友人との会話で「携わる」という表現を使う機会は、ほとんどないといっても過言ではないでしょう。しかしながら、ビジネスシーンでは一般的な言葉としてよく使われます。
言葉を適切に使うためには、意味と使い方が身についていなければなりません。本記事を参考に「携わる」という言葉の意味や使い方を習得しましょう。
携わるの意味
携わるは「たずさわる」と読み、ある物事に「関係する」「従事する」という意味で使われます。ビジネスシーンでは
「今度は関西のプロジェクトに携わることになった」
「入社以来、経理業務に携わってきた」
のように使います。
携わると関わるの違い
「関わる」は「携わる」の意味を説明する際にも使っているように、「携わる」と同義で使われることもある言葉です。「関わる」は「関係を持つ」という意味で使われます。
ただ、「携わる」の方が「関わる」よりも関係が深いイメージになります。「研究に携わる」といえば、継続的に研究に取り組んできた印象となり、「研究に関わる」というと「研究の一部に協力した」「一時的にその研究をしていた」という印象を受けます。
ビジネスにおける携わるの使い方
「携わる」という言葉は、ビジネスの世界に飛び込んでからではなく、飛び込む前の就職活動中にも使うことがあります。使い方を誤って、就職活動や営業活動で不利な立場になってしまうことのないよう、適切な使い方を覚えておきましょう。
ここでは、シーンごとの使い方を紹介します。「携わる」を使う際のひな型として覚えてしまうのも習得への近道となります。
■自分が従事した仕事について話をするとき
自己紹介や職歴の紹介をする際に「携わる」を使って説明することがあります。転職時には前職で従事していた業務内容に対して、就職活動の場合は学生時代に関わっていた研究やアルバイトなどの説明に対して使うことが可能です。
「前職では多くのプロジェクトに携わり、経験を積みました」
「学生時代はボランティア活動に携わることで、多くのことを学びました」
これらのように活用します。
■志望動機で使うとき
転職・就職活動で志望動機を述べるときや会社で目標設定をするときも、「携わる」が使えます。
「貴社の再生エネルギー技術に私も携わりたいと考え、志望いたしました」
「入社できた際には、海外プロジェクトに携わらせていただきたいと考えております」
このように「携わる」を活用できます。
携わるの敬語表現
「携わる」はビジネスシーンで使われることも多いので、尊敬語・丁寧語・謙譲語といった敬語表現も覚えておきましょう。
目上の人に対して使う場合は尊敬語である「携わられる」を使います。丁寧語と謙譲語は「携わる」が直接変化はしないので、「携わります」「携わらせていただきました」のように丁寧表現・謙譲表現を「携わる」に付け加える形で使います。
携わるの類語
「携わる」で表現する内容を伝えるときにも、「携わる」を使ったのでは伝わりにくかったり、もっとくだけた表現にした方がよかったりするケースもあります。そのようなときは、「携わる」の類語を複数知っていれば、適切な言葉を選択できるので便利です。
ここでは、「携わる」に近い意味で使える類語を紹介します。意味と使い方を合わせて覚えておきましょう。
■関与する
「関与する」とは「ある物事に関係する」という意味で使われます。
「長い間、遺伝子の研究に携わってきた」は、「長い間、遺伝子の研究に関与してきた」と言い換えることが可能ですが、ニュアンスは多少異なるので、その場に合った適切な言葉を選ぶ必要があります。
■参加する
「参加する」は「集まりに加わり、行動すること」という意味で使います。
「海外でボランティア活動に携わりました」は「海外でボランティア活動に参加してきました」と言い換えることが可能ですが、「携わる」の方が活動の奥に入り込んでいるイメージが強いので、どちらの表現が適切か判断して使う必要があります。
■従事する
「従事する」は「もっぱらその仕事に関わる」「携わる」という意味があります。意味の説明として「関わる」や「携わる」が入っている通り、同義として使えますがニュアンスは異なります。
■係う
「係う」は「かかずらう」と読み、「関りあいを持つ」という意味で使います。「拘う」という漢字を使うこともできます。
「今まで携わってきた仕事は大変なものばかりだった」は、「今まで係ってきた仕事は大変なものばかりだった」と言い換えられます。
携わるの英語表現
「携わる」を英語で表現する場合は、「participate」や「take part」を使います。これらの単語・イディオムは「加わる」「関係する」といった意味を持ちます。ほかにも「従事する」という意味の「be involved」を使って表現することも可能です。
「私はこのプロジェクトに携わっています」を英訳すると「I am involved in this project.」となります。
携わるの意味をきちんと理解して使いこなそう
「携わる」はビジネスの場で人物を紹介するときによく使われる言葉なので、ビジネスになじむほど自然に使えるようになります。
これから就職してビジネス社会にデビューを飾る場合のように、まだ「携わる」という言葉になじみがない人は、意味と使い方、使う場面などをしっかりと理解し、正しく活用できるようにしておきましょう。