「特徴」と「特長」は、どちらも「とくちょう」と読む言葉ですが、ニュアンスや使い方は異なります。商談やプレゼンなど、ビジネスシーンで使うことの多い言葉なので、正しい意味を理解しておきましょう。
本記事では、「特徴」と「特長」の違いや意味、使い分け方・例文を紹介します。また、それぞれの類語・言い換え表現や英語表現についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
「特徴」と「特長」の違い
「特徴」とは、他と比べて特に目立つ点やきわだったしるしという意味の言葉です。一方、「特長」は、他よりも特にすぐれている点や特別の長所という意味になります。
どちらも「他と比べて目立った点」という意味を持つ言葉です。違いは、良い点のみに言及しているか、良い点か悪い点かを問わずに言及しているかというところにあります。
「特徴」の意味
「特徴」の「徴」という漢字には「しるし」という意味があります。
良いか悪いかにかかわらず、他と比べて違っていること、目立っていることを指す場合に使う言葉です。つまり「特徴」は利点である場合も、欠点である場合も使えます。
「特長」の意味
「特長」の「長」という漢字には「長ける」「優れた」という意味があります。
他に比べて目立っている「特徴」の中でも、良い点だけのことを、「特長」という言葉で表現します。他と比べて目立っていても、それが悪い点である場合には使えません。
「特徴」と「特長」の使い分け方・例文
「特徴」と「特長」の意味を理解しても、どのように使い分けるかというイメージがなかなか湧かない方もいるでしょう。
実際の例文を見て、「特徴」と「特長」の使い方をマスターしましょう。
「特徴」の例文
「特徴」は、日常生活でよく目にする表現のため、ビジネスシーンでも応用することが可能です。これから、特徴の例文を紹介していきますので、意味や使い方を理解していきましょう。
特徴的な〇〇
「特徴的な」の後に続く表現は、表している言葉が目立っていることを意味します。
<使用例>
- あの博士は、高山植物に特徴的な共通点を見つけた
- 赤と金は秋の特徴的な色である
- この犬種の鳴き声は非常に特徴的だ
〇〇に特徴がある
「~に特徴がある」という表現は、前にある文が目立っていることを表しています。
<使用例>
- 足に特徴がある動物を見つけた
- どちらも、もみじの葉の形をしているところに特徴がある
- キャビンアテンダントのスカーフは、経験年数によって結び方に特徴がある
「特長」の例文
「特長」は比較対象がある場面で、その比較対象よりも優れている場合に使用します。そのため、際立っている部分をアピールできると言えます。これらを踏まえて例文を見ていきましょう。
〇〇が特長
「~が特長」と表現することで、前の文を長所としてあらわすことができます。
<使用例>
- 木綿は他の繊維に比べて、水に強いということが特長です
- このカメラは扱いが簡単で、軽いという点が特長です
- プランAは、月額料金が安いということが特長です
〇〇の特長を活かす
「~の特長を活かす」という表現を覚えておくことで、さまざまなシーンで応用することが可能です。
<使用例>
- 日照時間に恵まれたこの地域の特長を活かせば、美味しいお米ができあがるでしょう
- 弊社では、ひとりひとりの特長を活かす人事配置を目指しています
「特徴」と「特長」の類語・言い換え表現
「特徴」と「特長」の意味や使い方を理解したところで、次にそれらの類語や言い換え表現を確認しましょう。類語や言い換え表現を知ることで、「特徴」と「特長」の違いがより理解しやすくなります。
それぞれの言葉は、使われる対象やシーンが少し異なります。例文を参考に、意味の違いや使い方を正しくマスターし、適切に使用できるようにしましょう。
「特徴」の類語・言い換え表現
「特徴」の類語・言い換え表現には、「特性」「特色」「トレードマーク」があります。
いずれも、他と比べて目立っている点を表す言葉で、それが良い点であっても悪い点であっても使うことができます。
特性
「特性」には、そのものだけが持つ性質や特有の性質という意味があります。
似た言葉に「特質」があり、その特別の性質自体に意味の中心を置くときに使われます。それに対して「特性」は、生じる結果に言及する過程で使用されることが多い言葉です。
<使用例>
- 素材の特性を生かせるかどうかで、料理の味が決まると言っても過言ではない
- ロシアンブルーは、あらゆる猫の特性を顕著に備えた品種である
特色
「特色」には、他と特に異なっているところや他のものより目立つ点という意味があります。
「特」という字は、特別や際立ってという意味があります。また「色」という字は、様子や個性を表しています。一般的には「物」や「事」などに対して使う言葉です。
<使用例>
- 偏差値が高さだけではなく、何かしら特色のある大学に通いたいと思っています
- この本の特色は、著者自身が挿絵を描いていることです
トレードマーク
「トレードマーク」には、登録商標や商標、その方を特徴づける独特の外見という意味があります。
<使用例>
- 長い前髪が彼のトレードマークだ
- ニット帽は彼の生涯のトレードマークとなった
「特長」の類語・言い換え表現
「特長」の類語・言い換え表現には、「長所」「取り柄」「メリット」があります。
いずれも、他と比べて目立っている特徴の中で、良い点のみに対して使う言葉です。「特長」の意味を理解して、類語・言い換え表現を確認しましょう。
長所
「長所」には、性質や性能などで、すぐれているところを表しています。対義語は「短所」です。
<使用例>
- 子どものうちは、長所を伸ばすことが何よりも大切だ
- あなたの長所を教えてください
取り柄
「取り柄」には、とりたててすぐれた点という意味があります。
<使用例>
- 私は丈夫だけが取り柄の人間です
- 私には、彼が全く取り柄のない人間に見えて仕方がなかった
- 器量は良くありませんが、人柄だけが取り柄です
メリット
「メリット」には、利点や価値、手柄、功績という意味があります。対義語は「デメリット」です。「merit」という英単語もありますが、日本語の「メリット」とは若干意味合いが異なるので注意が必要です。
<使用例>
- 大学に行くことには、学歴を得ること以外にもたくさんのメリットがあります
- これは弊社にとって、大きなメリットが期待できる取り引きだと感じています
「特徴」と「特長」の英語表現
「特徴」と「特長」に対応する英語表現は、そのニュアンスや使い方がそれぞれ異なります。ビジネスシーンで適切な英単語を使えるように、例文を参考にしながら確認していきましょう。
「特徴」の英語表現
「特徴」の英語表現には、「feature」や「characteristic」があります。「have a future of ~」と使用すると「~の特徴がある」と表現することができます。
これから、「特徴」の英語表現を紹介していきます。
feature
featureには、人目を引く特徴や目・耳・鼻などの目立った特徴を表すことができます。一般的に、外観的な特徴に対して使う言葉です。
<使用例>
- His eyes are his strongest feature.
彼の瞳が彼の一番の特徴です。 - The feature of the Mona Lisa is her smile.
モナリザの特徴はその笑顔です。
characteristic
characteristicには、特徴や特性、特質、価値という意味があります。一般的に内面的な特徴を表し、外観的には違いがわかりにくい特徴に対して使う言葉です。
<使用例>
- Every high school has its unique characteristics. (どの高校もそれぞれ独特の特徴を持っている)
- Warm weather is characteristic of Okinawa. (温暖な気候は、沖縄の特徴です)
「特長」の英語表現
「特長」の英語表現には、「merit」や「strong point」があります。「merit」は、さまざまな意味を持っているため、使い方を理解することで使用する幅を増やすことが可能です。
merit
meritには、価値や優秀さ、賞賛に値すべき点、長所という意味があります。もともと備わっていた長所ではなく、後天的に備わった長所という意味で用いられることが多いです。対義語はdemeritです。
日本語の「メリット」は主に「利点、得、好都合」などの意味で使われますが、それらは英語では“advantage”と表現するのが一般的です。
<使用例>
- These machines have merits and demerits.
これらの機械には、長所と短所があります。 - The idea is without merit.
そのアイデアには、価値がありません。
strong point
strong pointには、長所や強みという意味があります。対義語はweak pointです。類語にはstrengthがあります。
<使用例>
- That’s your strong point.
そこが君の強みだよ。 - My strength point is to work flexibly.
私の長所は、柔軟に働けるところです。
「特徴」と「特長」を正しく使おう
「特徴」と「特長」は、どちらも「他と比べて目立った点」という意味の言葉です。しかし、「特徴」は良い点か悪い点かを問わずに言及し、「特長」は良い点について言及するという違いがあります。
それぞれの意味や使い方を正しく理解し、シーンに合わせて適切な言葉を使うことを心がけましょう。