●ライブ中盤を盛り上げた、ファン待望!の初披露の2曲

さて、ライブ再開1曲目は、林と久保田による「レディー・アクション!」。ファンにとっても思い入れ深いであろう作中初のライブ曲は、振付の左右対称部分やしっかり揃える部分に、視線を交わす部分まで息ピッタリの”長年の友達”感にあふれたパフォーマンス。

しかもふたりが並ぶことで、林はキュートさが、久保田はダイナミックさが際立つパフォーマンスであることがよくわかる。さらに続いたのはもう1曲の初期ペア曲、芹澤と若井による「Play Sound☆」。ハイスピードで攻撃的なピアノロックという曲調を、圧倒的なオーラを伴って強度のある歌声やダンスを乗せていくふたり。Dメロで響かせた美しいハーモニーや終盤でふたりが次々パートを受け渡していく掛け合いなどからも、このふたりならではの隙のなさを感じた。

曲明けには、芹澤があんなとしてえもを”黄色いの”と称し煽ると、たまらずえもが、久保田が登場。作中そのままのあんなとえものケンカが繰り広げられると、そのままどこかうれしそうな表情ものぞかせつつ、ファン待望の「ツヨキ!ツインテールズ」を初披露!冒頭からエネルギッシュに、高いパフォーマンス能力をみせるふたり。

サビ明け間奏には、それぞれのソロ曲の振付でフィーチャーされて個性をぶつけ合う。その一方で、1サビでは締めに顔を見合わせる場面では直前までツンケンしていたのに、大サビでは同じポイントでは晴れやかな笑顔。その推移をもってふたりの関係性の変化を盛り込んでいるのもうれしいポイントであり、その演出自体と、それをしっかりみせきったふたりに心から拍手を送りたい。

また、続く「MEMORIES FOR FUTURE -Ray-」では、スクリーンにふたりのだいあが映るなか佐々木はだいあとして。ステージ上の佐々木も向き合う先のアナザーだいあへ歌いかけるように視線を送ったり、逆に歌を受け止めるようなパフォーマンスをみせ、観客も白とパープル2色のサイリウムを灯して会場全体で”ふたりのステージ”を作り上げていた。

その余韻残るなか、暗転した場内に響き渡るおしゃまトリックスの影ナレ。いたずらを成功させたり「妹山ー! (=桃山ひかり)みてるかー!?」と呼びかけたりとやりたい放題やったところで、階段上に堂々登場して「いたずらカーニバル!!」を、こちらもファン待望の初披露!細かくステップ数も多い振付を、歌声とともにいたずらキュートさを全開にしてみせていく。

また、跳ねっ返りでおてんばな山北と、気持ち緩めな部分も含んだ澁谷というように、ダンスに互いのキャラ性が反映されているのも注目ポイント。誰もが大満足間違いなしの、おしゃまトリックスとしての見事な初舞台をみせてくれたのだった。

その熱狂冷めやらぬなか、今度はゴーゴー!マスコッツの3人が登場。グッズ紹介を経て、そのグッズを見てテンションが上がってしまった3人による「おやくそくセンセーション」の披露へ。ここでも元気でかわいいパフォーマンスをみせる3人。

EDではなく作中ライブ曲ということもあってか、先ほど以上にそれぞれの個性が際立つ。特に2-Aメロの「ダンスはたのしく踊ります!」のソロは歌詞に沿ってチョコチョコと振付が非常に細かく、山下の魅せ方にキラッCHUそのものの一生懸命感が出ていて、かわいらしくもクスッともさせられてしまった。さらにマスコットサイドの楽曲としてもう1曲、「Awakening Light」が続く。対になるふたりの曲が組み合わさることで生まれたこの曲、生披露でもとにかくふたりのハーモニーが美しい。

さらに終盤ステージの中央にふたりが揃ったところでは、対になる振付も歌と合わせて披露。視覚面でもこのふたりの対称性と、それが噛み合うことで生まれる美しさを、改めて感じさせてくれた。

●クライマックスに向けて盛り上げる!キラッツ・メルティックの盤石のパフォーマンス

さて、いよいよライブもクライマックス間近。再び3人で登場したメルティックスターが「Merry Merry Fantasia!」でさらに場の空気を支配にかかる。他の曲以上に3人の動きの連動が多いこの曲で、息を合わせながら3人それぞれのキャラクター性をも出しているのはさすがのひと言。

その象徴的存在だったのが、ときに笑顔がのぞいた森嶋の表情。それが余裕さえ感じさせ、さらにはめるの天才感さえも表現する。そういったこのユニットならではの風格感じる1曲を、終盤にまたみせてくれた。それに続くミラクルキラッツは、シリーズ最終盤に生まれた「ファイナルイルミネーション」を披露。彼女たちにしては若干緩めのスピード感の曲に、キュートさも乗せつつダンサブルなサウンドにバッチリハマるパフォーマンスをみせていく。

縦に3人並んだ部分で横から顔を出すフォーメーションなど、視覚的な見せ場も息ピッタリで、一生懸命さに加えてテクニカルな部分も提示することでキャラクターとしての成長も盛り込んでいたようでもあった。さらに大サビでは山下も登場し、作中のクライマックスを飾ったのと同じく4人でパフォーマンス。これもまた、ファンにはうれしいシーンだったに違いない。

そして、名残惜しくも楽しいプリ☆チャンランドもそろそろ閉園の時間。出演者全員がステージに登場し、ユニットの代表者が思い思いにこの日の感想を伝えていく。最後に林がこの状況下で集まってくれた観客、そして配信で参加してくれた視聴者に感謝を述べると、「こうやってまた皆さんに『プリ☆チャン』の世界をお届けする機会はあるんじゃないかな?と思っているので、これからもプリティーシリーズを愛してくださったらうれしいです!」と締めくくり、最後は出演者全員で1st OPテーマ「キラッとスタート」を合唱。基本複数人のユニゾンで歌われていくなかで、落ちサビの「信じてやってみよう」のフレーズだけは林のソロに。そのパート割にメッセージも込めつつ、最後まで明るさとあらたなスタートを感じさせたまま、プリ☆チャンランドは閉園を迎えたのだった。

大団円感を出すのであれば、ラストナンバーは「One Heart」(※3rdシーズン 2nd ED)でもよかったはず。だが「キラッとスタート」が選ばれたのは、きっとこれが終わりではなくて新しい道へのスタートだから。だってこのライブは、『プリ☆チャン』としての初単独ライブ。アニメの放送は一区切りにはなったが、プリ☆チャンアイドルたちはまだまだ輝き続けていく。これから彼女たちがどんな輝きを放つのか、そしてまた会える機会でどんな姿をみせてくれるのか。今後の彼女たちからも、目が離せない!

●“Welcome to プリ☆チャンランド!” 夜の部

2021.08.22＠中野サンプラザ
【SET LIST】
M1. A・B・C・Dいいね★ダンス / ゴーゴー!マスコッツ
M2. COMETIC SILHOUETTE / メルティックスター
M3. ミラクルコースター / ミラクルキラッツ
M4. フレンドパスワード～Another World～ / アナザーだいあ
M5. TOKIMEKIハート・ジュエル♪ / みらい
M6. えもめきピッカーン / えも
M7. 夢色エナジー / りんか
M8. ヒロインズドラマ / あんな
M9. My Secret heArtbeats / さら
M10. スペース!スパイス!スペクタクル! / める
M11. シアワ星かわいい賛歌 / まりあ
M12. プラネタリウムの殻 / イブ
M13. Despertar del SOL! / ソルル
M14. Lustro della LUNA / ルルナ
M15. フレンドパスワード / だいあ
M16. レディー・アクション! / みらい・えも
M17. Play Sound☆ / あんな・さら
M18. ツヨキ!ツインテールズ / えも・あんな
M19. MEMORIES FOR FUTURE -Ray- / Wだいあ
M20. いたずらカーニバル!! / おしゃまトリックス
M21. おやくそくセンセーション / ゴーゴー!マスコッツ
M22. Awakening Light / ソルル・ルルナ
M23. Merry Merry Fantasia! / メルティックスター
M24. ファイナルイルミネーション / ミラクルキラッツ・キラッCHU
M25. キラッとスタート / ALL CAST