――セイバーが剣をふるうような、華麗で勇ましいアクションも振りに入っていましたね。

そこもかなり難しかったところです。つい動きがバレエ的になり、なめらかに動いてしまうので、剣を振る動作のときには「しっかり止めて」と言われました。

――山口さんは、内藤さんと川津さんがお上手だったから、お2人に引っ張られてなんとかダンスをこなすことができたとおっしゃっていました。

うーん、決して私たちがリードをしていたわけではなかったですね(笑)。3人でフォーメーションがあり、飛羽真がセンターに立ち、芽依と倫太郎がその後ろで位置を合わせないといけないんですが、動いていると絶対に合わなくなってくるんです。練習のときから必死でやっているのに、気が付いたらぜんぜん違う場所に立ってたり(笑)。本番では、カメラに3人がちゃんと映っていないといけませんから、床にテープを張って目印にして、そこからぜったいにはみ出さないよう頑張っていました。

――エンディング映像では、飛羽真、倫太郎、芽依、そして青木瞭さん演じる富加宮賢人(仮面ライダーエスパーダ)が巨大な本やコーヒーカップの下で動きまわる、コミカルなカットもありました。

あの撮影は楽しかったですよ。ああいうときの芝居はそれぞれのキャラが出るなと思って、みんな思い思いに動いていました。エンディングといえば、ダンスは飛羽真、倫太郎、芽依の3人で踊っていて、最後のカットにセイバー、ブレイズ、エスパーダが映るじゃないですか。それで最初のころ「3人目のライダーは芽依が変身?」みたいなコメントがTwitterに流れてきて、ちょっとびっくりしましたね(笑)。

――第1、2章の柴崎貴行監督(柴崎監督の「崎」は立つ崎が正式表記)から、中澤祥次郎監督(第3、4、11、12章)、上堀内佳寿也監督(第5、6章)、石田秀範監督(第7、8、13、14章)、坂本浩一監督(9、10、15、16章)とこれまで5人の監督さんが『セイバー』の演出を手がけられていますが、川津さんから見たそれぞれの監督の印象を教えてください。

みなさん、本当に個性が違っていて、すごい方ばかりです。柴崎監督は第1、2章で芽依のキャラクターを作り上げてくださいました。口数はあまり多くないんですけど、最低限大切なことをしっかり言ってくださいます。一度こちらから話しかけたら、どんどん返してきてくれて、しゃべり出したら止まらないところもありますね(笑)。中澤監督はふんわりとした"癒し"のキャラクターをお持ちで、現場でもいきなり「にゃー」なんて言ったりして(笑)、ユル~い雰囲気をうまく作ってくださいます。一度、撮影じゃないときに撮影所の中で中澤監督にお会いしたとき「あっ、芽依ちゃんおはよ~」なんて挨拶してもらって、普段から柔らか~い空気を持っている方なんだって思いました。

上堀内監督とは第1章の放送前、制作発表会見で流れる『セイバー』のプロモーション映像の演出をされていたときの印象が強いんです。まだ芽依のキャラがどういう感じで行くのかはっきり定まっていない、探り合いみたいな状況だったんですけど、そこでちょっと飛羽真と芽依がコミカルなやりとりをすることになったんです。何度かやっていくうちに上堀内監督から「つまんないから、もっと他にできないの」なんてダメ出しされて、そこで私のスイッチが入って芽依を思いっきり演じたところがありました。このときの映像をストリウス役の(古屋)呂敏くんが観ていて、後で私に「途中からお芝居の感じが違ってきて、すごくよくなったよね」って言ってくれたんですけれど、それは上堀内監督が鍛えてくださったからなんです。

坂本監督とは、私がオフの日に撮影所へ行ったとき、たまたまいらっしゃったのでご挨拶したのが最初でした。そのとき、私が髪を下ろしていたのを見た監督が「ストレート、可愛いね」って褒めてくださったんです。芽依の髪型は回によって変化するんですが、坂本組の第9、10章では横で束ねていましたよね。本当は坂本監督がストレートで行きたかったそうなんですけど、すでにストレートは第8、9章でやっていたので仕方なく別の髪型で行きました。坂本監督の回はすごいアクションシーンがたくさんありますので、芽依もそのうちアクションができればいいなと思ってます。玲花(演:アンジェラ芽衣)と芽依の激しいバトルとか、あったら面白いと思いませんか(笑)。