小さくて、静かで、おしゃれで、速い。そんな電気自動車(EV)がフランスからやってきた。プジョーの「e-208」というクルマだ。日産自動車のEV「リーフ」より下手をすると安いくらいのお値段で、こんなEVが買えるとは……。早速、実車に乗ってきた。

  • プジョー「e-208」

    フランス製EV「e-208」は、どの方向から見てもカッコいいクルマだった

ガソリンエンジンとEV、何が違う?

「208」はプジョーの売れ筋コンパクトカー。8年ぶりのフルモデルチェンジにより、パワートレインは1.2LのガソリンエンジンとEVの2種類となった。

EVのe-208には、「アリュール」(Allure)と「GT Line」の2種類のグレードがある。価格は前者が389.9万円、後者が423万円。写真はGT Lineにオプションとして「パールペイント」(7.15万円)、「パノラミックガラスルーフ」(10.2万円)、「ナビゲーションシステム」(24.53万円)、「ETC 2.0」(4.455万円)を装着したクルマで、総額は469.335万円だ。

  • プジョー「e-208」

    ボディカラーは「ヴァーティゴ・ブルー」。他には白2種類、黒、赤、黄色が選べる

  • プジョー「e-208」

    「e-208」には「エコ」「ノーマル」「スポーツ」という3つのドライブモードがある。スポーツでは最高出力136馬力、最大トルク260Nmの走行性能を発揮。高速道路で加速する際などは、とても力強くて気持ちよかった

全長4,095mm、全幅1,745mm、全高1,465mm(アリュールは1,445mm)のボディサイズは、日本の道路で乗るのにぴったり。横浜の都市部や交通量の多い目黒通りを走ってみたが、小さくてスイスイ動くクルマなので、時には路上駐車のクルマを避けながらの運転も問題なくこなせた。シフトレバーを引いて「D」に入れたあと、もう一度引くと「B」モードが選べる。こちらにすると回生ブレーキが強まるので、ブレーキペダルを踏む頻度はかなり少なくなる。フル充電での航続可能距離は340キロ(WLTPモード)というのがカタログの表記だ。

  • プジョー「e-208」

    インテリアはシンプル。先進性を感じさせるギミックやパネルなどは付いていない。ただ、だからといってチープな感じはしなかった

  • プジョー「e-208」

    プジョーといえば小径ステアリング。駐車の際などは回しやすくて助かる

プジョーによれば、208のガソリン車とEVはデザイン、装備、スペースの面でほぼ同等な作りになっているとのこと。3年で3万キロを乗る想定であれば、購入~所有にかかるコストもほぼ同等になるという。

  • プジョー「e-208」

    左がガソリンエンジンモデル、右がEV。外観上の違いとして、EVはフロントグリルがボディと同色になっている。例のライオンマークも、EVは2トーンカラーだ

日産「リーフ」の価格を見ると、40kWhのバッテリーを積むモデルが332.64万円~418.99万円、同62kWhが441.1万円~499.84万円となっている。e-208は50kWhで上記の価格だ。輸入車のEVといえば、メルセデス・ベンツ「EQC」、ジャガー「I-PACE」、テスラの各モデルなど品ぞろえが増えてきてはいるものの、どれも高価なクルマばかり。リーフと価格面で見比べられるe-208の登場により、EVの「現実的な」選択肢が広がったといえるだろう。