「自分はなんて凡庸なんだろう。個性的って何だろう? 」と、ひそかに思っている人は、きっと少なくないと思います。だけど、突出した個性や才能なんてそうそう誰もが持っているものではないし、チャレンジすることへの不安もあるでしょう。

  • バービーが若者にガチンコアドバイス / 「結婚したら、男性の体調管理は女性の責任! ? 」

    写真提供/ バービー

そこで、「プロの一般人」と結婚されたばかりのお笑い芸人・バービーさんに、Z世代の「生きづらさ」についてご相談。優しくもシビアに、「今の自分から変わりたいけど変われない」悩みについてアドバイスをいただきました。

■悩み1 : 私は地方出身のごく普通の人間です。もっと個性が立った面白い人になりたいのですが、どうすればいいでしょうか。

結婚した彼の肩書を私は「プロの一般人」と呼んでいます。彼が持っている常識と視聴者目線から名付けたもので、「普通に生活している人の感覚」というものを彼は私に教えてくれます。

彼は、プロフィール的にも特筆するようなことが何もないんですよ。普通に4人家族で、普通に就職もして、皆が進むレールの上をまっとうに選択して生きてきている。「普通」であることに苦労をしたことがない人で、私にとってはそういう人の感覚が逆に新鮮でした。

かつ、私から見てですけど、彼はすごくセンスがあるように思います。写真も文章もうまいし、センスがある。話す言葉も面白い。「普通=無個性」と思っている人が多いかもしれないけど、普通の中にこそめちゃくちゃ個性があるというか、キラキラした原石の輝きが見えるというか。

「一人ひとりの人間ってすごいんだな」ということを教えてもらった感じです。実は、「普通」って宝だと思います。

でも一方でこれからは、目立った個性がなかったり、強い熱量がなかったりする人間には今後、仕事が回ってこない社会構造になるかもしれないから、皆、「普通」であることに危機感を持っているんですよね。

でも、「普通から変わりたい」と思っている人は、その時点でもうすでに「普通」から一歩踏み出し始めているんじゃないんじゃないかな。

あと自分自身で強烈な個性とかたいそうな夢がなくても、夢を追いかけている人って仲間を探しているはずなので、その人のもとにつくとかっていうのも面白いと思います。

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■悩み2 : 将来、ミュージシャンになりたいと思ってがんばっていますが、なかなか芽が出ません。夢はいつまで追っていいと思いますか?

夢に関してはシビアなことを言ってしまいがちなんですけど、私自身は「夢を追うのは30歳まで」と親に言われていたし、自分も「30歳までに箸にも棒にもかからなかったら辞めよう」と考えていました。

私のところには、夢を追っている人から「夢に全集中するために、バイトはしない方がいいでしょうか? 」という相談が来たりもします。

まったく稼ぎの無い状況で、夢に全集中するという無防備な賭けは、私はおすすめしません。夢を追うことを辞めても食べていける資格や能力があるなら、心置きなく追いかけてもいいと思うけど、そういうのがまったくない夢への全賭けは、「甘えてるな」と思ってしまうところが正直あります。

食い扶持があるんだったら、いつまででも夢を追っていたらいいんじゃないかな。食い扶持がないんだったら、まず稼げ(笑)。

ちなみに、全賭けした人のなかでも、芸人にありがちなのが「その売れ方はいや」「その仕事はしたくない」。「生活厳しいのに何言ってんだ」と私は思いますけど、そのスタンスで結果を出す方もいらっしゃるので否定はできないかな。

ただし、それで成功するのは、東大に入るよりも難しい確率だと思います。努力でなんとかなるものじゃないです。

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■悩み3 : 漠然と今のままではダメだと思っています。でも、現状を変えることへの不安もあるし、結局変わることができません。

私は結構フットワークが軽く、ほいほいと行動する方なので、人よりトライ&エラーが多いと思います。「こんなことしたら人からこんなふうに思われちゃうかも」という発想が欠落していて、不安よりも「楽しい」が勝っちゃって、わくわくして勝手に手足が動いちゃうという感じ。

脚本家志望だったのに「芸人の方が向いている」と言われてこの道に入ったり、ハジメさんと組むときも最初は全然乗り気じゃなかったんですけど、酒の勢いで承諾して「フォーリンラブ」を結成したり。

人からいい提案が来たら、すぐに食いつくし、乗る(笑)。でも結局、それがよかったかなと思います。行動力が上がれば成功の確率も上がるし、経験値も増えます。

私が結婚を発表してから「恋愛できないんです」とか、若い子からの長文のメールが増えました。「不安」ということは、失敗したり、他人から何か言われたりして傷つくことへの許容範囲が狭いんでしょうか。

私は、傷つきながらも、その都度何となく起き上がれたからよかったと思うんですけど、1回崩れたら、もう立ち上がれないのかな。

でも、不安だけど「変わりたい」と感じているというのがすごくもどかしい。自分の嫌な面ばかりが目に付いてしまうのかな?

「傷つくことが怖い弱い人間だから、私はこのままでいい」と思っているわけじゃないんですよね。だったら、怖いかもしれないけれど一歩踏み出した方が楽だし、快適なんじゃないかなと思います。

ひとつ殻を破って自信を持てたりすると楽なんでしょうね。たとえば、ボランティアのように人から「ありがとう」といってもらえることから始めると、行動しやすくなるんじゃないかな。

私も二十歳くらいの頃、自己啓発本をめちゃめちゃ読んだし、挨拶が苦手で、鏡の前で口角をあげる練習もしました。「変わりたい」と思ったら、とにかく行動していましたね。

「こう変わりたい」という具体的な目標がないなら、まずは自分の「自分のここが嫌」を潰していくとか。それだけでも、自分を変える一歩になると思います。

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