「同じことを繰り返す」ことを意味する「ルーチン」という言葉、ビジネスシーンでもしばしば使用されますが、実はルーチンにはさまざまな意味があることをご存知でしょうか? 本記事ではルーチンの意味や正しい使い方を紹介します。
ルーチンとは
ここではルーチンの意味や語源について解説していきます。
ルーチンの意味
ルーチンは英語で「決まった手順」「お決まりの所作」「日課」などの意味を持ちます。本来の発音は「ルーティーン」ですが、日本人に発音しやすいように「ルーチン」として認知されました。
ルーチンの語源
ルーチンの語源はフランス語の「routine」で、これは「道」を表す言葉です。ルーチンにはもともと「決められた道を歩く」という意味があり、それが変化して「決まった手順」「お決まりの所作」と言葉が変容していきました。
ルーチンとルーティンの違い
ルーチンとルーティンの違いが気になるという方もいらっしゃるかもしれませんが、特に違いはありません。この2つの意味は同じです。英語の発音により近いのはルーティンですが、ルーチンの方が日本人にとって比較的発音がしやすいことから、昔はルーチンが定着していました。
しかし近年、日本のTVアナウンサーは発音をルーチンからルーティン、もしくはルーティーンに変更しています。また、共同通信の記者ガイドブックからルーチンは削除され、新たにルーティンが追加されるなど、ルーチンよりもルーティンの方がメジャー化されつつあります。
ルーチンの関連語
ここでは、「ルーチン」を含む関連語をご紹介します。 「ルーチン」にはさまざまな使い方がありますが、スタンダードなのは他の単語と組み合わせる「ルーチン化」や「ルーチンワーク」という使われ方です。
ルーチンワーク
ルーチンワークとは、やり方や手順、手続きが決まりきった作業のことを指します。
ルーチン化
「ルーチン化」は、日常の中で仕事や取り組みを当たり前のように定着させるという意味です。また、「スキルを習得するために反復練習を繰り返すこと」に対しても「ルーチン化」という表現を使います。
ルーチンの使い方・例文
次に、ルーチンの使い方と例文を解説していきます。
一般的な使い方
(例文)
・朝起きてラジオ体操をするのが私のルーチンだ
これは習慣的な意味合いで使われるルーチンです。 生活の中で「習慣」として使われるケースですね。
業務上の使い方
(例文)
・工場の業務をルーチンワーク化して、効率を上げましょう
これは工場の業務のマニュアルを作って、決まった手順で仕事ができるようにするという意味です。ここで大切なのは、ルーチンが「マニュアル」「決まった手順」という意味で使われている点です。
スポーツでの使い方
(例文)
・あのバッターは打席に入ると必ず行うルーチンがある
これは、スポーツシーンにおいて選手が毎回決まった同じ動きをするという意味です。常に高いパフォーマンスを求められるアスリートは、毎回同じ体の動きを繰り返すことで環境に左右されない集中力を身につけ、毎回同じ結果(いい結果)を出せるように決まった動きを繰り返します。
ここでは「毎回同じ動き、決まった動きをする」という意味がルーチンに含まれていることがわかります。ちなみに、最近ではスポーツ業界の中ではルーチンとは発音せず、ほぼすべての関係者が英語の発音を意識したルーティンという発音に変更しています。
IT用語・コンピューター用語での使い方
(例文)
・プログラムの中に必要なルーチンを挿入する
IT用語で使うルーチンは、コンピュータプログラムのうち特定の機能や処理を実装したひとまとまりのコードの集合体を意味します。プログラムの本体のことを「メインルーチン」(main routine)、メインルーチンや他のルーチンに呼応するルーチンを「サブルーチン」(sub routine)といいます。
ルーチンの類語
ここではルーチンの類語について紹介していきましょう。ルーチンの類語や言い換え表現には、次の3つがあります。
日課
(例文)
・日記を書くことが私の日課だ
日課とは毎日決めてする仕事という意味です。また、毎日割り当ててすることという意味もあります。
習慣
(例文)
・外から帰ってきたら手を洗う習慣がある
「習慣」は長い間繰り返し行ううちに、そうするのがきまりのようになったこと、という意味です。 その国やその地方の人々の間で、普通に行われる物事のやり方、社会的なしきたりという意味もあります。
繰り返す
(例文)
・同じ失敗を繰り返す
同じことをもう一度、あるいは何度もする。反復するという意味で使われます。
ルーチンの対義語
ルーチンの対義語は以下の通りです。
アドホック
(例文)
・アドホック会議が明日行われる予定だ
「臨時の」「暫定的な」「特定の目的のための」というニュアンスを含む言葉です。習慣的に何度も繰り返すという意味のルーチンとは反対の意味ということがわかります。
非定型業務
(例文)
・非定型業務を任せるには経験が足りない
非定型業務とは決まっている形がなく、これまでの経験や判断、思考力などから最適な提案をまとめる必要のある、創造力を要する業務のことです。企画や対外的な折衝、新規事業の開発などが該当します。
非定型業務はマニュアルにしたがってルール通りに行うという意味のルーチンワークとは反対の意味ということがわかります。
ケースワーク
(例文)
・ケースワークには周りの理解が求められる。
社会事業の方法の一つで、精神的・肉体的・社会的な生活上の問題を抱える個人や家族に個別的に接し、問題を解決できるように援助することを指します。ソーシャルケースワークともいいます。個別に接し、問題を解決するケースワークはルーチンが意味する、同じことを何度も繰り返すという点で反対と言えます。
ルーチンの意味を正しく理解しよう
本記事ではルーチンの意味や正しい使い方を紹介してきました。ルーチンは生活や仕事、スポーツなどのさまざまな場面で使用されることが多く、シチュエーションごとの意味をすべて理解している人は多くないはずです。
社会に出てから恥ずかしい思いをしないためにも、今のうちにビジネス用語を正しく理解しておきましょう。