子どもにかかる教育費は、その進路によって金額が大きく変わります。たとえば、中学から私立に通うと、入学金や授業料、寄付金など多額の費用を納める必要があります。「子どもを私立中学に通わせたいけど、いくらかかるの?」と不安を抱く親御さんは少なくないでしょう。そこで、最新データをもとに、私立中学に通うにはいくらかかるのかをまとめ、解説しました。受験から入学まで、そして卒業までに必要な金額をチェックしてみましょう。

  • 私立中学受験、総額でいくら必要?

    私立中学受験、総額でいくら必要?

■入学までにかかる塾の費用、受験料、入学金はいくら

<塾の費用>

私立中学に入学するまでには、まず、学習塾に通う費用がかかります。中学受験を目指す小学生の多くは、塾で受験カリキュラムの始まる3年生の2月頃から塾に通い始めるようです。ファルボの「『中学受験にかかる費用』実態調査レポート」によると、「中学受験のために必要となる補助学習費」のうち、学習塾にかかる費用は以下のような結果になっています。なお、中学受験にかけられる費用は世帯年収の影響を受けやすいことから、調査結果は年収「400万円以上」「600万円以上」「800万円以上」に分類されています。

・年収400万円以上
小4:28.0万円
小5:59.0万円
小6:119.4万円
計:206.4万円

・年収600万円以上
小4:45.5万円
小5:68.9万円
小6:130.9万円
計:245.3万円

・年収800万円以上
小4:63.8万円
小5:74.9万円
小6:140.3万円
計:279.0万円

世帯年収が高くなるほど学習塾にかけられる費用も大きくなっていますが、小6ではどの世帯年収でも年間100万円以上の出費があります。また、学習塾にかける費用の総額は200万円を超えており、受験前からかなりの出費があることを覚悟しておく必要がありそうです。

なお、これら以外にも、塾へ通う交通費や文房具の購入費、テスト費用、塾の前後の飲食費など、プラスアルファの出費もあると思っていたほうがよいでしょう。

<受験料>

次に、受験料です。東京都の「令和3年度 都内私立中学校の学費の状況」によると、都内私立中学校の検定料(受験料)は、平均2万3,365円でした。私立中学受験では、5~7校を受験するのが一般的ですので、7校受験するとすれば受験料だけで16万円以上かかる計算です。

さらに、本命受験の前に「お試し受験」をして慣れておく、急きょ予定していなかった学校を受験する、ということもあるでしょう。また、受験が連日となる場合は、疲労を残さないため近くのホテルに宿泊することがあるかもしれません。受験だけでも、かかる費用が大きいことを頭に入れておきましょう。

<入学金>

では、入学金はどのくらいなのでしょうか。同データによると、入学金は、平均25万9,706円という結果になっています。なお、入試スケジュールによっては、本命だけでなく、併願校の抑えのために入学金を支払うケースも考えられます。いざ想定外の出費があっても慌てないよう、余裕を持って資金を準備しておくことが必要です。

■入学後にかかるお金は

<授業料・施設費>

入学後にかかる費用のメインとなるのが、授業料です。同データによると、都内私立中学校の授業料は、平均48万2,168円でした。また、授業料以外にも「施設費」が平均3万7,881円かかっています。さらに、「その他」の費用として、平均19万421円がかかるようです。初年度に納付する費用の項目と金額をまとめると、

・授業料48万2,168円
・入学金25万9,706円
・施設費3万7,881円
・その他19万421円
初年度納付金の総額97万0,176円

となります。このうち、「授業料」と「その他」は毎年度納付する費用、「入学金」と「施設費」は入学時に一括納付する費用です。

<寄付金>

また、多くの私立中学では、入学時に寄付金の協力を求められることがあります。寄付金はあくまで任意ですが、中には、払うことを前提とした雰囲気の学校もあるようです。その場合、寄付金は学費の一部として考える必要があるかもしれません。ただし、寄付をしないからといって、子どもへの待遇が変わるなど不利益を被ることにはなりません。

寄付金の相場は学校によってまちまちですが、1口の金額や最低何口からといった情報を公開している学校もあります。受験を考えている学校については、調べてみましょう。なお、入学後の寄付金は、寄付金控除として税額控除や所得控除が受けられる場合もあります。

<修学旅行や留学、海外研修の費用>

文部科学省の「平成30年度 子供の学習費調査」によると、私立中学における「修学旅行・遠足・見学費」は8万2,578円でした。また、留学や海外研修をさせるとなると、さらに費用がかかります。留学の費用は短期か長期か、また、留学先の国によっても相場は大きく変わります。留学を希望する場合は、受験する中学校に留学制度があるか、またその費用などあらかじめ調べておきたいところです。

■中学受験を考えるなら早めの備えを

これらの費用を概算すると、中学受験から卒業までにかかるお金の総額は、約501万円となりました(塾の費用含む。年収600万円の世帯で計算)。ちなみに、ここには寄付金や留学費用などは含んでいません。習い事や塾に通わせるなら、もちろん、別途費用がかかります。いずれにしても、すぐに工面できる金額ではありません。中学受験を考えるなら、早いうちから計画的に積み立て、いざ受験となった時不安のないように備えておきましょう。