2000年以降に成人したミレニアル世代は、それまでの世代と違う特徴を備えています。ミレニアル世代の主な特徴としては、デジタルネイティブである、モノの所有にこだわらないなどです。

今回はライフスタイルなどから見られる、ミレニアル世代の具体的な特徴を分かりやすく解説します。マーケティングで彼らにアプローチするための参考情報として役立ててください。

  • ミレニアル世代の特徴とは? 価値観やライフスタイルなどの傾向を解説

ミレニアル世代の概要と注意点

ミレニアル世代とは1981年~1996年生まれの世代であり、Y世代と呼ばれることもあります。これより下の世代がZ世代、上の世代はX世代です。

ミレニアルとは「千年紀」のことで、ミレニアル世代は西暦2000年を、19歳以下で迎えました。2000年という区切りからも注目されてきた世代です。

ミレニアル世代やZ世代についてさまざまな見解がありますが、アメリカ生まれの考え方であるという点は注意しておく必要があります。

ここからミレニアル世代の特徴を解説しますが、アメリカの文化・経済・政治などの要素が影響している面もあります。日本も含めた他国の同世代にそのまま当てはまるとは限らないことを頭に入れておいてください。

ライフスタイルから見たミレニアル世代の特徴

ミレニアル世代にはさまざまな特徴があり、まずはライフスタイルにおける特徴から見ていきましょう。

1.情報収集はインターネットが中心

ミレニアル世代は若い頃からインターネットを使いこなしてきました。日常的な情報収集も、テレビや新聞よりもインターネットが中心です。

なおZ世代に近い年齢層の場合、さらにSNSを重視する傾向も見られます。"ググる"や"タグる"と言うようにGoogle検索やSNSのタグ検索によって、わからないことや知りたいことを日常的に収集しています。

2.デジタルやテクノロジーに強い

インターネットに親しんできた世代ですから、パソコンやスマホの操作に苦労することはほとんどありません。家電、ゲーム機、デジタルカメラなど、さまざまなデジタル機器を使いこなせます。

最新のテクノロジーに興味を示す人も多く、Amazon EchoなどAIを利用したデバイス、ウェアラブルデバイスの利用も多いです。

3.ネットショッピングの利用が多い

ミレニアル世代はネットショッピングの利用が多く、クレジットカードなどの情報をサイトに登録することに抵抗感がありません。

またフリマアプリの利用が多いのも特徴で、メルカリなどで中古品を売買することにも積極的です。

4.ミニマリストや断捨離になじみやすい

ネットショッピングを好む一方、モノへの執着があまりないという側面もあり、多くのモノに囲まれる生活を好みません。

必要最低限のものだけあれば良いという人も多く、ミニマリストや断捨離などを実践しやすいです。

カーシェアリングや洋服レンタルといった、シェアリングエコノミーを利用することもあります。

5.お酒をあまり飲まない

お酒をそれほど飲まないミレニアル世代も増えています。欧米では「ソバーキュリアス」という人が増えているという現象も。

ソバーキュリアスは「シラフ」と「好奇心」を組み合わせた造語です。自身の飲酒の習慣について見直し、断酒・減酒などに取り組む人のことを指します。

ソバーキュリアスの考え方は個人でかなり幅があり、必ずしもお酒を全部止めるわけではありません。ただ、お酒との付き合いを考え直す人は増加傾向にあるようです。

価値観から見たミレニアル世代の特徴

ここからは、ミレニアル世代の価値観について解説します。

1.社会問題への関心が強い

ミレニアル世代が育った時代は、数多くの事件や社会問題が発生した時代でもあります。たとえばアメリカ同時多発テロ事件(9.11)、東日本大震災、リーマンショックなど。また 台風、ハリケーン、大雨・洪水といった災害も近年増えています。

よってミレニアル世代は社会問題に高い関心を持つ傾向が見られます。具体的には気候変動や環境、人種やジェンダーに関する差別、貧困などのテーマです。

ミレニアル世代が社会運動に参加することにより、SNSなどで注目される事例も現れるようになりました。たとえば黒人差別を問題視した「Black Lives Matter」の運動は、ミレニアル世代やZ世代がSNSを通じて主導したとされています。

2.仕事とプライベートの両立を重視

ミレニアル世代は、仕事一辺倒のような状態になるのを好みません。仕事とプライベートをきっちり分けて、両立することを理想とします。

仕事は効率よく進めるのが好きなので、残業が多い職場や仕事にはなじみづらいです。サービス残業や付き合いでの残業などは、彼らにとってはストレスそのものです。

また先述したようにお酒をそれほど飲まない人も増えているので、お酒の付き合いにも積極的ではありません。コロナ禍でお誘いが減り、ホッとしているミレニアル世代も多いでしょう。

3.独立心が旺盛

1つの会社で一生を過ごすとはあまり考えていません。自分のキャリアや成長を重視するのと同時に、終身雇用はとっくに崩れていることを十分知っているからです。

自分が本当に望む仕事がしたい、自分の力でビジネスをしたいと考える人が多い傾向も。それを実現するため、転職や独立をすることも普通のことです。

4.モノよりも体験を重視

先述したように、モノへの執着心があまりないのもミレニアル世代の特徴。その代わりに、製品やサービスを通じて何が体験できるのかを重視する傾向があります。

「特別な体験」「自分だけの体験」に心をくすぐられるミレニアル世代も多く、友達と体験を共有したいとも考えます。

  • 仕事とプライベートの両立、モノよりも体験を重視する世代

心理面から見たミレニアル世代の特徴

ここからは、ミレニアル世代の持つ心理的な傾向について見ていきましょう。

1.柔軟性・受容性が高い

ミレニアル世代は「人それぞれ」「個性重視」の価値観を大切にしています。他者の価値観についても尊重するため、柔軟性や受容性が高い傾向にあります。

よって「男だから」「女だから」「若者だから」といった一方的な決めつけを嫌います。ジェンダーフリーやLGBTなどに理解を示しやすいのもこの世代の特徴です。

2.やや楽観的な傾向がある

彼らが幼少期や10代を過ごした時代は、明るい要素もあった時期です。特にアメリカは社会的な問題や事件などが発生しつつも、2008年のリーマンショックまではどちらかといえば好景気でした。

1990年代から2000年代にかけて、ハイテク株やドットコム株で株式市場は盛り上がり、失業率も低い状態でした。

よってミレニアル世代は若い頃に好景気を目撃していますので、経済面でやや楽観的な傾向があります。

3.仲間意識が強い

ミレニアル世代は自分の趣味嗜好などでコミュニティ・つながりを形成します。同じ価値観や共感できる仲間を特に大切と感じる人が多いです。

またSNSを通じて人間関係を形成するのもごく普通のことです。一度も会ったことがなくても、価値観が同じ人は仲間として大切にする意識もあります。

他世代との共通点・違いとは

ミレニアル世代の1つ上がX世代、下がZ世代です。これらの世代との共通点や違いについて簡単に解説します。

1.Z世代との比較

Z世代とミレニアル世代の共通点として、スマホやSNSに親しみがあること、社会問題への関心が高いこと、モノへの所有欲が少ないなどが挙げられます。

その一方でZ世代はよりSNSの利用が多く、経済面では慎重で安定性を好む傾向が見られるのが違いです。

2.X世代との比較

X世代とミレニアル世代の共通点として、ワークライフバランス重視、独立心旺盛、デジタルに強いなどの点が挙げられます。

X世代がミレニアル世代と違うのは、スマホよりパソコンに親しみのあること、モノの所有を大事にすることなどです。

ミレニアル世代の特徴にマッチしたアプローチ方法

社会問題への関心が強いこと、自分の考えや価値観を大切にすること、「共感」を重視することがミレニアル世代の主な特徴です。よって下記のようなアプローチ方法が考えられます。

・商品・サービスが生まれた背景やストーリーを紹介
・環境に配慮していること、または社会問題の解決につながることを説明
・モノだけでなく使用体験もアピール
・カスタマイズを可能にする

大量消費を前提としたマスマーケティングではなく、一人ひとりに訴求するパーソナライズなマーケティングが求められていると言えます。