東武鉄道は30日、東上線東武竹沢~男衾間に設置される新駅、みなみ寄居(ホンダ寄居前)駅の開業式典を行った。10月31日に開業する同駅は、東武鉄道全体で3年ぶり、東上線では2002(平成14)年に開業したつきのわ駅以来、18年ぶりの新駅となる。
式典は開業前日のみなみ寄居駅構内で行われた。東武鉄道 鉄道事業本部・副本部長の高野寿久氏が挨拶し、駅名「みなみ寄居」・副駅名「ホンダ寄居前」の由来を説明したほか、周辺地域の渋滞緩和など利便性向上に伴う地域の活性化を祈念していると述べた。「これからも安全・安心を第一に考え、正確・迅速な鉄道運行に努めるとともに、皆様が暮らしやすい沿線、人々が引きつけられ、活気あふれる沿線を作るための取組みを進めてまいります」と高野氏は話した。
続いて本田技研工業 四輪事業本部・埼玉製作所所長の大江健介氏が挨拶した。同社が狭山工場から小川工場、寄居工場に生産を集約する中で、従業員の通勤や、部品・完成車の輸送においてさらなる混雑が予想されるため、新駅の設置について東武鉄道と協議を重ねてきたと説明。「我々にとっても待望の新駅開業。この駅を弊社関係者が利用することで、地域周辺道路の混雑緩和に少しでも寄与できれば」と期待を語った。関係者らの挨拶・祝辞の後、新駅開業を祝うテープカットが行われた。
みなみ寄居駅は、隣接する本田技研工業・ホンダ埼玉製作所寄居完成車工場(寄居工場)に建設された本田技研工業の請願駅となっている。建設にあたり、東武鉄道と本田技研工業の間で2017年から協議が進められていた。建設に関わる費用も本田技研工業が出資している。外観はブラウンの落ち着いた雰囲気でまとめられており、これは本田技研工業の外観デザインに加え、周辺の自然環境にも合わせたものとなっている。
駅構内の改札口はホームの東武竹沢寄りに設置された。一般利用者が通行可能な入口の他に、寄居工場の従業員・関係者が通行可能な通用門が3階に設置されている。一般利用者は通用門横のトイレまで入ることが可能だが、通用門の先への通行はできない。
きっぷ券売機は1台設置され、その後ろにオレンジ色の乗降車駅証明書発行機が備え付けられている。みなみ寄居駅から池袋方面へ乗車する場合、きっぷ券売機できっぷを購入する。寄居方面へ乗車する場合は、乗降車駅証明書を発行した上で、下車駅にて運賃を支払う。ICカードの場合は自動改札機にタッチし、入場・出場を行えば良い。乗り越してしまった場合やICカードの残高が足りなくなった場合のために、改札内の駅事務室隣に乗越し精算機も設置されている。
なお、自動改札機は池袋方面に乗車する場合と寄居方面に乗車する場合で色分けされている。前者は緑色、後者は青色の改札機を通ることになるので、間違えないように注意しておきたい。
ホームは1面1線。出口側の1カ所に駅名標と停車駅案内、時刻表が掲示されており、そこから少し男衾寄りに進んだところに、緊急時のインターホンが備えられている。余談だが、男衾寄りの最前部には屋根がないため、日光を避けたいなら後ろの車両で乗降すると良いだろう。
運賃計算に関して、当面は特例が適用され、池袋方面から乗車する場合は東武竹沢駅まで、寄居方面から乗車する場合は男衾駅までの運賃と同額で乗車できる。池袋~みなみ寄居間の運賃はきっぷ820円・ICカード817円、寄居~みなみ寄居間の運賃はきっぷ170円・ICカード168円となる。
この駅から池袋方面のきっぷを購入する際、きっぷに「東武竹沢」と表示されるが、これで自動改札機を通れる。一方、寄居方面へ乗車する場合にオレンジ色の「乗降車駅証明書発行機」を利用し、証明書を発行すると、乗降車駅証明書に「男衾」と表示されるが、運賃精算上は男衾駅から乗車したものとして扱われる。