俳優としてはもちろん、バラエティ番組でも抜群のトーク力とサービス精神を発揮して引っ張りだことなっている大泉洋。現在配信中のAmazon Original番組『ザ・マスクド・シンガー』では司会業にトライし、“たった一人で番組を引っ張る”という大役を担っている。どんなジャンルでも求められる理由について、「僕はどこに行っても文句を言っているだけですから。人々は僕の文句やぼやきを求めているんですかね?」と楽しそうに笑う大泉。マルチな活躍の裏にある“人を笑わせたい”という思いや、“大泉流・司会の心得”について語った。

  • 大泉洋

Amazon Prime Videoにて独占配信されている『ザ・マスクド・シンガー』は、全世界50カ国が熱狂している音楽ライブエンターテイメントの日本版となるオリジナル作品。個性あふれるコスチュームに身を包んだ12人のマスクドシンガーの圧倒的なパフォーマンスバトルと、中の有名人の推理を楽しむ、新感覚のエンターテイメントだ。

本作の司会業のオファーを、「一度お断りしている」という大泉。昨年末、『第71回NHK紅白歌合戦』で白組の司会を務めた後ということもあり、「僕は司会者になりたいわけではないので、司会のお仕事が続いてしまって、その色が濃くなってしまうのもどうなのかなあと思って。また隣にきちんと進行してくれる方がいて、僕は横でやんや言っている感じでいいのならば、まだ気持ちも楽だったんだけれど……(笑)。たった一人で司会をやらなければいけないということも、ハードルに感じました」と不安があったそうだが、家族の後押しがあったことに加え、「Amazon Prime Videoという土俵で、新しいチャレンジができるのは面白いかもしれないなと思いました。それが、お引き受けした大きな理由ですかね」と語る。

「初回の収録は相当、緊張しました」という大泉だが、「やってみたら、ものすごく楽しかった!」と充実の表情を見せる。

「マスクドシンガーの方々もとても個性的な方ばかり。それだけに仕切るのも大変でしたが(笑)、圧倒的なパフォーマンスを目の当たりにして『すごいな!』と思うことばかり。僕自身も中に誰が入っているのかを知りませんから、それを当てていくことも楽しかったですね。マスクをまとっているとはいえ、有名な方ばかりだというから、いやいや、さすがにすぐに正解がわかるだろうと思って挑んだんです。これが思いのほか、わからない! 正体がわかったときには、『こんなすごい人が出てくれたんだ』と驚きがありました」と司会をやりながら、自分自身も大いに番組の魅力を堪能したという。

「司会者になりたいわけではない」と話した大泉。役者としてもシリアスからコメディまで幅広い作品で存在感を示すだけでなく、バラエティに出ても必ず笑いを巻き起こしている。紅白歌合戦と本作に出演したことで“司会”という肩書きが増えたわけだが、仕事のバランスは「とても難しい」と素直な胸の内を明かす。

「役者をやる上では、本当は役者だけをやっていた方がもちろんいいと思うんです。役者以外の仕事をすればするほどその人の素が見えてくるので、それは役者をやる分には損です。田村正和さんなどの大先輩もそうですが、私生活をまったく見せないからこそ、観ている方にとっては“その役柄”として没頭することができる」と持論を語りつつ、「でも僕は、バラエティもやっていないとダメな人間だから」とニッコリ。「『司会者としての色が濃くなってしまうのもなあ』と悩んだとしても、『そんなこと言うんだったら、まずは「水曜どうでしょう」を辞めろ!』って話ですよね(笑)」。

役者としては損であったとしても、大泉の根底には「人を笑わせたい」という揺るぎない思いがある。「どうしてこんなに人を笑わせなきゃいけないんだって、自分でもわからないんですよねぇ」と苦笑いを浮かべながら、「以前『アイアムアヒーロー』という映画で、ポルトガル映画祭に行ったんです。日本から俳優として参加しているんだから、きちんとした挨拶をすればいいんですが、そこでもポルトガルの方を笑わせたいと思ってしまう。通訳さんに『こんにちは、クリスティアーノ・ロナウドです』ってポルトガル語でどう言ったらいいのか相談したりして。それをやることで観客に怒られたらどうしよう、滑ったらどうしようと、とんでもない緊張をするわけですが、そんなリスクを背負ってでも目の前の人を笑わせたいし、『面白いことも言わないで帰ってきた』と思われたくない(笑)」と笑いにこだわってしまうのは、逃れられない性分だという。