• 横山めぐみ(左)と吉岡秀隆=『北の国から’87初恋』より (C)フジテレビジョン

横山めぐみが演じるれいちゃんと言えば、純の初恋相手としてふさわしい、瑞々しさいっぱいのキャラクターだが、彼女との出会いはまさに偶然と奇跡の出来事だった。

「れいちゃんは、本当は違う子に決まってたんですね。だけどその子が、本読みがあるリハーサルの2日前に『女優を辞める』って言って来なくなっちゃったんですよ。だけど『北の国から』はリハーサルにいないとダメなんです。季節のこともあるし、ちょっと撮影を延ばすということもできない。2日後にはリハーサルをやらなきゃいけないので、急いでみんなでプロダクションに電話をして候補を探して、それで100人くらい集まったのかな。リハーサルの前日にオーディションをやったんだけど、なかなかいい子がいなくてね。それでもうダメだなってなった時に、スタッフが『1人、文化祭で早抜けしたいので、その子を先に入れてくれないですか?』って言うの。『みんな並んでんだからダメだよ』って言ったんだけど、『まぁいいや、入れとけ』って、それで入ってきた“文化祭の子”が、横山めぐみだったの。入ってきた瞬間に『これだ! れいちゃんだ!』って思いましたね。でも、当時はグラビアのモデルを1回やったくらいで芝居なんて1回もやったことがなかったので、リハーサル始まったらボロカスで(笑)。毎日泣いちゃってかわいそうでしたね」

  • 『北の国から’87初恋』より (C)フジテレビジョン

■動物の映像は撮りため「120時間ぐらいに」

『北の国から』は、劇中に時折挿入される自然や動物たちのインサート映像も見どころだ。どれも印象的なカットばかりだが、どのように撮影されていたのだろうか。

「とにかく動物が一番で、トランプで言うと“スペードのエース”なんですよ。だから芝居をやってても動物が出てきたらそっちを撮ったりするんです(笑)。別の芝居を撮ってるうちに動物が出てきたりしますから、そしたらもう動物を撮ったり、そうやって撮りためていましたね。あとは通常の撮影と2班制をとって、“動物班”っていうのがあって、その班が常に動物を追いかけてるんです。その中でカメラが2台欲しい時は、動物班が何時に合流して一緒にやろうとか、そういうスタイルでやってましたね」

こうして撮りためたインサート映像は膨大なもので、「単発だとテープでだいたい120時間ぐらいになるんですよ。そんなのは全部見ていられませんので(笑)、この辺でキツネが出るとかは脚本に書いてはあるんですけど、例えば15秒それでつなげたかったら、編集者が“厳選100カット”を選んで作ってくれたり、撮っているときに『これは面白い画になりそう』っていうのを(スタッフの)記録さんがチェックしてくれたり…と選んでいた感じですね」と、スタッフの協力で貴重な映像を放送することができたことを明かしてくれた。