マルチに活躍する今の肩書きについて、大泉は「役者しかやらない人を“俳優”というならば、俳優ではないですからね。とはいえ“芸人”なのかと言ったら、芸人の方に失礼ですから。やっぱり“タレント”ということになるのかな」と思いを巡らせながら、「今回の番組でも音楽の力ってやっぱりすごいなと思った。生まれ変わったら、“アーティスト”がいいですね。次は『親父とお袋に落語のテープを聴かせるのはやめろ、音楽を聴かせてくれ』と言いたい」とお茶目に来世への願望を明かす。

あらゆるジャンルで期待に応え、才能を発揮する秘訣はあるのだろうか? すると大泉は「僕はどこに行っても結局、文句を言っているだけなんですけどね!」とコメント。「人々は僕の文句やぼやきを求めているのかな? 疲れて仕事から帰ってきて、普段は言えないような文句をやたらとテレビで言っているヤツがいると、どこかスッキリするのかな。『またコイツ、文句を言っているよ!』って」と話すと、インタビュー現場も大笑い。やはり彼の周囲は笑いに満ちている。

大泉の笑いに対する思いは、司会業にも反映されている。司会業の心得について聞いてみると、「紅白歌合戦のときにも思いましたが、きれいな司会が求められているとしたら、僕にお話が来るわけはないと思うので。ある程度がちゃがちゃしたような、そういった危うさも含めて楽しんでもらいたいし、やっぱりまずは笑ってもらいたい。あとは誰一人イヤな気持ちにならないようにしたいですね」と吐露。「それは番組を観てくれる方もそうだし、出演してくれた方もそう。どんな番組に携わるとしても、みんながハッピーに終われる番組にしたいなと思っています。とはいえ、どうしても失礼なことは言わざるを得ないというか、僕はそういう笑いの取り方をしてしまうので、なるべくかわいい悪態、誰もがイヤにならないような悪態をついていきたいですね(笑)」と目尻を下げる。

紅白歌合戦を務め上げたら、今後どのような司会もできそうな気もしてしまう。大泉は「紅白は別物なんですよ! とにかく時間との戦いで、瞬発力が決め手。そう考えると、いろいろなところで技を培いながらも、その都度その都度、同じことが通用する仕事ってそんなにないのかもしれないですね。今回なんて、中身が誰なのかわからないマスクドシンガーを相手に司会をするわけですから(笑)。でも、だからこそ楽しいのかもしれません」と語っていた。

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■大泉洋
1973年4月3日、北海道江別市生まれ。演劇ユニット「TEAM NACS」メンバー。深夜番組『水曜どうでしょう』(HTB)にレギュラー出演後、映画『探偵はBARにいる』(2011)では第24回日刊スポーツ映画大賞、石原裕次郎賞、第35回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。舞台でも三谷幸喜作品に多く出演する他、TEAM NACS第13回公演『下荒井兄弟のスプリング、ハズ、カム』では自ら脚本・演出を手掛けた。今後はNetflix映画『浅草キッド』や2022年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』などへの出演が控えている。

ヘアメイク:西岡達也(Leinwand) スタイリスト:九(Yolken)