「確信犯」は、誤った意味で使うわれることが多く、7割以上の人が誤った認識を持っているという調査結果もある言葉です。そういわれてみると、自分が「確信犯」の正しい意味を理解した上で使えているか、不安に感じる人も多いでしょう。

この記事では、「確信犯」の正しい意味や使い方、誤解されがちな誤用例について紹介します。また、類語や対義語、英語表現についてもまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

  • 「確信犯」の意味とは

    「確信犯」の正しい意味や使い方について

「確信犯」の意味とは

「確信犯」とは、もともとは法律用語で「自分の行いが正しいという信念に基づいて行わる犯罪行為」のことです。法律では悪いことだとされていても、道徳や宗教、政治などほかの価値観から判断すると「善行だと確信できることを遂行」することから、「確信犯」と名付けられました。

別の意味だと捉えられていることが多い

「確信犯」は誤った使い方が広がっており、多くの人に「悪いことだとわかっていて行われた犯罪や行為、またはそれを行う人」のことであると勘違いされています。実際、平成27年度に文化庁が行った「国語に関する世論調査」では、7割近くの人が誤った意味だと誤解しているという結果でした。この数字は平成14年度の調査結果よりも多いです。

大多数の人が本来の意味とは異なる意味で認識していることから、新しい使い方とも捉えられています。

ドイツの法哲学者ラートブルフが提唱した言葉

「確信犯」は法律用語が由来の、ドイツの法哲学者ラートブルフが提唱した言葉です。

確信犯人は自分が行ったことの違法性を意識しておらず、法秩序の内部では救済しにくい現状がありました。法と道徳の境界線上にあったことから、ラートブルフが確信犯人に対しては、一般的な刑罰である懲役刑ではなく名誉拘禁で対応するべきだと提唱し、ドイツ刑法で採用されていたことがあります。

本来の意味は「テロリズム」などの犯罪行為やちょっとした悪さ

「確信犯」は本来、「義賊」や「テロリズム」など、政治や宗教などの理念を確信して実行される犯罪のこととされていました。しかし、必ず犯罪になるわけではない、ちょっとした悪さのことを指す場合にも使われていた言葉です。

「確信」の意味を理解しておくと誤解しにくい

「確信」の意味は、「固く信じて疑わないこと」「固い信念」などです。すなわち「確信犯」の意味は「固い信念がある犯罪」と理解できます。

多くの人が使っている「悪いことだとわかっていて行われた犯罪や行為」という意味の場合、「確信」を持つような強い信念はない場合が多いです。「確信」があるかどうかを考えると、間違った使い方を避けやすいでしょう。

  • 「確信犯」の意味とは

    「確信犯」は多くの人が本来の意味とは違う意味で使っている

「確信犯」の使用例と誤用例

「確信犯」は本来の意味を知らず、誤解されていることが多い言葉です。そこで、正しい使用例と誤った使用例を紹介します。

「確信犯」の正しい使用例

重税を課して私腹を肥やした者の家に泥棒に入り、盗んだ金品を庶民に分け与えた鼠小僧は、確信犯といっていいだろう。

「確信犯」は本来、上記のような違法であることがわかっていた場合の、信念に基づく行動に対して用いられる言葉です。法律よりも、本人の倫理観や政治・宗教などに基づく信念が優先された結果の行動に使われます。

「確信犯」の誤用例

・彼女が遅刻したのは、きっと許されると思っていての、いわば確信犯だ。
・あの車はいつもここを通っているから、進入禁止を無視したのはきっと確信犯だよ。

最近では「確信犯」が、本来の意味とは異なる、「間違っているとわかっていて行っている」という意味で使われることが多くなっています。本来は誤った使い方ですが、一般に浸透していますので、意味は伝わることが多いです。

  • 「確信犯」の使用例と誤用例

    「確信犯」は間違っているとわかって行っているという意味で使われることが多いです

「確信犯」の類義語と使い方

「確信犯」にはいくつか類義語がありますので、必要に応じていい換えて使いましょう。例文とともに、「確信犯」の類義語を紹介します。

政治犯・国事犯

・あの国で政治犯と認定されたら命が危ないだろう。
・かの街には各国の国事犯人が流れ込んでいる。

「政治犯」とは、革命家およびその集団に代表される政治犯罪人のこと。「国事犯」とは、国の政治上の秩序を侵害する犯罪のことです。政治犯とほぼ同義で、文学作品などで使われます。政治的信念に基づく行動の結果が犯罪となる点で、「確信犯」の類義語といえるでしょう。

思想犯

戦時中には治安維持法によって思想犯が取り締まられていた。

「思想犯」とは、国家体制に相反する思想に基づく犯罪やその犯罪を行う人のこと。とくに治安維持法に触れた犯罪やその犯罪者のことを思想犯と呼んでいました。政治的信念に基づいて正しいと確信して犯罪に及ぶ意味で、「確信犯」と共通する意味を持っています。

意図的

彼は法に触れるとわかっていながら、信念のもと意図的にあのような行動に出たそうだ。

「意図的」とは、目的のために、わざとそうすることを意味する形容動詞です。いい意味でも悪い意味でも使えます。「確信犯」本来の意味としても、派生した意味としても使えますので、同義語として覚えておきましょう。

  • 「確信犯」の類義語と使い方

    「確信犯」には類義語があるのでうまく使い分けましょう

「確信犯」の対義語と例文

「確信犯」には反対の意味で使える言葉がいくつかあります。どんなシーンで使うべき言葉なのか、くわしく見ていきましょう。

愉快犯

犯罪者の中には、一定数の愉快犯が含まれている。

「愉快犯」とは、世間を騒がせることを目的とする、自己満足のための犯罪やその犯人のことです。「確信犯」とは犯罪を行う目的が真逆であることから、対義語のひとつとして使われます。

故意犯

「故意犯」とは、わざと行った犯罪、すなわち過失犯のこと。一般に使われている「確信犯」の意味と同じなので、類義語と思われがちです。

しかし「故意犯」は悪いことだと認識して犯罪行為に及んでいることから、「確信犯」本来の意味の対義語となります。

  • 「確信犯」の対義語と例文

    「確信犯」の対義語と例文を知ろう

「確信犯」の英語表現

「確信犯」を意味する英単語はありませんが、いくつかの単語を組み合わせることで同じような意味として使えます。「確信犯」の代表的な英語表現を見ていきましょう。

crime of conscience

「conscience」とは、良心や道義心などを意味する英単語で、「crime」は犯罪やよくない行為などのことです。「crime of conscience」で「道義心に基づく犯罪」という意味になり、「確信犯」の英語表現として使えます。

「確信犯」に関するその他のいい回し

「確信犯」本来の意味は政治活動家としての側面をあらわす場合に使われることが多いです。関連の深い言葉を紹介します。

political activist 政治活動家
political criminal 政治犯
a prisoner of conscience 政治犯、思想犯
conviction 確信や信念
the leader of a nationalist movement 国家主義活動の指導者

なかなか普段の英会話で使われることは少ないかもしれませんが、英語のニュースや書籍などを読む際に出てくることがありますので、覚えておきましょう。

  • 「確信犯」の英語表現

    「確信犯」の英語表現を覚えておきましょう

「確信犯」の正しい意味を理解して使おう

「確信犯」の本来の意味は、「政治的・宗教的など何らかの信念に基づいて正しいと信じ、なされる犯罪行為やそれを行う人」のことです。しかし、多くの人は「悪いことだと理解していながら行われる行為や犯罪、それを行う人」だと誤解しています。そのため、「確信」という言葉が「固い信念」を意味することを覚えておくと、正しい意味を理解しやすく、間違った文脈での使用を防ぎやすいでしょう。

「確信犯」は慣用句の中でも間違えて覚えている人が多く、誤用が一般化している言葉でもあります。話す相手が「確信犯」を使っている場合には、相手がどちらの意味として使っているのかを文脈から推測しながら、うまくコミュニケーションを図っていきましょう。