今回は、「ご相伴」「ご相伴にあずかる」の意味や使い方を解説します。また、「ご相伴にあずかる」への返し方も紹介しています。ビジネスシーンなどで使われることが多い言葉なので、覚えておきましょう。

  • ご相伴の意味は?

    ご相伴の意味を正しく理解することが大切です

「ご相伴」の意味は?

ご相伴は、ビジネスシーン、そして接待や饗応の席などで使われる言葉です。また近年ではあまり使わないという方が増えていることもあって、若い方の中にはこの言葉を耳にしたことがないという方もいるかもしれません。ここではまず、ご相伴という言葉の意味をご紹介します。

「ご相伴」の意味

ご相伴は「ごしょうばん」と読みます。一緒に、伴う、連れだつといった意味を持つ「相伴」に接頭辞である「ご」を付け加えた言葉です。ビジネスシーンなどでのご相伴という言葉には、誰かと一緒に何かをするという意味を持ちます。ニュアンスは、一緒に何かをして利益を得るといったポジティブなものです。

ルーツは室町時代~茶道との関係も

「相伴」という言葉そのものにあまり馴染みがないという方も多いでしょう。この言葉のルーツは室町時代までさかのぼります。当時、将軍が出かける際などに随従する人は「御相伴衆」という役職についていました。この言葉から、誰かについて行くこと、一緒に何かをすることを「相伴」と呼ぶようになりました。

ご相伴という言葉は、茶道の世界で使われる言葉でもあります。茶道におけるご相伴は正客以外の客のことを指します。つまり、正客としてもてなされる人の連れ、同席する客が「相伴」にあたるのです。現在でも使われる「ご相伴いたします」という言い回しは、茶道の世界からきた言葉です。

「ご相伴」と「お相伴」はどちらが正しい?

ご相伴は漢字で「御相伴」と書きます。この場合「ごしょうばん」のみでなく「おしょうばん」と読むケースもあります。

「ごしょうばん」と「おしょうばん」のどちらでも間違いではありませんが、現在ではご相伴の方が多く使われています。

「ご相伴にあずかる」の意味は?

ここでは、ビジネスシーンでよく使用される「ご相伴にあずかる」の意味を解説します。

「ご相伴にあずかる」の意味

「ご相伴にあずかる」の意味は、「主となる人に一緒に付き合うこと・一緒にもてなしを受けること」という意味です。「ご一緒する」を堅くした表現だと考えて問題ないでしょう。

「ご相伴にあずかる」は「ご相伴に預かる」?

ご相伴という言葉は、通常「ご相伴にあずかる」という形で使われます。この「あずかる」はひらがなで表記することが多いですが、漢字で表記する場合は「預かる」ではなく「与る」です。

「与る」には目上の人から恩恵を受けるという意味があります。ご相伴と意味が重なる部分がありますが、より恩恵を受けるというポジティブなニュアンスを強調できます。

  • ご相伴の正しい使い方を例文で紹介

    ご相伴の意味を知って使いこなしましょう

「ご相伴にあずかる」の使い方・例文

ご相伴は一緒に何かをするといった意味の言葉です。しかし、言葉は意味を知るだけでなく正しい使い方を身につけることが重要。ここでは例文をあげてご相伴の正しい使い方を紹介しましょう。

それではご相伴の使い方をいくつかの例文で紹介します。

ありがたく上司のご相伴にあずかった。

ご相伴という言葉にはいくつかの使い方がありますが「ご相伴にあずかる」と使うのがもっとも一般的です。

私でよろしければ、ご相伴させていただきます。

「ご相伴させていただく」という表現も定番の言い回しのひとつです。この場合、上司や目上の人に対して使います。

ご相伴にあずかろうと、人が集まってくる。

「ご相伴にあずかる」という表現には、一緒に何かをすることによって、何らかの利益を得られるといったポジティブな意味合いがあります。そのため、ご相伴にあずかろうと、ご相伴にあずかるためにといった表現で使われることもあります。

ぜひ私もご相伴にあずかりたいです。

参加が決定している人と一緒に何かに参加したいという意思を示すときの使い方です。この場合も、目上の人に対して使うことが多い表現です。

「ご相伴にあずかる」への返し方

ここでは、「ご相伴にあずかる」と言われた際の返し方を紹介します。

「ご相伴にあずかります」への返し方

「ご相伴にあずかります」と言われた際は、以下のように返しましょう。

  • よろしくお願いいたします
  • 本日はよろしくお願いいたします
  • 同席いただき助かります
  • 同席いただきありがとうございます

「ご相伴にあずかりましてありがとうございます」への返し方

「ご相伴にあずかりましてありがとうございます」と言われた際は、以下のように返すと好印象です。

  • こちらこそ同席いただきありがとうございます
  • 同席いただき助かります
  • いえいえ、とんでもないことです
  • ご相伴を使う際の注意点

    ご相伴という言葉は茶道でも使われます

ご相伴を使う際の注意点

ご相伴という言葉は、使い方を誤ると相手に対して失礼にあたるケースもあります。ここでは使う際の注意点をご紹介します。

■「ご相伴にあずかる」は依頼する時には使わない

ご相伴の主語は基本的に自分です。そのため「ご相伴してください」といった言い回しをすることはありません。

■ご相伴の主語は自分

ご相伴の主語は基本的に自分であり、他人に対して使う言葉ではありません。またご相伴する対象となるのは目上の人になります。具体的には「上司の会食の席に(部下である自分が)ご相伴にあずかる」というような使い方が一般的です。

■使うべきではないシーン

ご相伴はさまざまなシーンで使われますが、同僚との飲み会など立場が対等な人と一緒に行動する場合には使いません。

  • ご相伴の類義語・言い換え表現は?

    いくつかの注意点を頭に入れておきましょう

ご相伴の類義語・言い換え表現は?

ご相伴にはいくつかの類義語や言い換え表現があります。さまざまなシーンで使える言葉ですが、類語なども頭に入れておくと表現の幅をさらに広げることができます。

■お供する

ご相伴の類義語や言い換え表現としてはまず「お供する」があげられます。意味が近いこともあり、そのまま置き換えることもできます。ご相伴よりも一般的な言葉なので使いやすい言葉でもあります。

■ご馳走になる

ご相伴は食事や宴会などに限った言葉ではありません。しかし、食事の席などに一緒に行くといった使い方をされるケースも多く、この場合は「ご馳走になる」と置き換えることができます。

■饗応を受ける/饗応にあずかる

「饗応(きょうおう)」という言葉には食事やお酒などによって、もてなすという意味があります。この言葉は目上の人から受けたもてなしなどにも使えるのでご相伴と置き換えることができます。「饗応」という言葉もご相伴と同様に「饗応にあずかる(与る)」という表現で使われます。

  • 類語などを知ればさらに表現の幅が広がります

ご相伴の意味を知って使いこなそう

今回はご相伴の意味や使い方などについてご紹介しました。今回ご紹介した意味や例文を活用して、ビジネスシーンなどでのコミュニケーションに役立ててみてください。