投資信託はあくまで資産運用の第一歩
最近は月数千円から始められる投資信託も人気を博している。毎月の積立額によっては、20~30年かけて1,000万、2,000万円という大きな資金をつくれる投資信託だが、小林氏は投資としてのうまみは弱いと語る。
「投資信託や税制の優遇が受けられる積み立て『NISA』『iDeCo』は、資産運用の一歩としてはいいけれど、個人的にはもう少し踏み込んで他の資産運用にも取り組む意識を持ってほしいと思います。利益を得る喜びと損失を被るリスクを天秤にかけると、損を忌避する気持ちが日本人は特に強い印象ですが、投資信託と併せて他の資産運用もやれば、例えば3年で利益に数百万の差がつく可能性が高い。それほど投資信託ではあり得ない資産増が株式投資などでは見込めるんです」
逆にリスクが高い印象のビットコインやイーサリアムといった仮想通貨も、各々の予算を踏まえて、1~3年の長期保有を前提に投資を始める分にはおすすめできるという。
「仮想通貨は株式投資などではあり得ないボラティリティがあるので、短期売買で稼ごうとするのは危険です。ただ、将来的に1ビット25万ドルいくと予想する人も少なくない。コロナショックでインフレ傾向が強まっていますし、少子化などの日本円のリスクに備える意味でも、金や仮想通貨への投資は有効です」
「とはいえバランスが大事。本業の給与所得だけ、投資信託だけではなく、余剰資金10万円のうち3万円でビットコインを買い、7万円でFXをやるというようにポートフォリオを可能な範囲で増せると理想的です」
"副業としての投資"の強みをいかそう
最後に、プロ投資家がひしめく世界で、投資にかける時間が限られる会社員はどう戦えばいいのか。
「プロ投資家や機関投資家と勝負して勝つというよりも、彼らの動きをチャートから読み取り、それに合わせて後乗りスタンスで流れに乗っかることが重要ですね。普通の人が株やFX、CFDをやる場合は上昇局面で買う、下落局面で空売りするという後出しジャンケンが多いんです」
「ピークピーク値で利鞘を取るのはプロ投資家でも難しく、そもそもの資金力も違う。動き始めたところは取り損ねますが、そこは追わない方がむしろ正解で。『プラス何%まで取ったら利確する』『読みと逆にいったらここで損切る』といったルールに従い、頭と尻尾を切って手堅くプラスを取るようにしましょう」
「年中チャートを見ていると自分から何か仕掛けたくなる気持ちが先行しがちですが、株式投資で大事なのは条件が整わない限り、何もしないということ。だからサラリーマンは、チャートにずっと張り付いていられないという強みをぜひいかしてください。副業投資家が脱サラし、専業トレーダーになって情報に触れる時間が増えた結果、パフォーマンスが落ちるという話は、結構あるあるですから」
時間に制約のある副業ベースの会社員だからこその強みもあるのだ。副業投資家でも戦略次第では大きな投資成果が期待できるかもしれない。
小林昌裕
副業アカデミー学長/株式会社レベクリ代表取締役。1982年東京都板橋区生まれ。2009年にサラリーマンをしながら不動産賃貸経営を始め、区分マンション・都内シェアハウス・地方一棟マンションなどを保有し年間の家賃収入が3,000万円を突破。また、不動産賃貸経営以外にも20余りの副業を実践し年間収益が1億円を超え、2014年にサラリーマンを卒業。現在は副業を教える学校「副業アカデミー」の運営をしながら、さまざまな大学・企業・団体での講演などを通じて、あらゆる人の収入の柱を増やすために幅広い活動をしている。明治大学リバティアカデミー「金融マネジメント入門」講師。副業アカデミーは開校から3年で受講生数はのべ2,500名を突破した。
取材: 横山茉紀
構成: 伊藤綾