「絶句」という言葉は、主に「絶句する」という言い回しで使われます。いい意味でも悪い意味でも使えますので、覚えておくと役立つ表現です。「絶句」自体は中国の古典詩が由来の古い言葉ですが、元々はどのようなものだったのかよく知らない人も多いでしょう。

この記事では、「絶句」の意味や由来、使い方を紹介します。また、類語や英語表現についてもまとめました。

  • 「絶句」とは

    「絶句」の意味や由来・使い方や類語表現などを紹介する記事です

絶句(ぜっく)とは

「絶句(ぜっく)」には下記のような意味があります。

・話や演説の途中で、言葉に詰まってしまうこと
・役者が台詞を忘れてしまい、言葉がつかえること

「絶句」は「真実を知って思わず絶句してしまった」などのように、思うように言葉が出てこない状況で使われる表現です。

「絶句」の語源

「絶句」という言葉はもともと、中国古典詩の詩体のひとつとして用いられていました。中国古典詩の中でも4句からなる最小の詩体のことです。絶句のはじまりは、六朝時代の晋や宋の頃に民衆により歌われていた歌謡といわれています。

絶句は起・承・転・結の4句で構成されており、1句の字数が5字の「五言絶句(ごごんぜっく)」と、1句の字数が7字の「七言絶句(しちごんぜっく)」の2種類があります。 また、絶句には押韻と平仄(ひょうそく)という決まりごとがあり、ひとつの知識として覚えておきましょう。

中国の漢詩のタイトルにもなっている

「絶句」は古代中国でつくられた漢詩のタイトルとしても用いられています。

杜甫(とほ)という有名な詩人がつくった「絶句」というタイトルの漢詩は、美しい自然の景色や望郷の思いを表したものです。絶句の形式のひとつである五言絶句の形でつくられています。

「絶句」と一緒に押さえておきたい「律詩」とは

漢詩の詩体には、「絶句」のほかに、「律詩」というものもあります。「絶句」が4句で構成されているのに対し、「律詩」は8句で構成されています。

律詩の1・2句は起聯(きれん)、3・4句は頷聯(がんれん)、5・6句は頸聯(けいれん)、7・8句は尾聯(びれん)といいます。律詩の種類は2種類あり、1句の字数が5字の五言律と1句の字数が7字の七言律です。

また、唐代より前時代に作詞されていた、字数や句数が決まっていない詩のことは「古体詩」といいます。

  • 「絶句」とは

    「絶句」とは漢詩由来の言葉で言葉に詰まることを表します

絶句の使い方

「絶句」はビジネスシーンや日常会話などで使われることがある言葉ですので、使い方を覚えておくと便利です。ここでは、「絶句」の使い方を紹介します。

悪い意味で使われることが多い

「絶句」という言葉は言葉に詰まってしまうことを表す表現で、呆れたときや取り繕う言葉が見つからない場合など、悪い意味で使われることが多い言葉です。ただし、いい意味で使われることもありますので、どちらの意味でも使えるように覚えておきましょう。

「絶句」の一般的な使用例

・彼ののんきな返答には、その場にいた全員が絶句していた
・明日が締め切りだということを今朝知らされて、しばし絶句してしまった
・思いも寄らない真実を明らかにされた時、絶句してどうすればいいのかわからなかった
・台風が過ぎ去った後、街の状況をこの目で確認し、あまりの状況に絶句してしまった
・なすすべのない自分のふがいなさには絶句するしかなかった

このように「絶句」は、呆れや驚きで言葉が出てこない状況でよく使われます。

いい意味で「絶句」が使われる場合の使用例

・彼のピアノ演奏の素晴らしさに感動して、観客は拍手も忘れてしばし絶句していた
・A社のプレゼン内容が他社を圧倒していたことから、他の会社は皆絶句していた
・梅の花で有名なあの谷の景色は、初めて訪れた人は必ずといっていいほど美しさに心を奪われ絶句している

上記の例文のように、「絶句」はいい意味での驚きを表す場合にも用いられることがある言葉です。

  • 「絶句」の使い方

    「絶句」は驚いて言葉も出ない状況で使われる表現です

絶句の類語表現

「絶句」には似た意味で使われる表現がありますので、あわせて覚えて語彙力の向上につなげましょう。ここでは「絶句」と同じような状況で使われる類語を紹介します。

無言(むごん)

「無言(むごん)」とは「ものをいわないこと」を意味する言葉です。「絶句」のような「驚く」というニュアンスがない分、幅広い状況で使えます。

・嵐が過ぎ去った後、街の惨状を確認して、驚きのあまり皆無言になった
・嵐が過ぎ去った後、街の惨状を確認して、驚きのあまり皆絶句していた

緘口(かんこう)

「緘口(かんこう)」とは、「口を閉じて何もしゃべらないこと」という意味がある言葉です。「絶句」には「言葉を出そうと思っても出ない」というニュアンスがありますが、「緘口」は「自ら口を閉じる」という意味があります。使われる状況がやや異なる点を意識して使い分けましょう。

・軍は戦略に関することは緘口令を出し、厳重に管理している
・軍の戦略に関することが漏洩することを想像するだけで絶句してしまう

不言(ふげん)

「不言(ふげん)」とは、「ものを話さないこと」という意味の言葉です。「言葉が出てこない」ことを表す「絶句」とは違って、自ら話さないことを意味しており、使われる状況が少し異なります。

・A社のプレゼン内容が素晴らしすぎて、他社は不言を貫かざるを得なかった
・A社のプレゼン内容が素晴らしすぎて、他社は絶句していた

もだす

「もだす」には「口をつぐむ」「黙る」という意味があり、「自ら黙る」ということを表す際に使われます。「言葉が出ない」という意味がある「絶句」との違いを理解して使い分けましょう。

・あのような返事に突っ込むと墓穴を掘るので、もだすのが得策だ
・あのような返事に突っ込みようがなく、呆れて絶句していた

二の句が継げない

「二の句が継げない」の意味は「次にいう言葉が出てこない」です。「絶句」とほぼ同じ意味があり、使われる状況も似ています。

・思いも寄らない真実を明らかにされ、二の句が継げなかった
・思いも寄らない真実を明らかにされ、絶句してしまった

  • 「絶句」の類語表現

    「絶句」には似た意味を持つ言葉が多いので状況に合わせて使い分けましょう

「絶句する」の英語表現

会話などで英語を使う機会があるなら、「絶句する」の英語表現を覚えておくと便利です。ここでは「絶句する」の代表的な英語表現を紹介します。

break off

「break off」には、「断つ」「やめる」などの意味があり、これだけでも「絶句する」の英語表現として使われることがあります。「短い文章」などの意味がある「short」と組み合わせて「break off short」として「絶句する」の英語表現として使われることもありますので覚えておきましょう。

speechless

「speechless」は「口を開けない」「(強い感情で)ものがいえない」などの意味を持つ英単語です。「絶句する」の英語表現としてよく用いられますので、活用してみましょう。

lost for words

「失う」の過去形「lost」と「言葉」を意味する「words」を組み合わせた「lost for words」には、「言葉を失った」という意味があります。「絶句する」の英語表現として使えるので、覚えておきましょう。

  • 「絶句する」の英語表現

    「絶句する」の英語表現には「speechless」などがあります

絶句は言葉が出てこない時に使う言葉

「絶句」とは、話や演説の途中で言葉に詰まってしまうことや、舞台で台詞を忘れてつかえてしまうことを表す言葉です。もともとは漢詩の詩体を表す表現でした。似た意味を持つ類義語も多いので、一緒に覚えておくと語彙力を上げるのに役立ちます。

「絶句する」などの言い回しで使われることが多く、日常会話からビジネスシーンまでさまざまな状況で使用可能です。この記事で紹介した例文を参考に、正しい使い方を覚えておきましょう。