コロナ禍で大きく揺れた2020年だが、秋以降は自動車販売台数も若干持ち直し、SUVの「ヤリスクロス」やスポーツモデル「GRヤリス」を加えたヤリスファミリーが、同じトヨタとはいえダイハツのOEM車である「ライズ」から首位を奪還し、大きく引き離したという状況だった。
一般的に12月は販売台数が落ちる傾向にあるが、今年はコロナ禍という特殊な状況。気温低下による第三波が懸念される中、人気モデルに大きな変動はあったのだろうか?自販連(一般社団法人 日本自動車販売協会連合会)が発表したデータをもとに、2020年12月の人気車ブランドを紹介しよう。
2020年人気車種、12月トップ10
順位 | ブランド通称名 | ブランド名 | 販売台数 |
---|---|---|---|
1 | トヨタ | ヤリス | 17,198 |
2 | トヨタ | ライズ | 8,912 |
3 | トヨタ | ルーミー | 8,792 |
4 | トヨタ | ハリアー | 8,128 |
5 | トヨタ | アルファード | 7,962 |
6 | トヨタ | カローラ | 7,789 |
7 | ホンダ | フィット | 6,726 |
8 | トヨタ | シエンタ | 6,136 |
9 | トヨタ | ヴォクシー | 6,114 |
10 | ホンダ | フリード | 5,570 |
※軽自動車および海外ブランド車を除く
■1位:トヨタ「ヤリス」
2020年2月に国内で発売された「ヤリス」は、トヨタが自社のコンパクトカーに初めてTNGAプラットフォームを採用した世界戦略車。
自動車の基本である運転のしやすさや優れた操縦安定性はもちろん、躍動感のあるデザインも与えられた。低燃費と高出力を両立するエンジンには、1.0Lのほかにハイブリッドも用意する新開発の1.5リッター・ダイナミックフォースエンジンをラインナップ。このほか、衝突回避支援やレーントレーシングアシストといった最新の安全性能も装備されている。発展版であるSUVの「ヤリスクロス」や、スポーツタイプの「GRヤリス」も注目を集めている。
■2位:トヨタ「ライズ」
トヨタ傘下のダイハツが開発と生産を手がけた「ロッキー」のOEM車「ライズ」は、5ナンバーサイズのコンパクトSUV。小型ながらもRAV4の流れを汲む力強く堂々としたデザインや、ダイハツが軽自動車で培った広い室内や大容量収納などのアイデアが盛り込まれ、2020年の上半期はSUVとしては異例のトップに輝いたモデルだ。エンジンはハイブリッドを持たないものの、1リッター3気筒ターボは低燃費とパワフルな性能を両立している。
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■3位:トヨタ「ルーミー」
「ルーミー」は、全長が3.7mと非常に短い5人乗りトールワゴン。こちらも「ライズ」同様、軽自動車に強いダイハツがOEM車として提供しているモデルだ。車体は小さいが、5人乗車でも余裕のある居住性や、乗り降りしやすい後席低床スライドドア、多彩なシートアレンジによる優れた積載性、軽自動車並みの取り回しの良さなどが大きな特長。もちろん、現代の車には必須となった事故防止や運転サポートの機能も備えている。
■4位:トヨタ「ハリアー」
世界的なブームとなった「高級クロスオーバーSUV」の元祖と言えるのがトヨタ「ハリアー」。2020年6月にモデルチェンジして4代目となったが、そのブランド力は健在。道なき道を走るオフロード車とは異なり、都会的で流麗なクーペルックのエクステリアに高い質感のインテリアという独特の組み合わせはさらに洗練された。トヨタの高級SUVにふさわしく、高い走行性能を約束するTNGA新プラットフォームや、最新の安全性能も採用された。
■5位:トヨタ「アルファード」
衰退する高級セダンに替わって登場した"大型高級ミニバン"というジャンルで、今や一人横綱を張る「アルファード」。ダイナミックなデザインのエクステリアとラグジュアリーなインテリアは言わずもがなだが、トヨタが持つ最新の安全性能はもちろん、専任オペレーターによるサービスや盗難予防の通知機能といったコネクティッドサービスも備えている。
「ヤリス」一家も強いが、「ライズ」「ルーミー」も根強い人気!
12月も「ヤリスクロス」や「GRヤリス」を加えたヤリスファミリーが総合力でトップを独走する結果になった。「ヤリス」はコンパクトカーであってもトヨタの顔とも言える車。「カローラ」や「プリウス」といった歴代王者を輩出した本家トヨタのブランドとして、やはりここは譲れないだろう。
しかし、「ヤリス」のように豊富なバリエーションやハイブリッドエンジンも持たず、SUVタイプのボディ1つで勝負している「ライズ」や、2016年の発売以来、堅調な販売台数を維持している「ルーミー」というダイハツOEM車達の強さも光っている。
もちろん、トヨタというブランドや強力な販売力もあるが、コンパクトカーが人気の今、その一つ下のセグメントにある軽自動車でスズキやホンダと熾烈な争いを繰り広げてきたダイハツの企画力の高さが証明されていると言えるだろう。
※ブランド通称名とは、国産メーカーの同一車名を合算したものであり、海外生産車を含む
※上位台数は車名別の合算値となり、一部教習車などを含む(例:ブランド通称名 カローラはカローラシリーズ全車種と教習車を含む)