ビジネスメールや、ネットショッピングサイトの注意書きなどでよく見かける「予めご了承ください」という言葉。相手にとって不都合になる可能性を事前に伝えて、後々のトラブルを回避しようとする際に使われます。ただし、使い方によっては目上の人に失礼にあたってしまうことも。

今回の記事では「予めご了承ください」の例文や丁寧な表現、英語表現などをご紹介します。失礼のない表現を身に付けて、クレームを防ぎましょう。

  • 「予めご了承ください」の意味

    相手にとって不都合なことを事前に伝えるのが「予めご了承ください」です

【結論】「予めご了承ください」の意味は「前もって承知しておいてください」

「予めご了承ください」とは、「前もって承知しておいてください」という意味のビジネスフレーズです。

目上にも使用しても問題ないですが、「上から目線だ」と感じる人もいるようなので、さらに丁寧な表現の「予めご了承いただけますと幸いです」などに言い換えた方が無難です。

以下で詳しく見ていきましょう。

「予めご了承ください」とは? 意味と読み方

「予めご了承ください」は「あらかじめごりょうしょうください」と読みます。「予め」は、前もって、事前に、という意味です。「了承」とは、事情をくんで納得すること、承知すること、という意味です。

つまり「予めご了承ください」とは、「前もってこちらの事情を理解して承知しておいてください」という意味で使われます。

「予めご了承ください」は目上に使うと失礼? 丁寧な敬語は?

「予めご了承ください」は形式上は「ご~ください」と敬語になっているので、目上の人にも使えますが、「上から目線だ」と感じる人もいるようです。

以下のように丁寧な表現に言い換えるのが無難です。

  • 予めご了承いただけますと幸いです
  • 予めご了承いただきたく存じます
  • 予めご了承いただけますようお願いいたします

より謙遜した表現にしたい場合には、文頭に「誠に申し訳ございませんが」などの言葉を付けても良いでしょう。相手の不快感が軽減できるかもしれません。

  • 目上の人に使うと失礼?

    目上の人に使う際は「予めご了承いただけますと幸いです」などとしましょう

「予めご了承ください」の使い方・例文

ここでは、「予めご了承ください」の使い方と例文を紹介します。

「予めご了承ください」はどんな時に使う?

例えばビジネスシーンで注文が入ったり、商品について問い合わせを受けたりするとします。通常の手続きならすぐに対応できるところ、天候の都合や担当者不在などで手続きに入るのに通常以上に時間がかかってしまうことがあります。

そういったときに備えて「天候不良時は(担当者不在時は)、お届けが遅延する場合があります。予めご了承ください」などとしておけば、客からの「知らなかった、聞いていない」というトラブルを防ぐことにつながります。

ほかにも以下のようなパターンが考えられます。

  • ラッピングやのしのサービスは当社では行っていない
  • セール品の返品交換は受け付けていない

トラブルを未然に防ぐための便利な言葉ではありますが、「予めご了承ください」と伝えられた客のほうは、あまりいい印象はありません。多用すると身勝手で冷たい印象を与えかねませんので、注意しましょう。

「予めご了承ください」の例文

「予めご了承ください」は、社内のみでなく取引先やお客様などに幅広く使用できる表現です。 実際にどのような場面で使用できるのか、例文で確認してみましょう。

  • 当社は8月13日から16日まではお盆休みとさせていただきます。予めご了承ください
  • 商品のパッケージは、予告なく変更になる場合がございます。予めご了承の上、お買い求めください
  • 「予めご了承ください」の意味

    「予めご了承ください」は、「前もって事情を理解しておいて欲しい」という意味

「予めご了承ください」の類語・言い換え表現

「予めご了承ください」と似た表現を紹介します。

予めご承知おきください

承知と了承は意味の似た言葉ですが、了承が「事情を察して理解すること」に対して、承知は「事情を知ること」となります。

ビジネスシーンでは部下が上司に「承知いたしました」と使うことが一般的です。このため「予めご承知おきください」という表現も、目上の人に対して使うのは控えましょう。

例 - 数量限定商品のため、予定より早く販売が終了する場合があります。予めご承知おきください

予めご理解ください

「理解」は物事や他人の立場などをわかること、察することという意味の言葉です。

例 - 当店のアクセサリーは手作りのため、1つずつ表情が異なります。予めご理解いただきますようお願い申し上げます

予めお含みおきください

「含み置く」は、事情などを良く理解して念頭に留めておく、心に留めておく、という意味です。「事情を理解してほしい」というこちらの意図を伝えているという意味では、「ご了承ください」と最も意味の近い言葉と言えるでしょう。

例 - 来週以降の発注については休み明けの納品となることを、予めお含みおきください

予めご容赦ください

「容赦」とは、許すこと、過ちを大目に見ることといった意味があります。すでに謝罪のニュアンスが込められた表現ですが、使われるシーンはほかと大差ありません。

例 - 悪天候の場合、お届けが遅れる場合がございます。予めご容赦ください

  • 「予めご了承ください」のいい換え表現

    「予めご了承ください」は、「予めご理解ください」などに言い換えられます

「予めご了承ください」の英語表現

「予めご了承ください」の英語表現についても確認しておきましょう。

Thank you for your understanding/Please note

「了承する」を意味する英語は「approve」「understand」などですが、「ご了承ください」とする場合は「Thank you for your understanding」などと表現します。

ビジネスシーンでもっと固い印象にしたい場合は、「in advance(予め)」を使って「understand ~ in advance」としたり、「note(注意を払う)」を使って「please note~」としたりします。

  • Please note that currency exchange is not available while the bus is in motion. Thank you for your understanding. (バスの走行中は両替ができません。予めご了承ください)

  • Please understand in advance that we will not be able to respond to any inquiries received during the holidays until the 25th or later. (休業期間中にいただいたお問い合わせへの対応は25日以降となりますので、予めご了承ください)

  • Please note that in case of bad weather, the event may be postponed. (悪天候の場合、イベントが延期になる可能性があることを予めご了承願います)

「予めご了承ください」の意味や使い方をマスターしよう

「予めご了承ください」という言葉について見てきました。例えばビジネスで何らかの契約が成立するとき、相手にとって不都合となりうることを事前に知ってもらう目的で使われます。こちらはトラブルを未然に防ぐことができ、客もリスクを事前に知っておくことができます。

より丁寧に表現したいときは「予めご了承いただけますようお願いいたします」などとしたり、文頭に「誠に申し訳ございませんが」とつけたりするとよいでしょう。