この1年で数々の映画・ドラマに出演し、その名を一気に広めた女優の小西桜子。大学時代に自主映画に出演して以降、プロの女優を目指してきたが、窪田正孝主演映画『初恋』(20)でヒロインに大抜擢されたことが転機となった。以降、ドラマや映画出演は途切れることなく、5月13日より放送される桐山漣主演のドラマ『ラブファントム』(MBSドラマ特区 毎週木曜24:59~)では、初めてラブコメディのヒロインを務める。そんな売れっ子となった小西に、女優として心がけていることや女優業の面白さを聞いた。

  • 小西桜子

『ファンシー』(20)で劇場映画デビューし、すぐあとに公開された『初恋』が出世作となり、連続ドラマ『猫』(20)や『京阪沿線物語~古民家民泊きずな屋へようこそ』(21)などで主演に抜てきされた小西。周りの反響を聞くと「コロナ禍でしたし、そんなに実感したことはないです」と言うも、「私はひとりカラオケが好きで、この間も1人でカラオケに行ったのですが、その時に『小西桜子さんですか?』と聞かれて『え!』となりました。2時間くらいしっかりと“ひとカラ”を楽しんだあとだったので恥ずかしいなと。こんなところで顔がバレるんだなと思いました」と照れながらエピソードを明かした。

商業作品デビューして2年目、丁寧に時間をかけて一つ一つの役と向き合っている。「いろんなことがありますし、時には悔しい思いをすることもありますが、極論としては、自分のなかで1つ芯を持っていれば大丈夫かなとも思っています。自分がどれだけ誠実にお芝居と向き合ってきたかという点は、きっと自分の表情や雰囲気、顔のしわ1つとっても出てくると思うので、いろんな経験を積んでいきたい、今はただそれだけです」

もちろん、これまでにもいろんな壁もあった。「女優業は表に立つという仕事で、いろんな人と触れ合うので、なるべく周りの人に気を遣える人のほうが向いているんじゃないかと思うんです。でも、お仕事を始めたばかりの頃はそういう余裕が持てず、いろんな配慮が足りなくて、人に誤解を与えてしまったこともありました」と振り返り、「だから今年からは、自分でいっぱいいっぱいにならないように、ちゃんと周りを気遣って、人に見られて恥ずかしくないような振る舞いができるようになりたいと思います」と襟を正す。

舞台挨拶や記者会見では、常に笑顔を絶やさないという印象を受けるが、「私の場合、普段は省エネタイプで、オフになっていることが多いです。決して疲れているわけじゃないけど、そういうふうに思われてしまうことがあるので、そこは最近、気をつけるようにしたいと思っています」とのこと。

共演者から学ぶことも多いという。特に影響を受けた俳優を尋ねると「たくさんいますが、1人挙げるとしたら窪田正孝さんです」と答えてくれた。窪田とは『ファンシー』、『初恋』と立て続けに共演した。

「撮影したのは『ファンシー』が先で、お芝居が何かもわかっていなかった時に共演していただきました。窪田さんは新人の私に対してもすごくフランクに接してくださり、真っ直ぐなお芝居をぶつけてくださいました。お芝居の姿勢一つ一つはもちろん、監督とのコミュニケーションの仕方についてもすごく自然体で、いい意味で力が抜けているんです。でも、すごく真面目でストイックな部分があって、これぞ理想的だなと思いました」

さまざまな作品を経験する中で、女優業の面白さを実感している小西。「毎回違う役をやらせてもらい、その都度違う人の人生を生きられる点がすごく特殊だし、醍醐味だなとも思います。また、自分が今まで生きてきた中で体験してきたことが役に活かせるので、無駄な経験って1つもないなと思えるから、そういう意味では、自分の人生の捉え方自体が変わって、いろいろなことに興味を持てるようになったので、すごくいい仕事だなと思います」としみじみと語る。