留学したい! 海外経験したい! けど行けない! そんな今こそ、“解禁の時”に向けて準備しておきたい。オンラインミーティングやインタビューを盛り上げる会話術は? わからない単語や文法を気にせず会話するには? など 2人の若者が日ごろのギモンやお悩みをYouTubeチャンネル「バイリンガール英会話」、「ちか友留学生活」でおなじみのバイリンガールちかさんに、オンラインでぶつけてみました。

●お悩み相談者 /S.Kくん(写真左) 社会イノベーション学部 将来は英語を使う仕事をしたい。留学を希望しているが、「異なる文化の人々と触れて自分の価値観を広げたい」という漠然とした理由でいいのかが悩み。

K.Kさん(写真右) 国際文化学部 2018年10月から3か月間イギリスに留学経験あり。帰国後、英語力をキープするためにどう機会をつくっていけばいいのかが悩み。

●海外の人とオンラインミーティングをする際、スムーズに会話するための秘訣はありますか? (S.K)

慣れないうちはまず、「週末どうだった? 」とか相手にしゃべるきっかけを与えてあげるのがいいと思います。外国人は比較的おしゃべり好きでバーッとしゃべってくれるので、それに対するリアクションを練習します。例えば週明けのミーティングだったら、土日どう過ごしたか話せるようにシミュレーションしておきます。徐々になれてきたら自分からお店の話や映画の話などの“small talk”にトライしてみましょう。

仕事などオフィシャルなミーティングの場合は、ある程度アジェンダも相手も決まっていることが多いので、流れを先読みして想像しながら「こういう表現が必要かも」というフレーズをあらかじめ準備しておくといいですね。私も英語で著名人などにインタビューをするときには、会話を何度も想像しながら準備をします。

(憧れの)「バック・ストリート・ボーイズ」のインタビューでは、緊張するのが目に見えていたので、できる限り自分をコントロールできるように、ひたすら会話をシミュレーションしました。一緒に座ったらたぶん「私、緊張してる」って言うだろう。そうしたら「大丈夫だよ」って言ってくれるだろうから、次は必ずこれをしよう、みたいな(笑)。こういうふうに自分で準備しておけば、意外に想像どおりの流れになることが多いですね。

  • 【I have been the biggest fan for the longest time.】あこがれの人に会えて、「昔から大ファンでした」と伝える時の言い方です /大大大好きなバックストリート・ボーイズにまさかのインタビュー!〔#748〕

●ミーティングで会話をもりあげるコツは何でしょうか? (K.K)

ずばり笑顔です。海外でのコミュニケーションでは、雰囲気づくりのために表情がすごく大事だと思います。ちょっとにこやかにしているだけで、相手も「あ、この人機嫌がよさそうだからしゃべってみよう」って気持ちになるはずです。

オンライン飲み会みたいな時でも、日本の方はたいがい真顔なので怖い(笑)。「しゃべっちゃいけないのかな」とひるむくらいなんだけど、なぜかチャットでは絵文字を使ってすごく盛り上がっていたりします。日本人は感情があまり表に出ない人が多い気がしますが、オンラインの時代では、ボディランゲージや表情がとくに大事だと思います。

●会話中、単語がわからないと、それが気になって会話が先に進みません。(K.K)

わからない単語につまずいて先に進めない、という人は多いですね。その場合、わかる部分を聞き取って推測するしかないと思います。私も、16年間アメリカに住んだあと日本に戻ってきたときには、わからない日本語がたくさんありました。そんなときは、周りの情報や雰囲気で理解して次に進むようにしていました。100%理解できていないと気持ち悪くてモヤモヤするという気持ちは、よくわかります。

以前、日本語が堪能なゴードというオーストラリア人YouTuberの方にインタビューしたことがありました。彼に「(日本語の意味が100%わからなかったら)モヤモヤしないの?」と聞いたら、「モヤモヤも楽しむ」って言ってました(笑)。

彼は日本語の勉強を始めたときに、英語じゃなくて日本語から入ったそうです。例えば、「うっとうしい」という言葉に出会ったとき、「日本語ではこういうシチュエーションのとき“うっとうしい”と言う」というふうにニュアンスで理解したけど、英語では何と言うのかいまだにわからない、と。

英語を学ぶ場合も、日本語と英語を必ずしも「=」で結んで理解するのでなく、英語という環境の中で理解することが大事だと思います。

  • 日本語ペラペラの外国人から見た日本語のいいところ! Feat. The Drummer Gordo!〔#722〕より /今でも「おつかれさま」を英語でなんて言えばいいかわからない、とゴードさん

●どうしても文法を気にしてしまって、テンポよくしゃべれません。(K.K)

文法もすごく大事です。でも、ことさら文法のことを気にしてしまうのは「慣れていない」からだと思います。たとえば日本語の場合、別に文法を気にしなくても「なんか響きが変」だと気が付きますよね。これは、同じようなシチュエーションを何回も繰り返してフレーズに慣れると、文法を考えなくても「違う」ことが耳でわかるようになるからです。

例えば、3年ぐらい前におさるさん(ご主人)がアメリカ横断したときに、私が聞き返すときによく使う「What’s that?」を彼が覚えて、毎日使っているうちに頭で考えなくても出てくるようになりました。マレーシアでは「あとどれくらい滞在するの?」と何回も聞かれているうちに、「カッポマンツ」(couple of months)って自然に答えるようになりました。やっぱり、繰り返すことの効果は大きいですね。

  • アメリカのKFCのドライブスルーで夫が注文してみたら...〔#737〕より

あとは、「まあ間違っててもいいじゃん」っていう開き直りですかね(笑)。ほかのアジアの国の人たちは間違いをさほど気にしないし、第二言語なんだから完璧にしゃべれなくてあたり前、という感覚です。そもそもほとんどのアメリカ人は英語しかしゃべれません。私たちは日本語のうえに英語もしゃべってるんだからね、ぐらいの自信をもっていい。英語ができないことにそんなに劣等感を感じなくていいんじゃないかなと思います。

●今日のお話を聞いて、恥ずかしさを捨てればなんでもできるなって思いました。(K.K)

自分が自分の一番の敵なんですよね。ただ、恥ずかしさを捨てられるひとつの理由が「発音」にあることにも、最近娘を見ていて気付きました。娘は日本語の「ありがとう」がうまく言えずにずっと「あと」になってしまって、あまり言いたがらなかったんです。ところが最近、言えるようになったとたん、ことあるごとに「ありがと~」と言いまくってます。それを見て私は、彼女の「言えるようになった」っていう自信をすごく感じました。ですから、「発音」は相手に正しく伝えるためだけじゃなく、「自分の自信になる」から大事なんだな、と再認識しました。

●「英語が話せて良かった」と実感するのはどんなときですか?(S.K)

英語が話せるようになったら、100%間違いなくチャンスは増えます! 私の場合、英語を話せるYouTuberが当時そんなにいなかったので、海外からのゲストの来日インタビューなど、英語を使ったいろんなお仕事の機会をいただくことができました。

ただ、英語ができればそれだけでいいかと言うと、必ずしもそうではありません。何か自分の得意分野や強みがベースにあって、そこに英語を付け足すことでチャンスが増える、というのがポイント。私は「英語」+「YouTube」という組み合わせがあったことで、いろんな機会をいただけました。結局、言葉は何かを伝えるためのツールなので、自分にとっての「何か」を探すことが重要だと思います。

●実際にいろんな国に行かれたことで、ちかさんが得られたものは何ですか?(S.K)

新しい価値観と出会えたり、固定概念を覆されたりすることで視野が広がることですね。慣れた場所でずっと暮らしていると当たり前に感じていたことが、海外に行くと「こういう働き方もあるんだ、こういう考え方もあるんだ」という発見があります。自分の考える幅とかキャパが広がって、いろんなものを受け入れられるようになる。つまり、人として豊かになれるのは、いいことだと思います。

●次はどこに行きたいですか?(K.K)

アムステルダムに行ってみたい! ヨーロッパでいろんな国籍の人が多いところを調べたら、アムステルダムがでてきたんです。アムステルダム観光局のサイトの誘い文句、“Visit、Work、Live”に惹かれて調べてみたら、フリーランス向けのビザがあったり、そのビザ所有者の配偶者も仕事ができることがわかりました。オランダは英語教育にも力を入れていて、非英語圏の中でも比較的英語が通じやすいそうです。

実は「あなたはヨーロッパの方が合っている。例えばベルギーとかがいい」って、昔アメリカ横断中に占い師に言われたことがあったんです。オランダはベルギーのお隣りなので「やっぱり! 」って。そんな感覚で生きてる人間です(笑)。