『転生したらスライムだった件』(リムル=テンペスト役)や『アイドルマスター シャイニーカラーズ』(市川雛菜役)をはじめ、数々のアニメ・ゲームで主役やメインキャストを務める声優・岡咲美保。9月にアーティストとしてもデビューを果たしたばかりの彼女が、早くも11月3日に2ndシングル「ペタルズ」をリリースする。しかも、表題曲はTVアニメ『ジャヒー様はくじけない!』の第2クールED主題歌となっており、アニメ主題歌も初担当を果たした。今回はシングルの話題を中心に、デビュー後の率直な心境などについて語ってもらった。
●アニメソングらしく、アニメとも一緒に「ペタルズ」を楽しんでもらえたら
――デビューシングル「ハピネス」のリリース後、様々な反響も届いていると思います。それを受けた今は、どんなお気持ちですか?
ハピネスです!!
――やっぱり(笑)。
それに、アーティスト活動で大切にしていきたいことが、リリース前よりもはっきりしたような気もしています。元々私が声優としての活動やアーティスト活動に憧れていたのは、自分自身歌うことが好きだったり、自分がステージに立つ姿への憧れがあったり……と自分の方に向いた気持ちが大きかったと思うんです。でもリリース後にファンの方から、想像していた以上に温かくて愛ある言葉をお手紙やTwitterの返信などを通じていただいて、ものすごいの感動が押し寄せてきて……そんななかで「ファンの方のためにステージに立ったり歌をうたうこと」をいちばん大切にしたいな、という気持ちが固まったような感じがしました。
――その言葉を通じて、頑張りが評価されたような感覚もあったり?
それも、ありました。やっぱりリリースまでには自分の中で不安を感じた時期もあったので、ファンの方からの言葉にはすごく癒やされましたし、今も支えられています。
――そしてニューシングル「ペタルズ」は、岡咲さん初のアニメ主題歌となりました。
そうなんです!それに、私の中では”アニメソング”はすごく特別なもので。声優を志すようになった中学生の頃から、アニメやボーカロイドが好きな友達と一緒にカラオケに行って、アニメソングで盛り上がったりしていましたし、アニソンに魅了されていました。だから、岡咲美保として声優として作品に出演させていただけるうえに、アニメソングを歌わせていただけることは、本当に光栄です。
――またひとつ、夢がかなった曲になったわけですね。
はい! なのでうれしさや驚きもありましたし、「歌の面からも作品に寄り添えるよう、頑張りたい!」という気合いもすごく入りました。
――ちなみに、ED主題歌に起用された『ジャヒー様はくじけない!』という作品自体には、どんな印象をお持ちですか?
大人はもちろんお子さんまで楽しめそうな、いろんな魅力の詰まった作品ですよね。魔界No.2だったジャヒー様が人間界で奮闘する姿がすごくコミカルかつ色彩豊かに描かれていますし、そのなかで出会ういろんなキャラクターもすごく個性豊かなんですよ。なのでドタバタな感じを笑って楽しんでもらえる作品でありつつ、私みたいな社会人になって日が浅いような大人が観たら、同時にちょっとせつなさを感じるようなところもあるといいますか……ジャヒー様を通じて一瞬一瞬の大切さみたいなことを学ばせてもらえるんです。それはやっぱり、何よりジャヒー様が魅力的だからだと思っていて。ジャヒー様を通した景色を一緒に味わえるところが、私は好きです。
――そこに岡咲さんが演じる魔王様も今後絡んでくるでしょうし、すでにED映像終盤のいいシーンにも登場しています。
そうなんですよ! しかも(上坂)すみれさんが歌われているOPの映像でも、最初のすごくキャッチーな部分に登場したりと、第2クールの注目キャラクターのひとりとして登場しています。それにやっぱり、アニメの最初と最後に映像付きで流れるというのもアニソンのいいところだと思うので、アニメとも一緒に「ペタルズ」を楽しんでいただけたらうれしいです。
――アニソンのいいところというと、楽曲と作品のイメージが強く結びつくという点もあると思います。岡咲さんはこの曲のどんな部分が作品のイメージに結びついていると感じましたか?
まず「ペタルズ」という言葉に馴染みがなかったので調べたら、「Petal」が「花びら」という意味だったので「花びらたち」という意味になるのですが……それを踏まえて歌詞を見ながら曲を聴いているうちに、花びら舞う光景と突然人間界に堕とされてしまって初めての経験に奮闘するジャヒー様が重なって。それって渦中にいると、なかなか冷静に振り返れないことだと思うんです。 でもそういう経験や出会いを一つ一つ大切にしてもいいんじゃないかな……ということを、表現してくださったように感じたんです。しかもそれは同時に、この半年ぐらいでいろんなことを経験してきた私自身にも重なるように思ったんですよね。
●デビューシングル「ハピネス」との、偶然のリンクとは?
――そんなこの曲、歌声からは全体的にワクワク感も強く感じました。レコーディングでは何を大事にされていったのでしょう?
落ちサビやBメロではエモさみたいなものを大事にしたいな、という意識も持って歌っていたんですけど、「ここから踏み出して」といった前向きなフレーズがたくさんある曲なので、この曲を通じて背中を押せるように”踏み出す”という部分も大事にしたくて。元気さや華やかさをベースに持っていました。ただ私の中で、ED主題歌はしっとりした柔らかいイメージも持っていたので、すごく華やかで素敵なブラスから始まるこの楽曲の中にも、明るさや元気さに加えて柔らかさも出したいな……という気持ちがあったんです。そこで自分の中で意識したのが、ファルセットボイスだったんですよ。
――明確に歌い方に違いを出した部分があったというか。
はい。レコーディングには作曲の本多友紀さんが来てくださって、本多さんや自分の音楽プロデューサーさんと話し合うなかで、自分のキーレンジ的には地声でも歌えるところを、あえてファルセットで出すことにしたところがあったんです。
――サビの入りの部分?
そうです! 「瞳 揺らす色彩は」の「揺らす」。その「揺らす」っていう言葉も、結果的にファルセットのか細い感じにも合っていたんですよね。でも次の「移り変わる色彩が」の「変わる」は、地声で歌っているんですよ。
――サビの終盤、サウンドが静かめになったところでもう1回同じ高さの音が出てくるときにも地声で突き抜けていくので、冒頭のファルセットといいコントラストになっていますよね。
そうなんですよ! やっぱり声優として自分が歌うという意味も持たせたかったので、いろんな表情を出せるように試行錯誤しました。感情表現の多彩なジャヒー様や表情豊かな作品の世界観を、歌声からも表現したかったんです。それに、声優のお仕事のなかで声のトーンや息の量などの少しの違いで聴こえ方がガラッと変わるということも学んできていたので、そこには特にこだわりました。
――その他にも、岡咲さんお気に入りの部分はありますか?
落ちサビがすごく好きです!この部分の「私が世界の中心です」とか「世界はきらめいた」というフレーズが、「ハピネス」とすごいリンクするんです! プロデューサーさん曰く偶然らしいんですけど、でもそこが自分的にはすごくエモいんですよね。
――偶然とはいえ、岡咲さんが歌う意義がそこに存在するというか。
そうなんです。そういう「作品のカラーを出しながら、『岡咲が歌うから、意味がある』みたいなところを出す」ことには、曲をいただく前からチャレンジしたいと思っていました。しかもそれだけじゃなくて、その「世界はきらめいた」というフレーズは、心の扉を開きだしたジャヒー様が人間界の素敵さを感じ始めた……という姿も思い浮かぶので、お気に入りのポイントなんです。