ビジネスシーンにおいては、｢ラポールを築くこと｣が重要だと言われています。

さて、この｢ラポール｣とはいったいどういう意味なのでしょうか? 本記事では、この言葉の意味や効果、さらにはビジネスシーンでの活用方法について紹介します。

  • ラポールとは

    信頼関係を築くためのコミュニケーションスキル｢ラポール｣について学びましょう

ラポールとは心理学用語

ラポールとは心理学用語の一つです。ここでは、ラポールの意味を解説します。

ラポールの意味

ラポールとは｢相手との信頼関係｣を指し、お互いに気持ちを通わせ、理解し合える仲の良い関係を築くという意味を持っています。

相手との信頼関係を表す際に使われる言葉で、特にビジネスシーンにおいては、上司や部下、クライアントとの間で、ラポールを築くことは重要です。

ラポールの語源

ラポールの語源は、フランス語で｢架け橋｣という意味を持つ｢ラポート(rapport)｣です。ここから、人と人をつなぐもの、意思の疎通性や信頼関係という解釈を持つ心理学用語として使われるようになりました。

ラポール形成とは

｢ラポール形成｣とは、心理学用語としてよく使用される言葉です。

前述の通り｢ラポール｣は信頼関係を指し、お互いに信頼して打ち解けることができた状態のことを｢ラポール形成｣といいます。

  • ラポールとは

    ラポールの意味や語源を知りましょう

ビジネスシーンにおけるラポール形成の効果

ビジネスシーンにおいて、ラポールを築くことの効果について紹介します。

コミュニケーションを円滑にとれる

ビジネスを進めていく上でラポールを構築できていると、会ったばかりの相手であっても、信頼感や安心感が生まれることで、コミュニケーションが円滑になります。ラポールの構築はコミュニケーション効率を上げ、より生産的な会話を可能にするのです。

なお、生産的な会話をするためには、相手の話に割り込んだり否定したりして、相手の話を遮断しないように心掛けましょう。相手の話を引き出すために心遣いや共感を示し、自分のハードルを下げて傾聴することが大切です。

また、こちらから話す場合には、話の内容の中で伝えたい論点を先に話すようにすると、相手が理解しやすくなります。平行線を辿る話は精神的にも負担になりやすいため、話題に優先順位をつけることが大切です。全体の話の流れを修正しながら話すようにしましょう。

信頼感や安定感が得られる

ラポールの構築は互いに対する不安を取り除き、信頼感や安定感を生み出します。｢この人なら任せられる｣という信頼から安定感は生まれ、安定感が出てくるとモチベーションが高まります。そして良好なコミュニケーションが取れるでしょう。

信頼感や安定感を得るためには、お互いの気持ちを確認することが大切であり、どちらを優先するか、どちらが正しいかという択一的なものではないのです。

成約率やリピート率が上がる

セールスマンは、ラポールを効果的に利用し販売成績を上げています。ユーザーからの信頼やクライアントとの良好な関係を築き、自由なコミュニケーションを獲得、結果的に売り上げに結びつけるのです。ラポールを築くことで成約率やリピート率も向上します。

説得力が出る

ラポールを構築できる人は説得力にも長けています。信頼している相手の言葉は、自分にとって信用できるものであり、安心感を与えます。そのため、ラポールを構築している相手の言葉は素直に聞き入れやすく、話していることに対して説得力を感じるのです。

特にビジネスシーンにおいて、ラポールの効果はとても重要だということが分かったのではないでしょうか。

  • ラポールとは

    ラポールの効果を理解しましょう

ラポール形成の手法

ラポールの構築のためには、素直な気持ち、相手を受け入れる態度、共感し理解するといった言語的･非言語的な関わり合いが必要です。

また、自分より相手を理解し尊重することに重点を置くことで、安心感からコミュニケーションがスムーズに進みます。ここではラポールを構築する上で役立ついくつかの手法について紹介します。

ミラーリング

｢ミラーリング｣は、ラポールの基本ともいえる方法です。主に相手の表情やしぐさに対して、自分も鏡のように同じような行動をし、相手側に好意を感じさせる心理テクニックになります。

とはいえ、同じ真似ばかりしていると、逆に相手に不審に思われることがあります。言葉の類似性を持たせたり、時間差で行動したりするなど、さりげなく行いましょう。

マッチング

｢マッチング｣は、動作以外の主に聴覚の部分、つまり言葉のテンポや声のトーン、呼吸のタイミングを相手に合わせる方法のことです。

ラポールを築く上で、耳から入る音の情報にポイントを置き、相手に良い印象を与えられます。言葉のテンポやタイミングがあった漫才コンビをイメージすると分かりやすいのではないでしょうか。

ペーシング

｢ペーシング｣とは、対話の中で相手の言動や動作に合わせる方法のことです。相手のペースに合わせることで類似性を持つことができ、お互いに親しみを感じやすくなります。

ペーシングは親近感や安心感を与えるだけでなく、話の歩調を合わせる上でも役立ちます。

バックトラッキング

相手の言っていることを、オウム返しのようにやさしく返答することを｢バックトラッキング｣といいます。

話の内容について、自分が理解できているかどうかを相手に確認する意味でも、返答は大切です。オウムのように返すだけでも、相手側に自分をよく理解してくれている、という肯定感を与えられます。

こちらも注目 : ｢バックトラッキングとは? ビジネスに活用する際のポイントも紹介｣

  • ラポールとは

    ラポールの構築方法を考えましょう

ラポール形成するための注意点

短期間でラポールを築こうとすると相手に不快な思いをさせてしまうことがありますので、注意しましょう。

ここでは、ラポール構築のための注意点を紹介します。

相手をよく観察する

相手がどう感じているのか、表情や動作、声の起伏などから相手の心理状態が理解できれば、次に自分がどのようにアプローチをすればよいのかがわかります。

相手をよく観察して視覚や聴覚、その他の方法のどれを選択するかを決めることが大切です。

相手の考え方や性格を否定しない

ラポールを築くために、相手を肯定し受け止める気持ちが大切です。相手が自分と考えが違ったとしても否定せず、話を聞く姿勢を持つことで、相手に安心感を与えます。そうすることで、こちらの話も受け入れやすくなるでしょう。

無理に自分を説得しない

正しくないと思うことを自分で正しいと言い聞かせても、自分自身に嘘をつくことになるので、結果的に相手にも嘘をつくことになります。また、その雰囲気が伝わってしまうとラポールを構築する以前に信頼関係が失われる可能性もあります。

お互いにとってプラスに働かないので、無理に自分を説得することはやめましょう。

  • ラポールとは

    ラポールの注意点を考えましょう

ラポール形成を意識したコミュニケーションを

ラポールは、相手を先入観や固定観念で捉えたり、過剰なアプローチをしたりして、気持ちを害してしまっては築くことができません。

一つひとつの意味をしっかり確認し、ラポールを築くために言語的･非言語的な方法の選択やタイミングを見極め実行することが大切です。ビジネスシーンにおいて、ラポールを上手く活用していきましょう。