南紀白浜エアポート、TIS、NTTデータ経営研究所は6月22日、和歌山県における新しい仕事のスタイルである「ワーケーション」と東京での在宅リモートワークの比較検証の実証実験の結果を発表した。

和歌山県はこれまで日本版ワーケーション発祥の地として、ワーケーションの普及活動を実施してきたが、ワーケーションが個人や企業に与える効果・効用を科学的・定量的に示すエビデンスの取得が不十分で、個人や企業におけるワーケーション導入に向けた効果的な訴求に課題を有していた。

そこでワーケーションの効果・効用に関するエビデンス獲得を目的として、林野庁「森林サービス産業」創出・推進に向けた活動支援事業を活用して、南紀白浜エアポート・TIS・NTTデータ経営研究所の3者が協力・連携を行い、専門医の監修を受けながら和歌山におけるワーケーションの実証研究を実施した。参加者は、TISを含む5社の男女20名(ワーケーション参加13名+在宅ワーク7名)。

和歌山でのワーケーションに関しては、以下の結果が得られた。

  • 職業性ストレス(労働に際して発生する身体的・心理的なストレス)が、ワーケーション期間中およびワーケーション終了後も低減し、特に抑うつ感(気分の落ち込みや物事に集中できない感覚)は、期間中に最大56.2%、終了後も42.5%低減した
  • リカバリー経験(良質なパフォーマンスを発揮するための業務後の回復機会)が、ワーケーション期間中に26.5%、ワーケーション終了後も23.2%向上した
  • ワークエンゲージメント(仕事に対する活力・熱意・没頭の程度)が、ワーケーション期間中に23.9%、ワーケーション終了後も15.9%向上した(ワークエンゲージメントの高い従業員が多い企業は、収益性が高く、離職率・無断欠勤が大幅に少ないことが別の研究で明らかになっている)
  • ワーケーション参加群の仕事のパフォーマンスが、ワーケーション終了後も向上した
  • 実証実験下のワークスペースと健康経営プログラムの環境

以上のように、在宅リモートワークと比べて、和歌山でのワーケーションが心身の健康、ワークエンゲージメント、生産性等にポジティブな影響を与えることが示唆された。