文学作品など誰かが死ぬシーンで、「断末魔」という言葉が使われているのを目にしたことがある方は多いのではないでしょうか。2022年2月にはゴールデンボンバーが「断末魔」という曲の配信を開始しています。この「断末魔」という言葉は誤用されやすく、使う際には注意が必要な言葉です。

この記事では、「断末魔」の意味や正しい使い方について紹介します。また、類語や英語表現についてもまとめました。

  • 断末魔の意味

    「断末魔」の意味や使い方、類語などについて紹介します

断末魔(だんまつま)の意味

断末魔(だんまつま)は、「死ぬときの苦痛」や「非常に苦しいさま」、「死ぬ間際(まぎわ)」などの意味がある言葉です。「断末摩」と書くケースもありますが、一般的には「断末魔」が使われます。どちらの表記でも間違いではありません。

「断末魔の叫び」の意味

よく使われる「断末魔の叫び」は死の間際にあげるような叫び声を意味しています。

由来は仏教用語の「末摩」

断末魔の由来は仏教用語の「末摩」です。「末摩」とは「梵(marman)」の音訳で、これを傷つけると激痛を伴って死ぬとされている身体の急所を指します。

断末魔の使い方と例文

断末魔は、人や動物が苦しみながら死ぬ状況で使い、「断末魔の叫び」や「断末魔の苦しみ」のような表現で使用するケースが多いです。なお、息を引きとる瞬間だけではなく、「断末魔のような」という比喩表現としても用います。

「断末魔の悲鳴を耳にした私は、これから起こる出来事に恐怖した」
「建物の外から断末魔の声が聞こえたので、なかなかその場を動けなかった」
「断末魔の苦しみに苛まれながら、なんとか持ちこたえた」
「逃げ遅れた人の断末魔の叫びが聞こえた」
「彼女は断末魔のような悲鳴をあげた」

断末魔には「死ぬ間際の叫び声」という意味はありません。したがって、「断末魔をあげる」という使い方は誤用となります。「あげる」を使いたい場合は「断末魔の叫びをあげる」と表現しましょう。

「彼は断末魔の叫びをあげると、そのまま絶命してしまった」
「その得体のしれない生き物は、断末魔の叫びをあげると目の前から消えてしまった」

上記の例文のように「断末魔の叫びをあげる」と正しく使えば、死ぬ間際の痛みや苦しみに藻掻く様子が伝わってくるのではないでしょうか。

  • 断末魔の使い方と例文

    断末魔は「断末魔の叫び」や「断末魔の苦しみ」のようにして使われるケースが多いです

断末魔の類語

断末魔の類語を紹介します。

往生際(おうじょうぎわ)

往生際は「死に際」という意味がある言葉なので、「断末魔」の類語として言い換え可能です。

なお、往生際には「諦めなければならなくなった際の態度や決断力」という意味もあります。この意味で使う場合は「往生際が悪い」などの表現をするのが一般的です。

「彼は負けず嫌いだから、本当に往生際が悪い」

臨終(りんじゅう)

臨終は「人が死のうとする間際、死に際」という意味がある言葉です。

「友人の臨終に立ち会いたかったが、それは叶わなかった」

今際の際(いまわのきわ)

今際の際は「死にぎわ」や「臨終」という意味の言葉です。「いまわ」は死ぬ瞬間を表し、「きわ」は「物事がまさにそうなろうとするとき」を意味しています。

「祖母は今際の際に『いい人生だった』と笑顔で語った」
「急いで病院に向かったが、父の今際の際には間に合わなかった」

死に目

死に目は、断末魔と同じ「臨終」や「死に際」などの意味があります。

夏季の例文は、日常会話でも比較的よく使われる表現です。死に目は断末魔よりも広く一般的に用いられている言葉といえるでしょう。

「親の死に目に会えない」

このほかにも、「断末魔」の類語には次のようなものがあります。

  • 死の淵
  • 死の床
  • 末期

など

「死ぬ間際」を言い換えられる類語の多さと日本語の奥深さに驚かされるのではないでしょうか。 断末魔に換わるさまざまな表現を覚えておきましょう。

断末魔の英語表現

断末魔を英語で表現する際は、「death agony」が使えます。

death agonyは「死ぬ間際の苦しみ」を意味し、「death」が「死」、「agony」が「苦しみ」を表しています。

このほかにも「最後の喘ぎ(あえぎ)」を意味する「last gasp」や、「死の叫び」を意味する「death cry」なども「断末魔」の英語表現として使用可能です。

  • 断末魔の類語

    断末魔の類語や英語表現も知っておきましょう

死に際に使われる言葉はたくさん! 断末魔も知っておこう

断末魔は「死ぬ間際、または、そのときの苦しみ」を意味する言葉です。基本的には、苦痛を感じながら死ぬ状況で使われます。

一般的な使い方として覚えておきたいのは、「断末魔の叫び」や「断末魔の苦しみ」です。「断末魔をあげる」は誤用ですので注意してください。

本記事で紹介した「断末魔」の例文や類語、英語表現も覚えて、さまざまなシーンで使ってみましょう。