ビジネスメールの締めの挨拶などでよく使う「今後とも」について、正しい意味や使い方、定型文を紹介します。何気なく使うと場合によっては失礼にあたる可能性があるので、注意点も押さえておきましょう。
「引き続き」との使い分けや類語、英語表現もまとめました。
「今後とも」の意味とは
早速、「今後とも」の基本的な意味を紹介します。
「今後とも」の意味は「これからも」「以後も」
「今後とも」を形成している「今」も「後」も、これから先の未来を意味する言葉です。「今後とも」は「これからも」「以後も」という意味です。
「とも」は「同じであること」「一緒」の意味があり、「これからも末永く一緒にいる」というニュアンスも含まれています。
「今後とも」の使い方
「今後とも」を使えるシーンや、使い方を見ていきましょう。
ビジネスメールの結びの文にも使える
「今後とも」は、ビジネスメールの締めの言葉としてよく用いられます。
メールのやりとりの最後に「今後とも」を用いることで、これからも変わらず関係を続けていきたい、という意思表示ができます。
口頭の挨拶でも使える
「今後とも」はビジネスメールなどの書き言葉としてだけでなく、話し言葉としても用いることができます。
誰かと会って話していて、別れ際に「今後ともよろしくお願いいたします」と伝えたり、社内で何かに対するフィードバックを受けた後に、「今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」と伝えたりできます。
目上の人に使っても失礼ではない
「今後とも」という言葉は、上司や取引先など、目上の人にも使うことができます。「今後とも」を使えば、これからも継続してお世話になりたい、ビジネス関係を続けていきたい、という気持ちが伝わるでしょう。
「今後とも」の例文・定型文
「今後とも」を使った、よく使うフレーズをご紹介します。
今後ともよろしくお願いいたします
「今後ともよろしくお願いいたします」はシンプルである分、非常に便利なフレーズで、さまざまな場面で使うことができます。
後述するように、「今後とも何卒よろしくお願いいたします」などの形で、丁寧に強調した表現にすることもできます。
今後とも変わらぬお力添えをいただけますよう、お願い申し上げます
他人の仕事などを手助けすることを表す「力添え」の敬語表現である「お力添え」を使って、「今後とも変わらぬお力添えをいただけますよう、お願い申し上げます」という表現ができます。
目上の人に対し、これからも助力をお願いしたいという気持ちを伝えることができます。
今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします
「今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」は、「これからも指導をお願いします」という意味のフレーズです。何か指摘を受けたり、アドバイスをもらったりしたときに、お礼とともに伝えるなどするといいでしょう。
「今後とも」と一緒に使われる言葉
「今後とも」は単体で使うこともあれば、他の言葉と一緒に使うこともあります。「今後とも」と一緒に使われる言葉や、どのようなニュアンスを含むのかをご紹介しましょう。
「何卒」
より丁寧な表現にしたいときは「何卒」をつけるといいでしょう。「今後とも何卒よろしくお願いいたします」という使い方になります。「何卒」には「どうぞ」「どうか」という意味があるので、相手に対し丁寧に関わりたいときに適した表現です。
「切に」
「願い」の部分を強調したいときは、「切に」を使うといいでしょう。「切に」には「心の底から強く思う」という意味があります。「今後ともご縁が続きますことを切に願っております」というように、「今後とも」からはじまる文章の「願う」の前に入れるのがベストです。
「伏して」
より切実な思いを伝えたいときは「伏して」を使うようにしましょう。「伏して」には「切に願う」「つつしんで」という意味があります。「今後とも変わらぬご愛顧を賜りますよう、伏してお願い申し上げます」というように、少々堅苦しいくらいの丁寧な文章になります。
「今後とも」を使うときの注意点
「今後とも」はフォーマルな場やビジネスシーンでよく使われる言葉ですが、場面や相手との関係性によっては、かえって状況が悪化することもあります。「今後とも」を使うときの注意点をまとめました。
謝罪するときはNG
メールの締めに使うことも多い「今後とも」ですが、謝罪するときには使わないようにしましょう。謝罪するべき局面で「今後とも」を使ってしまうと、謝ることより今後の関係性の継続にばかり目が向いているように見え、反省していることが伝わりにくくなります。
相手によっては不快に感じてしまうこともあるので、今後の関係性の継続を望むのであれば真摯(しんし)に謝ることを優先しましょう。
継続的な付き合いが見込めないときは避ける
今後継続的な付き合いをする可能性が低い相手に対して「今後とも」はなるべく使わないようにしましょう。使っても間違いではありませんが、継続的な付き合いがない、今後も見込めない状況というのは、相手もこちらと継続する意思がない、メリットがないと感じているということです。
継続するつもりのない相手に「今後とも」と言われても困ってしまうので、「機会があれば」というニュアンスを含む文章にするといいでしょう。
親しい相手に連絡するときは避ける
「今後とも」はこれからの関係性の継続をお願いする言葉なので、「今後とも」を使う時点では相手との関係性には若干距離がある場合が多いです。そのためすでに継続して関係性を築いている同僚や知人のような親しい相手に使ってしまうと、急によそよそしくなったように感じられてしまうでしょう。
親しい相手には「いつもありがとうございます」「これからもよろしく」といったカジュアルな表現が適しています。相手に合わせて使い分けできるようになっておきましょう。
「今後とも」と「引き続き」の違い
「今後とも」によく似た言葉として「引き続き」があります。どちらもメールの締めに使われることの多い言葉ですが、どのような違いがあるのか知っておきましょう。
「引き続き」はやりとりが続いている最中に使う
「引き続き」は文字通り取引や何かのやり取りが続いている最中に使われる傾向があります。例えば商品の受発注をメールで行っていた場合、商品を注文してから受け取るまでに何通ものメールでやり取りすることになります。
それらのメールの末尾には「引き続きよろしくお願いいたします」を使うのがいいでしょう。
「今後とも」はやりとりが一段落したときに使う
「今後とも」は基本的に、取引ややり取りが一段落しても、これからも関係を続けたいというときに使います。
例えば上記の商品の受発注の場合、商品を受領するまでのメールでは締めの文章を「引き続きよろしくお願いいたします」、商品を受領して一通りのやり取りが完了したら、これからも関係を継続していきたいという思いを込めて「今後ともよろしくお願いいたします」と使い分けられるでしょう。
ただし「今後とも」に関してはやり取りの最中でも使うことができますが、「引き続き」は取引が一段落したときに使うのは少々不自然です。
「今後とも」に対する返信は?
「今後ともよろしくお願いいたします」というメールをもらった場合、もちろんそのままの文章で返信しても構いません。しかし「今後ともよろしく」とメールした側からすれば、少々素っ気ない印象を受けるかもしれません。
返信するときは、冒頭に「こちらこそ」「至らない点もあるかと存じますが」といった言葉を添えるといいでしょう。相手からの「今後ともよろしくお願いしたい」という思いを受け止めたうえで、「むしろお願いするのはこちらのほうです」といったニュアンスが含まれます。
「今後とも」の類語・言い換え表現は「これから先も」「これからも」など
「今後とも」は主にフォーマルな場で使われることが多く、もう少しカジュアルな雰囲気の場合や、プライベートの場では、堅苦しく感じられてしまう場合もあります。
そんなときは、「これから先の時間」を意味する言葉である「これから先も」「これからも」などを使うといいでしょう。
「今後とも」の英語表現
「今後とも」を英語で表現した場合についてまとめました。どちらもビジネスメールでよく使われる表現なので、海外企業とのやり取りが発生したときには活用してみてくださいね。
look forward to ~
「これから楽しみにしています」という意味の「look forward to~」は日本語の「今後とも」に該当する表現です。「I'm looking forward to working with you」で「これからあなたと一緒に働くことを楽しみにしています」という意味になります。
中学校までで習う英単語のみで構成されているので、英語に苦手意識があるという方でも使いやすいでしょう。
Thank you for ~
「Thank you for your continued support」は直訳すると「あなたの継続的なサポートに感謝します」となりますが、これも日本語の「今後ともよろしくお願いいたします」に該当する言葉です。もっとシンプルにするなら「Thank you for your business」で、この2つはビジネスメールでもよく使われます。
よりカジュアルな表現で「Let’s keep in touch(これからもよろしく)」という表現もあるので覚えておきましょう。
「今後とも」は万能フレーズ! 正しい使い方を理解して使いこなそう
「今後とも」の意味や使い方についてまとめました。
「今後とも」は基本的に万能で使いやすい言葉ですが、微妙に異なるニュアンスを出したいときは言い換えや言葉を追加するといいでしょう。
デキるビジネスパーソンになるためにも、場面に応じて適切な言葉を使えるようにしておくことは重要です。