デフォルトは、ビジネスだけでなく日常会話の中でもよく使われる言葉ですが、複数の意味を持つことをご存知でしょうか。
この記事では、デフォルトという単語に注目。シーンごとで異なる意味や使い方を紹介します。
デフォルトとは?
デフォルトはカタカナ言葉として日本語の中で当たり前に使用されていますが、もともとは「default」という英単語です。直訳すると「既定、不履行、怠慢、欠席、不出場や棄権」といった意味になります。
使用される場面によってニュアンスが異なるデフォルトの意味をシーン別に紹介します。
ビジネスや日常会話におけるデフォルト
一般的なビジネスシーンで使用される場合は「仕様」や「普通」といった意味で使われることが多いです。ノルマなどで最初から指定されている数値などのことをデフォルトと呼ぶこともあります。
日常会話では「当たり前」といったニュアンスで使用されることが多いです。「うちの職場では5分前行動がデフォルトだ」といった形で使われます。
コンピューター用語のデフォルト
コンピューター用語でのデフォルトは「初期設定」という意味で使われるのが一般的です。市販されているコンピューターの場合、用途などに合わせてカスタマイズされるケースも多いですが、必ず最初の基準となる「初期設定」が存在します。
例えば、カスタマイズするために設定を変更したりアプリケーションなどを追加したりしたものの不具合が発生し、解消するためにリセットすることを「デフォルトに戻す」と言います。
コンピューターにおけるデフォルトはもっとも安定して使用できる状態です。そのため、多くのデバイスやアプリケーションには、デフォルトに戻す機能が搭載されています。
ちなみに、WindowsOSなどではデフォルトのことを「規定値」と表示されることもあります。基本的にデフォルトと規定値は同じ意味の言葉と考えていいでしょう。
金融業界におけるデフォルト
金融業界でデフォルトは「債務不履行」という意味です。債務とは特定の人や組織などに対して何らかをしなければならないという法的な義務のことを指します。これが正当な理由なく履行されない状態が債務不履行です。
例えば、お金を借りると「返済する」という債務が発生します。そこで、定められた期間や方法で返済を行えなければ債務不履行となります。
債務不履行には完全に履行することができない「履行不能」と、指定された日時よりも遅れて履行された「履行遅延」、履行は行われたものの完全な形ではない「不完全履行」の3種類がありますが、これらをまとめてデフォルトと呼びます。
その他のデフォルトの意味
スポーツの世界においてデフォルトは「欠場」という意味で使われます。欠場にもいくつかのパターンがありますが、予選などで敗退して出場権を得られない場合はデフォルトとは呼びません。出場の権利を持っているにも関わらず出場しなかったことをデフォルトと呼びます。
また、出場や出席の権利のみでなく義務を履行しない場合もデフォルトにあたります。例えば裁判などに出廷が求められているにも関わらず欠席するとデフォルトです。
デフォルトの使用例
デフォルトの使い方をシーンごとに例文で紹介します。
ビジネスや日常会話における使い方
・うちの会社では定時退社がデフォルトです。
・彼は現場からの直帰がデフォルト。
上記の例文では、「普通」「当たり前」といった形でデフォルトが使用されています。「既定」「基準」といった意味では、次のように使います。
・ノルマのデフォルトは100ですが今月は150になります。
・デフォルトはAのデバイスですが、このソフトに限ってBのデバイスを使用してください。
デフォルトのくだけた表現として、省略した「デフォ」が使われることもあるので、あわせて覚えておきましょう。
コンピューター用語としての使い方
コンピューター用語としてのデフォルトのもっとも一般的な使い方、「初期設定」という意味で使用されている例です。
・デバイスの調子が悪いので一度デフォルトに戻します。
・このPCはシャットダウンするとデフォルトに戻る設定になっています。
・デフォルトからの変更は行わないでください。
下記の例文ではアプリケーションなどの「既定設定」という意味で使用されています。ビジネスシーンなどと同様に、コンピューター用語でも「既定の」という意味で使われることがありますので注意しましょう。
・デフォルトではブラウザAを使用しますが、このサイトはブラウザBで開いてください。
・デフォルトをアプリケーションAからアプリケーションBに変更します。
金融業界における使い方
金融業界においては「債務不履行」という意味で使用されるのが一般的です。
・アルゼンチンは過去にデフォルト宣言をしたことがあります。
・商品を注文したが納期までに届かずデフォルトとなりました。
債務の履行が困難になった債務者自身がそれを債権者などに伝えるという意味で「デフォルト宣言」という言葉が使われることもあります。
誤った使い方
最後にデフォルトの誤った使い方の例を紹介します。
・予選で敗れてしまったので本戦はデフォルトです。
・今回の大会は年齢制限によってデフォルトとなります。
デフォルトがスポーツで使用される場合は欠場といった意味がありますが、出場の権利がある場合に限られます。
この例文の場合、予選で敗れた場合は本戦出場の権利はなく、年齢制限で出場できない場合も権利はありません。そのため、デフォルトとは表現しないので注意しましょう。
デフォルトの類語
デフォルトはシーンによって意味が変わるため、類語も使うニュアンスによって異なります。使用シーン別のデフォルトの類語を紹介します。
ビジネスや日常会話における類語
ビジネスや日常会話などにおいては、「既定」「通常」「普通」「当たり前」などがデフォルトの類語にあたります。
コンピューター用語における類語
コンピューター用語では「初期設定」「既定の」といった言葉で置き換えることができます。
金融業界における類語
金融業界では「債務不履行」の他に「不払い」「未払い」「滞納」といった言葉が類語にあたります。
デフォルトはシーンによって意味が変化する
デフォルトは英語の「default」がもととなっているものの、現在ではカタカナ言葉として日本語の中で当たり前に使用されるようになりました。
デフォルトの意味はビジネス・金融・コンピューター用語など使われる場面で変わります。そのため、使用シーンや前後の文脈から意味を把握することが重要です。
デフォルトのそれぞれの意味を正しく理解して、円滑なコミュニケーションを行えるようになりましょう。