々の名曲を作曲しました。モーツァルトが作曲したピアノ作品は、いくつかのジャンルに分類できますのでみていきましょう。

ピアノ・ソナタ

ピアノ・ソナタは、ピアノのための独奏曲の中心にあった楽曲です。第18章まであり、19歳のときに最初の6曲を作ったとされています。

ピアノのための変奏曲

変奏曲とは、一つの主題をもとにして旋律をさまざまなかたちに変奏させていく形式の曲です。

モーツァルトは幼少期から、このピアノのための変奏曲を作曲しており、亡くなる年に作曲された作品もあります。モーツァルトが長きにわたり作り続けたジャンルです。

2台のピアノや4手のための作品

2台のピアノや4手のための作品はその名のとおり、2台のピアノや4手とよばれる2人で1台のピアノを弾く連弾用のために作られた曲です。ピアノ愛好家がサロンや家庭で演奏を楽しむための作品であったといわれています。

ピアノのための小品

ピアノのための小品には、アダージョやロンド、フーガ、アンダンテ、幻想曲、メヌエット、前奏曲など多彩な作品があります。

ピアノのための小品は、未完のままになっている曲や、断片しか残っていない曲も多く、モーツァルトの死後に別の人物が何小節かを追加した作品もあります。

ヴァイオリン・ソナタ

モーツァルトが最初に出版した作品がヴァイオリン・ソナタの曲集です。モーツァルトが作曲したヴァイオリン・ソナタは、他の作曲家に比べてピアノの役割が大きいのが特徴です。

ピアノ協奏曲

協奏曲は、ピアノやヴァイオリンなどの独奏楽器とオーケストラが合奏するかたちの楽曲。カデンツァとよばれるソリストによる独奏パートがあるのが特徴です。

モーツァルトのピアノ協奏曲は1773年に作られたニ長調KVV175が最初の作品といわれています。

ピアノを伴う室内楽

ピアノを伴う室内楽には、ピアノ3重奏曲やピアノ4重奏曲などがあります。

ピアノ3重奏曲は一般的にピアノ・ヴァイオリン・チェロ、ピアノ4重奏曲がピアノ・ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロで演奏される楽曲です。モーツァルトが作ったピアノ4重奏曲は2曲しか残っていません。

  • モーツァルトが作曲したピアノ作品ジャンル

    モーツァルトは数多くのピアノ曲を作曲していていくつかのジャンルに分類できます

モーツァルトの代表曲一覧

ここからは、モーツァルトが作った代表曲を紹介します。

レクイエム

レクイエムは死者のために歌われるミサ曲のことで、日本では「鎮魂曲」とも呼ばれています。

このレクイエムはモーツァルトの残した最後の作品。モーツァルトは制作の途中で亡くなってしまったため、別の人物によって完成されています。フォーレ、ヴェルディがそれぞれ作ったレクエイムとこのモーツァルト作のレクイエムをあわせて「3大レクイエム」と呼ばれます。

アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク

「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」は、別名「セレナード第13番」と呼ばれることもある作品で、「小さな夜の曲」という意味があります。弦楽器だけで演奏され、ピアノは使われません。

華やかな明るい曲で、たくさんの人に愛されています。

フィガロの結婚

「フィガロの結婚」は、モーツァルトが作曲したオペラです。にぎやかなラブコメディにぴったりな「恋とはどんなものかしら」「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」などの楽曲がよく知られています。

魔笛

「魔笛」はモーツァルトが人生最後に完成させたオペラで、内容を理解しやすく人気のある作品です。おとぎ話の冒険的なストーリーと、フリーメイソンの象徴的な話が組み合わせられています。

喜劇とシリアスなストーリーが混ざり合い、モーツァルトの才能が発揮された作品です。

トルコ行進曲

「トルコ行進曲(ピアノ・ソナタ 第11番)」は、トルコ風の打楽器の響きを取り入れている、有名なピアノ・ソナタです。ピアノを習っていた人なら、弾いたことがある人も多いでしょう。

当時のウィーンでは、街中でトルコの音楽家たちによってトルコ風の音楽を演奏するのが流行していたことが、作曲された背景にあります。

ジュピター

「ジュピター(交響曲 第41番)」は、モーツァルトの作曲した最後の交響曲です。荘厳で堂々とした曲になっており、後年ローマの最高神ジュピターにちなんでこの名が付けられました。

  • モーツァルトの代表曲

    モーツァルトはピアノ曲以外にもたくさんの名曲をつくっています

モーツァルトの作品は名曲ばかり!

モーツァルトはすでに亡くなっていますが、今でも世界中で愛される名曲を数多く作曲したことで知られる人物です。最初に作曲したのは5歳といわれていて、「フィガロの結婚」「魔笛」「トルコ行進曲」などが代表曲です。

ピアノなどの音楽を習っていなくても、有名な作品であれば学校の授業やテレビなどで聴いたことがある人も多いでしょう。有名な作品以外にも名曲がたくさんあるので、ぜひこの機会に他の作品も聴いてみてください。