7nm以降のロジックデバイスの製造に必須となっているEUVリソグラフィ装置は、ASMLが独占的に販売しているが、その生産能力には限界があり、7nm以降の微細プロセスでの事業拡大を図っているTSMCとSamsung Electronicsがこぞって調達競争を繰り広げている。そんな中、韓国の電子産業専門メディアetnewsが12月14日付けで、「EUVリソグラフィの周辺技術であるマスク向け電子ビーム(EB)マスク描画装置と、マスクの外観検査装置についても、TSMCとSamsungが争奪戦を繰り広げている」と報じている。

同紙は、「これらの装置の生産能力は、EUV露光装置よりも低く、仮にEUV露光装置を必要台数入手できたとしても、これらの周辺装置が確保できなければEUVを用いた半導体デバイスの製造に支障をきたす」としている。EUV向けマルチビーム方式のEBマスク描画装置はオーストリアIMS Nanofabricationが手掛けており、一方のEUV向け外観検査装置は日本のレーザーテックが手掛けている。

TSMCは、2021年前半に5nmプロセスによる生産受託を2020後半比で2割増しにする模様で、さらに2021年後半には3nmプロセスでのリスク生産を始めることを予定している。一方のSamsungは、EUVを用いた先端ロジックプロセスの歩留まり向上を図ることで何とかTSMCとの生産能力の差を縮めようとしている。また、DRAMにもEUVを適用するほか、米国のファウンドリ子会社にもEUVプロセスを適用する製造棟を建設することを検討している模様で、今後、両社のEUV関連の製造装置に対する争奪戦は激しさを増していくことが予想される。

  • マルチビーム方式のマスク描画装置

    IMSのマルチビーム方式のマスク描画装置 (出所:IMS Webサイト)

  • マスク検査装置

    レーザーテックのマスク検査装置 (出所:レーザーテックWebサイト)