帝国データバンクは12月8日、2020年1~11月末までにネイルサロンの倒産が19件発生したと発表した。現時点でこれまで最も多かった2014年(18件)を上回り、過去最多を更新。現在のペースが続くと、過去初めてとなる20件台を突破する可能性がある。

  • ネイルサロンの倒産が過去最多を更新(写真はイメージ)

コロナ禍が追い打ち

ネイルサービス市場は、2005年は約400億円に過ぎなかったが、2018年には1,700億円に達し、13年前と比べて1,300億円も拡大。これに伴い店舗数も急増し、2020年には3万店規模を超えるとみられている。しかし、店舗数が急増したことで競争が激化し、店舗当たりの収益が悪化。そこに新型コロナウイルスが追い打ちとなり、美容の中でも「不要不急」の性質が強いネイル需要がいち早く減少するなどの打撃を受けた。

首都圏でネイルサロン「prish(プリッシュ)」を運営するネイルデザインが2020年5月に実施した調査によると、緊急事態宣言の期間中、美容にかける1カ月の支出金額を「0円」と答えた人は約4割。一方、解除後の予定でも「0円」が25.5%を占め、「平常時に比べて美容の支出を極力抑制する傾向が強まっている」という。

現状をみると、ネイル需要減のピークは一旦過ぎたようだが、在宅勤務の普及などでオフィス(職場)ネイル需要の回復は不透明な状況だ。また、主な顧客層の一つ、いわゆる「夜の街」に勤める女性の需要も大幅な需要回復は難しいとみられる。同調査では、「3万店規模に拡大したネイルサロンは、急激に縮小するパイを取り合う熾烈な生き残り競争に直面することを余儀なくされる見通しで、来年以降も淘汰が進む可能性がある」と分析している。