ライチの栄養成分には、葉酸やビタミンC、ポリフェノールなどがあります。うろこ状の果皮とみずみずしい果肉が特徴です。
この記事では、ライチに含まれる栄養素や期待できる効果・効能について解説します。おいしいライチの選び方や正しい保存方法も紹介しますので、参考にしてみてください。
ライチの旬や種類は?
ライチとは、ムクロジ科レイシ属の果樹であるレイシの果実のことです。果樹の場合は「レイシ(茘枝)」と呼び、食用の果実を指す場合は「ライチ」と呼びます。英語では「Lychee」と綴ります。中国風の発音で呼ぶ場合は「ライチー」または「リーチー」です。
レイシは常緑高木で高さは15mにおよぶこともあります。2月から3月頃に花を咲かせて、6月から7月頃に果実であるライチが実ります。
ライチは赤色の固いうろこ状の皮に包まれており、中の果肉は半透明もしくは乳白色。なめらかで、みずみずしいゼリーのような食感が特徴です。香りはさわやかで上品。果肉の中には大きな種がありますが、甘みと酸味のバランスが良く、食べやすい果物として人気があります。
ライチの主な産地は中国や台湾
ライチは中国が原産とされており、現在でも中国や台湾で盛んに栽培されています。
熱帯や亜熱帯地域などの温暖な気候で育つライチ。日本での栽培は盛んではありませんが、国内でも沖縄県や鹿児島県でわずかに栽培されています。基本的に国内で流通しているライチは中国や台湾などの輸入品です。
また、ライチは別名「美の果実」とも呼ばれ、原産国の中国ではさまざまな逸話が残っています。たとえば、中国の唐時代の皇妃であった楊貴妃(ようきひ)が好んで食べていた果実がライチであったという説もそのひとつです。
ライチの種類
ライチにはいくつかの品種があり、大きくわけると「グリーンライチ」と「黒葉」の2種類に分類できます。
- グリーンライチ
グリーンライチは「妃子笑(ひししょう)」と呼ばれる中国産の品種と、「玉荷苞(ぎょくかほう)」と呼ばれる台湾産の品種などがあります。
グリーンライチは皮が固く、黄緑色で一部が赤色になっているのが特徴です。果肉が大きいため、食感とジューシーな果汁を楽しむことができます。
なお「妃子笑」という名前は、ライチを目にした楊貴妃が微笑んだことに由来しているそうです。
- 黒葉(こくよう)
黒葉(こくよう)は主に冷凍品として流通しているライチで、うろこ状の皮はグリーンライチよりも平坦なのが特徴です。赤色をしており、小ぶりではありますが濃厚な甘みが魅力とされています。
ライチの旬はいつ?
生のライチの旬は、初夏から7月と短くなっています。
新鮮な生のライチはあまり日持ちしないため、冷凍や缶詰に加工されて1年中流通されています。また、国産のライチは6月中旬から7月頃までが旬であり、基本的にこの限られた期間にしか出回っていません。
ライチの栄養成分
「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」によると、ライチ100gあたりの主な栄養成分は下記の通りです。
重量 | カロリー | 水分 | カリウム | 葉酸 | ビタミンC |
100g | 61kcal | 82.1g | 170mg | 100μg | 36mg |
ライチで期待できる効果・効能
ここからは、ライチの栄養成分から期待される効果や効能を紹介します。
葉酸は妊娠中の体調サポートに
ライチに豊富な葉酸には、細胞の生産や再生を助ける作用があり、胎児の成長にとって必要不可欠な栄養素とされています。そのため、妊娠中の方は積極的に摂取したい栄養素です。
また、細胞の生まれ変わりを促してくれる葉酸には、肌や髪を美しく保つ効果も期待できます。
ビタミンCは美肌効果に
ライチに含まれるビタミンCは強い抗酸化作用があり、シミの原因とされるメラニン色素を抑制するため、日焼けの予防にも効果的です。
葉酸・ビタミンCは貧血予防の効果も
葉酸はビタミンB群の一種であり、赤血球の合成を助ける働きを持つため、「造血のビタミン」とも呼ばれています。ライチに含まれる葉酸には、赤血球の合成を促して鉄分と結びつく働きがあり、貧血症状の予防につながります。
赤血球には肺に取り込まれた酸素を全身に運ぶ働きが備わっています。そのため、赤血球が不足すると全身の酸素が足りなくなり、動悸や立ちくらみなどの貧血を引き起こしてしまう可能性があるのです。
さらにビタミンCは体の免疫力を高めるだけでなく、鉄分の吸収を高める効果があるため、葉酸とあわせて貧血対策ができる栄養素といえます。
カリウムはむくみの予防に
むくみの主な原因は、細胞間に溜まっていく余分な水分です。
ライチに含まれるカリウムは、体内に残っている余分なナトリウム(塩分)を体外へ排出する働きがあります。むくみの緩和以外にも塩分の摂りすぎを防止したり、高血圧の原因になりうる要素をおさえたりする効果も期待できます。
おいしいライチの選び方
新鮮で美味しいライチを選ぶためには、皮の状態をよく観察することが大切です。品種によって皮の色合いは異なりますが、基本的に鮮やかな色が残っているライチを選ぶことをおすすめします。
ライチの新鮮さを見分けるには、皮にハリや重量感があり、みずみずしさが感じられることもポイントです。鮮度が落ちていると、皮にはシワが入って茶色くくすんだような色に変化してしまいます。
ライチの皮は傷つきやすく、傷から痛みが進行してしまうため、皮に傷やシワがない綺麗な状態のライチを選ぶといいでしょう。
ライチの保存方法
ライチは日持ちしにくい果物であり、生の場合は4日から5日ほどで皮が変色して、味が落ちてしまいます。長期保存したい場合は、ライチのみずみずしい風味が保てる冷凍保存がおすすめです。
ライチを冷凍保存する方法
冷凍した際にできる霜を防止するため、ライチを軽く水洗いをしてキッチンペーパーなどで水気をよく拭き取ります。
次に冷凍用保存袋入れて、空気を抜いて密閉した状態で冷凍庫に保管します。
冷凍したライチを食べる時は、電子レンジを使わず、自然解凍もしくは冷蔵庫でゆっくり解答するようにしましょう。
ライチを冷蔵保存する方法
ライチを購入後、すぐに食べられない場合は、冷蔵保存も効果的です。
冷凍保存と同じように軽く水洗いをして水気を切ります。ライチを新聞紙で包んだらビニール袋入れて、冷蔵庫の野菜室に保管します。
冷蔵庫の中は乾燥しやすいため、購入時パックなどに入っている場合はビニール袋に移してください。その際、ビニール袋の口は通気性を確保できるように軽く縛るのがポイントです。
冷蔵保存とはいえ、ライチはもともと日持ちしない果物ですので、早めに食べるようにしましょう。
ライチの栄養素は貧血やむくみの予防に効果的
ライチはレイシと呼ばれる果樹の果実です。
赤くうろこ状の皮で覆われ、果肉は半透明、上品な香りと強い甘みが特徴で、栄養素にはビタミンCや葉酸、カリウムなどがあり、貧血やむくみの予防、妊娠中の体調を整える効果があるといわれています。
生のライチは旬が短いため、冷凍や缶詰に加工されて年間を通じて流通しています。生食はもちろん、ドリンクやサラダなどのトッピングとしても活用できる優秀な一面もあります。
ライチは日持ちしないため、すぐに食べない場合は早めに冷凍保存するなど、美味しく食べる工夫も必要です。