トヨタ自動車の「プロボックス」といえばいわずとしれた四角い商用車(はたらくクルマ)だが、このクルマをキャンプにも連れ出せるおしゃれなアウトドア車にカスタマイズする専門店がある。実車を見つつ、その「PROBO STYLE」に話を聞いてきた。
好みの1台を仕上げる楽しみ
プロボックスは積載性と堅牢さを絵にかいたような四角くてシンプルな商用車だ。街を歩けば、1日に1台は必ず見かけるほどよく働いている。
はたらくクルマなので、それで結構といえば結構なのだが、プロボックスはよくいえば渋いものの、悪くいえば無個性なクルマである。そのプロボックスにカスタムを施し、アウトドアスタイルに作り上げる専門店がPROBO STYLEだ。リフトアップして車高を上げ、オフロード用のタイヤを装着したプロボックスはまるで、流行りの本格派SUVのような雰囲気になる。
-
ベース車両のトヨタ「プロボックス」(現行型)。エンジンは1.5Lハイブリッド、1.5L、1.3Lの3種類で価格は139.92万円~200.2万円だ。ボディサイズは全長4,245mm、全幅1,690mm、全高1,525mm(一部1,530mm)。荷室はリアシートを倒せば長さ(奥行き)が1,810mmとなり、A4コピー用紙箱であれば89個も積めるそうだ
-
「アソモビ2021 in Saitama」(開催場所:さいたまスーパーアリーナ、会期:10/16~10/17)に出展されていたPROBO STYLEの「プロボックス」。もともと四角くて見切りがいいクルマをリフトアップしているので、視界がよくて運転しやすいに違いない
同社ではベースとなる車両(新車/中古車)を用意するところから注文に応じてくれる。もちろん、プロボックスを持っている人は持ち込みも可能だ。カスタマイズにはいくつかのセットを用意しているが、同社では顧客とコミュニケーションをとりつつ、望みの1台に仕上げることを重視しているとのこと。なので、カスタマイズ済みの在庫を抱えておいて売るという販売方法はとっていないという。カスタム用のパーツはオリジナルのものばかりだった。
-
「アソモビ2021 in Saitama」に展示されていたのはマットグリーン(プロボックスの現行モデルがベース)とマットイエロー(先代モデルがベース)の2台。ボディカラーはかなり幅広く対応可能なようで、例えば「愛用している手帳カバーと同じ色にして」といったような注文もウェルカムとのことだ
カスタムセットは3種類あり、例えばリフトアップ、カラーリング、ライトのカスタムを行う「ライトセット」(LIGHT SET)であれば料金は73.92万円(セット割引価格、通常79.2万円)となる。もちろん、何を付けるかは個別に決められるので、自分好みのプロボックスが作成可能だ。カスタマイズに要する期間は、内容にもよるが今だと3~4カ月くらいとのこと。当たり前かもしれないが、車検を通し、公道を走れる状態で納車してくれるそうだ。
ベース車両はグレードやスペックなどを予算に応じて選べる。プロボックスは2014年にフルモデルチェンジしているが、それ以前の先代モデルも対応可能。モデルチェンジ後の車両であればハイブリッド(HV)仕様も選択できる。
気になる価格だが、車両代+カスタム費用で150万円前後からいけるそうだ。現行型プロボックスのHVに好みのカスタムを施しても350万円くらいに収まるとのことなので、まずは相談してみよう。
プロボックスのカスタムを趣味で始め、今では仕事にしてしまったPROBO STYLEの長尾圭二代表取締役(釣りが趣味)によると、同社のカスタム車両は当初、「ガチの釣り好き」や「子育てが終わって車中泊の旅に興味を持った人」などから支持を集めたそうだが、今ではファミリー層の顧客も増えたという。免許取得後、最初のクルマとして同社のプロボックスを購入するセンスのいい若者もいるそうだ。
プロボックスは「故障が少なく、趣味にも使えて、荷物もたくさん積めて、走りもいい、申し分のないクルマ」と長尾社長。長く使える頑丈なクルマを自分好みにカスタムして乗るというのは、つくづくいい趣味だと思う。リフトアップやタイヤ交換の影響で乗り心地や騒音の面ではベース車両に劣るかもしれないが、それもアウトドア仕様の味として楽しむことができるのではないだろうか。