「四六時中」という言葉は、日常の中で何気なく使うことも多い言葉ですが、ビジネス上で使うとなると、正しい意味が気になります。
本記事では「四六時中」の正しい意味や語源、使い方・例文を解説します。また、類語・英語表現などについてもご紹介。「四六時中」という言葉について正しい知識を身につけ、ビジネスシーンで適切に使えるようになりましょう。
「四六時中」の意味とは
「四六時中」(しろくじちゅう)とは、「一日中ずっと」「常に」という意味の言葉です。
この言葉を漢字の見た目のままで判断すると、「4時から6時の間中」とも読み取れ、もしそのままの意味であれば、その時間内だけ忙しいというように感じられます。しかし、限られた時間内ではなく、「いつでもずっと」が「四六時中」の正しい意味です。
「四六時中」には、「いつも~ばかりしている」というニュアンスがあり、肯定表現・否定表現ともに用いることが可能です。
「二六時中」が語源・由来
「四六時中」の「四六」は、掛け算の「4×6」を表しています。「4×6=24」であり、この「24」は「24時間(一日)」のことを指します。つまり「四六=一日中」ということです。
元々、一日が12時間と考えられていた頃(江戸時代)には「二六時中」という言葉がありました。「2×6=12(時間)」というわけです。
しかし、1873年(明治6年)から、西洋で一般的だった太陽暦が導入され、同時に24時制も導入されました。このことにより、「二六時中」から「「四六時中」」へ変わったとされています。
日本で24時制が一般人にも浸透するようになったのは、1942年(昭和17年)、鉄道省が時刻の表記に導入したことがきっかけでした。明治当初は、正確な時刻に合わせた行動が求められた軍隊でのみ運用されており、一般人の間では馴染みある12時間制が使われ続けていたそうです。
「四六時中」の使い方・例文
「四六時中」は、「いつも」を強調したい時に使います。使い方としては、日常会話で「ずっと」や「常に」と表現している箇所を、「四六時中」と言い換えるイメージです。
またビジネスシーンにおいても、「四六時中」という表現を使えます。職場の上司や取引先の方などとのやりとりの際に「四六時中」というフレーズを使うことも問題ないでしょう。
ただし、もっと適切な表現があることも考えられるので、シーンや伝えたい内容などに合わせて最適な表現を用いてください。適切な言葉遣いは相手に「語彙や知識が豊富」というプラスの印象を抱かせ、ビジネスをより円滑に進められる可能性が高まります。会話やメールなどの中で、正しく使えるようになりましょう。
<例文>
- 私は四六時中仕事のことを考えている
- テレビでは四六時中そのニュースが取り上げられている
- 四六時中一緒にいてよく飽きないものだ
「四六時中」の類語
「四六時中」の類語にはどのような言葉があるのでしょうか。それぞれニュアンスが異なるため、わかりやすいように例文もあわせて解説していきます。ニュアンスの違いを正しく理解しなければ、適切な場面で言葉を正しく使い分けることができません。場面ごとや、シチュエーションに合わせて、正しく使えるようになりましょう。
日夜
「日夜(にちや)」とは、文字通り「昼と夜」という意味であり「昼夜(ちゅうや)」とも言い換えられます。副詞的な使い方として、「昼も夜も」という意味合いもあるため、「四六時中」が持つ「一日中」のニュアンスと近しい類語といえます。
<例文>
- 彼は日夜勉学に励んでいる
- 君は日夜を問わず働いている
いつも
「いつも」は、「普段通り」「どんな場合でも」といった意味の言葉です。「四六時中」は「一日中」といったニュアンスを持つ言葉ですが、いつもは、「いつ」と限定しない言葉であるため、一日を越えている場合でも使います。
<例文>
- 君はいつも怒っている
- あなたと彼はいつも一緒にいる
常々
「常々(つねづね)」は、「普段」「いつも」という意味の言葉です。上述した「いつも」よりも丁寧な表現といえます。
常々は「じょうじょう」とも読みますが、口語では「じょうじょう」の同音異義語が多数あるため、相手に勘違いをさせてしまわないよう、「つねづね」といわれることが多いです。
<例文>
- そのように常々言い聞かせている
- 私はその噂を常々耳にしていました
年中
「年中(ねんじゅう)」は、文字通り「一年間」を表し、副詞的には「いつも」「始終」という意味として使える言葉です。「四六時中」の「一日中」よりも、「一年間」という長いスパンを表現したい際に使いましょう。
<例文>
- 彼は年中働いてばかりいるね
- 君のことになると、年中心配が絶えない
「四六時中」の対義語
ここでは、「四六時中」と反対の意味合いを持つ対義語を紹介していきます。
時々
「時々(ときどき)」は、「一定の時間を置いて繰り返されるさま」や「まれであるさま」「ときおり」という意味の言葉です。常に起こることではなく、たまに起こることに対して使います。
<例文>
- 私は時々ひとり旅をする
- 彼女は時々拗ねたような素振りをみせる
時偶
「時偶(ときたま)」は、時々と同じ意味で使える言葉になります。「時たま」と表記することの方が多いです。
<例文>
- 母は時たま私に電話をかけてくる
- 新入社員とは時たま顔を合わせる程度だ
「四六時中」の英語表現
ビジネスシーンにおいて、英語表現ができることは高評価につながります。普段英語を使う機会がない方も、「四六時中」の英語表現を知識として学んでおきましょう。
ここでも例文をあわせて紹介していきます。ニュアンスや使い方を覚えておいて、ここぞという時に最適なフレーズを引き出せるようにしておきましょう。
always
「always」は、「常に」「いつでも」のほかに「永久に」という意味も持つ英語です。「四六時中」の英語表現の中では、比較的耳馴染みのある言葉です。
<例文>
- Always sleepy.(いつも眠い)
- He is always laughing.(彼はいつも笑っている)
all the time
「all the time」も、「いつも」「常に」という意味の英語です。「always」は、行動に対して主に使われる言葉ですが、「all the time」は「time」という単語が使われているとおり、時間に対して主に使われる言葉です。
<例文>
- That kid cries all the time.(その子は泣くばかりだ)
- He stays at home all the time.(彼がずっと家にいる)
day and night
「day and night」は、日本語の「日夜」と同じ意味の英語です。しかしそれだけでなく、「休みなく」「絶えず」という意味も持ちます。英語表現の際は、この点に注意しましょう。
<例文>
- robots can be on the job day and night.(ロボットは休みなく働くことが可能だ)
- He studies day and night.(彼は常に勉強している)
around the clock
「around the clock」は、「24時間通して」「休みなく」という意味の英語です。時計を一周回ったイメージを表現している言葉であるため、「四六時中」と言葉の成り立ち方が似ています。
しかし、「いつも」「普段」のような日常的なニュアンスよりも、「絶え間ない」というニュアンスが強いため、気をつけて使いましょう。
<例文>
- she worked around the clock.(彼女は休みなく働いた)
- The hospital provides around the clock service.(その病院は24時間体制を整えている)
「四六時中」の意味を理解して正しく使おう
「四六時中」とは、「一日中」「いつも」という意味を持つ言葉です。その由来は江戸時代まで遡りました。
「四六時中」の言葉の成り立ちや類語などを知っておくと、ビジネスシーンでも豆知識として役立てることが可能です。豆知識は、商談や営業のシーンで話のネタにも使えるため、スマートに伝えることで周囲からの評価も上がりやすくなります。
正しい意味や使い方を理解し、ビジネスシーンでも自信を持って使えるようになりましょう。