東京商工リサーチはこのほど、2021年上半期(1月~6月)「飲食業の倒産動向」調査の結果を発表した。それによると、2021年上半期の飲食業倒産(負債1,000万円以上)は前年同月比21.0%減の330件となった。コロナ禍の各種支援で倒産は大幅に抑制され、上半期ベースでは3期ぶりに前年同期を下回った。

新型コロナ関連倒産は145件

  • 飲食業の倒産動向(出典:東京商工リサーチWebサイト)

新型コロナ関連倒産は145件(43.9%)発生。新型コロナ関連倒産の割合は2020年12月以降、7カ月連続で3割を超えており、「コロナ禍の長期化が経営に深刻な影響を与えている」(同調査)。

業種別では、日本料理店などの「専門料理店」が最も多く91件(前年同期比17.2%減)。以下、「酒場、ビヤホール(居酒屋)」が79件(同7.0%減)、「食堂、レストラン」が52件(同49.5%減)と続いた。

飲食業倒産に占める新型コロナ関連倒産の構成比では、「そば、うどん店」が60.0%、「酒場、ビヤホール(居酒屋)」が59.4%、「持ち帰り飲食サービス業」が50.0%で、これら3業種で5割以上となった。

資本金別では、「1,000万円未満」が288件(構成比87.2%)、負債額別では「1億円未満」が288件(同87.2%)と、小・零細規模の倒産が大半を占めた。

都道府県別では、大阪府が57件で最多。次いで東京都が47件、兵庫県が26件、愛知県と福岡県が各19件と続いた。前年比増減をみると、増加が19府県、減少が20都道府県、同数が8県となった。

同調査では、「飲食業に対する協力金などは一定の効果を発揮しているが、飲食業の多くを占める小・零細企業は手元資金に乏しい企業が多い。協力金などの支給遅れやコロナ禍の収束時期次第では、息切れや先行きへの諦めから倒産が増勢に転じる可能性が高まっている」と分析している。