「味噌は日本人の宝物だ」。

そんな信念を掲げてラーメン作りに魂を注ぐ店がある。日本中にチェーン展開する味噌ラーメン専門店「田所商店」だ。

味噌という日本独自の文化を追求する田所商店は、その魅力を海外に発信すべく、イタリア、アメリカ、カナダ、ブラジル、タイ、スリランカにも出店。ニューヨーク店(Ramen Misoya NewYork)はこれまで何度もミシュランに掲載されるなど、彼らが作る味噌ラーメンは世界でも高く評価されている。

しかし、日本では「数多くあるチェーン店のひとつ」といった印象が強いようで、郊外に店舗が集中していることから、都市生活者のなかには田所商店の名前を知らない人も少なくない。世界が認める味噌ラーメンなのに、日本で暮らす我々が知らないなんて、ちょっとおかしな話である。ということで、さっそく看板メニューを実食してみた!

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各地の味噌を使った種類豊かなメニュー。健康効果も!?

メニューを見た感じだと、店の一押しはこの「北海道味噌 味噌漬け炙りチャーシュー麺」だと思われる。

だが、メニュー右ページにはなんと……

信州味噌、九州味噌のラーメンも発見。以前伺った伝丸は濃厚味噌、白味噌、赤味噌の三種類があったが、田所商店は地域ごとの味噌の特徴を活かしたメニュー作りをしている様子。しかも、味噌味以外のラーメンは存在せず、サイドメニューも「味噌唐揚げ」「信州味噌仕立て餃子」など、ひたすら味噌テイストで徹底されている。

期間限定メニューも用意されていて、今月は「山形味噌らーめん」、5月は「西京味噌ラーメン」がラインナップする予定らしい。どれもが魅力的で選ぶのに困ってしまうが、とりあえずこの日は店の看板メニュー「北海道味噌 味噌漬け炙りチャーシュー麺」と「ミニ味噌チャーハン」を注文することに。

ラーメンが運ばれてくる間にメニューをパラパラめくっていると、味噌に関する耳寄り情報を発見した。

抗癌効果、高血圧の抑制、抗酸化効果、肝臓機能の強化……などなど、味噌の効能がズラリと記されているのだ。発酵食品だし、身体にいいとは聞いたことがあるけど、こんなに健康効果があったとは。

そういえば、「味噌汁は不老長寿の薬」「味噌の医者殺し」など、味噌と健康にまつわる諺はいくつも存在している。ラーメン=ジャンクフード=不健康というイメージがあったが、今日はあまり罪悪感を抱かず食べられそうだ。

濃厚な味噌の旨味にKO寸前、バターも追加トッピング!

そしてラーメンが到着。めちゃくちゃ美味そうだ。

味噌の芳醇な香りがふわぁっと立ち上ってくる。さっそくスープからいただきましょう。

ああ、案の定、めちゃくちゃ美味い……。うわぁ~、濃い。味が本当に濃厚。この北海道味噌というのは、塩分がやや高めの米味噌で、コクと深み、赤みがかった色合いなどが特徴なのだとか。出汁は豚骨や鶏ガラなどがメインだと思われる。動物系スープのこってりとした味わいやマイルドな甘みが、北海道味噌と絶妙なハーモニーを奏でている。

麺は中太の縮れ麺。もっちりとしていてスープともよく絡む。スープも麺もバッチリだが、一番驚いたのはチャーシューかもしれない。

この分厚いチャーシューがとにかく美味すぎるのである!

柔らかいのだが噛みごたえもあって、とってもジューシー。炙って香ばしさを引き出しているのも高ポイントだ。しかもチャーシューは味噌漬けにしてあるようで、とにかくその味付けがびっくりするほど美味いのだ。まだ完食していないのに恐縮だが、「田所商店ではチャーシュー麺を注文せよ!」と、すでに声を大にして言いたい気分である。

しかし、味噌ラーメンを食べていると、やっぱり"アレ"をトッピングしたくなるよね。アレですよ、アレ。もちろん、アレと言えば……

バターである。ということでサクッと追加注文。バター、デカッ!チャーシューくらいデカいぞ!

そしてこれがもう、最高に美味い。やっぱり味噌ラーメンにはバターだ。めっちゃくちゃ美味い! 味わいがより一層濃厚に、かつまろやかになった。 バターのコクと甘みもものすごい。もはや御馳走といっていいレベルである。じきに食べ終わってしまうのが惜しい……!

面白いことに、「北海道味噌らーめん」にはポテトも入っている。ラーメンにポテトとは珍しいが、これがまたバターとよく合う。まさに北海道名物のじゃがバターを即席で楽しんでいる感覚である。

こちらは「ミニ味噌チャーハン」。見た目的には一般的なチャーハンよりやや濃いめのキツネ色かな、と思う程度だが、味わいはやはり味噌のまろやかさがほのかに感じられる。かと言ってベトッとした感覚もなく、しっかりパラパラに仕上がっている。これも美味である。

ここのオーナーは味噌から生まれた味噌太郎さんか何かですか? と聞きたくなるほど、味噌に並々ならぬこだわりと情熱が見られるが、なんと本当に「味噌屋の息子がはじめた味噌らーめん専門店」なのだという。なるほど、納得である。

ちなみに、北海道味噌・信州味噌・九州味噌のほかに、江戸前味噌・伊勢味噌など、日本各地の味噌の中からそれぞれの店舗に合った三種類を基本としてメニューは提供しているようだ。つまり、店舗によって今回とはまた違ったラーメンに出会えるかもしれないということ。遠出する際に通りかかるようなことがあれば、また積極的に利用してみたい。

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