東京商工リサーチは6月24日、上場企業「雇用調整助成金」調査の結果を発表した。雇用調整助成金(以下、雇調金)の受給・申請を情報開示した上場企業を対象に、2020年4月1日~5月31日の期間に金額、および活用や申請を開示資料に記載した企業を集計した。
計上額は4,435億9,890億円
雇用調整助成金とは、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、2020年4月に雇用の維持を図る目的で開始されたもの。
上場企業において、2021年5月末までに開示された決算資料で雇調金を計上・申請が判明したのは770社となり、上場企業全体(3,797社)の20.2%を占めた。2021年4月末の前回調査(716社)と比べて54社増加し、2020年11月の調査開始以来、最も高い伸び率を記録した。計上額は4月末比491億2,360万円増の4,435億9,890万円と、上場企業だけで4,000億円を上回った。
計上額別にみると、「1億円未満」が274社(35.6%)と最も多く、次は「1億円以上5億円未満」が263社(34.2%)。4月末と比べると、「100億円以上」は4社→5社、「10億円以上50億円未満」は62社→73社、「1億円以上5億円未満」は235社→263社、「1億円未満」は272社→274社となった。
業種別では、「製造」が302社(計上額928億3,940万円)でトップ。以下、「サービス」が148社(同883億3,130万円)、外食などの「小売」が146社(同796億6,480万円)と続いた。なお、計上額では「運送」が一番多く、1,451億5,910万円(48社)に上った。
企業別の計上額では、「ANAホールディングス」が434億7,000万円で最多。次いで「オリエンタルランド」が223億800万円、「近鉄グループホールディングス」が149億3,300万円となった。
同調査では、「観光や交通インフラなどは当面、我慢の経営が続くとみられ、今後も申請社数、計上額は増加をたどるとみられる」と分析している。